19. You are very special to me: 3rd volume
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(ドラコの側で彼の置かれた状況を把握し続けることが叶わないと分かった今、私ができる最善は騎士団の役に立つことだわ。それで間接的にドラコを助けることができるなら……。そのためには、まだ学生の私でも力があることを、騎士団のメンバーに証明しなくちゃならないわ)
それから数日が経ち、進路指導の日がやって来た。フォーラは今、スネイプの部屋のソファに腰掛け、机を挟んだソファに座るスネイプと二人きりで対面していた。目の前の机には沢山の職業の案内書が置かれている。
「さて、ミス・ファントム」スネイプがいつもの呼び方と異なり、苗字でフォーラを呼んだ。教師として彼女に対面している証拠だ。「この面接は、君自身の進路について話し合い、六年目、七年目でどの学科を継続すべきか決める指導のためのものだ。ホグワーツ卒業後、どのような仕事に就きたいか考えがあるかね」
スネイプの淡々とした問いかけに、フォーラは小さく首を横に振った。
「私、自分が将来具体的にどんな職に就きたいか、まだ分からないんです。だけど、私が一番得意な変身術を活かせる仕事があればいいなとは思っています。」
「であれば、様々な選択肢がある。特に君には。どの教科も現状の成績は殆どが『O・優』―――闇の魔術に対する防衛術のみ『A・まあまあ』と『E・期待以上』の間のようだが、その程度のことは仕事の選択の幅にはそう影響しないだろう。
何を職としたいかまだ決定する必要はないが、変身術であれば―――」
スネイプがそのように言いながら幾つかの小冊子を選んだ。英国魔法省の変身術師募集のパンフレット、異国の深い緑と霧に囲まれた魔法学校の教員募集のチラシなどなど―――。その間、フォーラはここに来る数日前に考えていたことを打ち明けた。
「先生。本当のところ、私が一番望んでいるのは、一刻も早く不死鳥の騎士団に入って、私の能力を役立てることなんです。」
それを聞いたスネイプの眉間の皺がいつもより深くなった。彼は小冊子から視線をフォーラの方へと移した。
「ミス・ファントム。君は今が何の時間なのか勘違いしているようだ。今は君の将来の『職業』について話す時間であり、君が一過性の非営利団体に入るか否かを議論する時間ではない」
「そうかもしれません。だけど同時に、純粋に私の将来について話す場でもありますよね?」
スネイプは少々間を開けて考え、その言葉を頭ごなしには否定できないと判断したようだった。
「ほう。では君は、自身が収入を得て生活出来るようになるという自立の基本中の基本より大切なのは、自身が役に立てるかも分からない、賃金も発生しない団体に所属することだとでも言うわけか」
フォーラとしてはスネイプにこの手の話を非難されることは予想できていただけに、きちんと自分の考えを彼に伝えなければ、唯々否定されてこの時間を終えてしまうと分かっていた。
「……将来の職業は、勿論これからもっと検討していくつもりです。選択の幅も多くあることが分かりましたし……。
それとは別に、何なら今からでも騎士団の仕事をお手伝いしたいくらいなんです。いえ、上手くいけば直ぐにでもそれが叶うかもしれません。」
「百歩譲って、成人した卒業後に騎士団に入ることはお前の自由であるから勝手にすればいい。しかし知識不足のたかが学生の分際で、そんな危険なことを考える暇はない筈だが?」
フォーラにはスネイプが随分怒っているのが伝わっていたが、彼女は怯えることなくしっかりと彼を見つめていた。それもこれも、自分の力でドラコを助けられるならそうしたい。その思いがあるからだった。
「私……セブルスさんや、私の父が言っていたとおり、この一年は本当に貪欲に学びました。それこそ魔法の練習のし過ぎで私が倒れているところを、セブルスさんに助けていただく必要があったくらいに。
それに私、あの日助けていただいた時から比べても、本当に成長したんです。殆どの科目で『O・優』の成績を保った上で、変身術ならN.E.W.Tレベルの術はきっともうパスできます。」
フォーラの発言にスネイプは深いため息をついた。彼は彼女の職業に関する進路指導を諦めた様子だ。
「フォーラ、本当にそれだけで今すぐ騎士団を手伝えると考えているのなら、何と愚かなことか」
スネイプは最早、教師としてフォーラのことを苗字で呼ぶのを忘れる程に取り乱していた。彼の表情からは呆れの色すら伺えた。
「それだけじゃありません。実は今日私がここに来た目的は、面談よりも大切なお話が―――セブルスさんにお願いがあったからなんです。貴方はお忙しいから、中々二人でこんな風にお会いする機会がないと思って、それで……。」
「何度騎士団の手伝いがしたいと言われても、その願いは受け入れられん」
「私のお願いは」フォーラは首を横に振ってスネイプの言葉を否定した。「誰にも知られていない変身術を完成させるために、セブルスさんの血を分けていただきたい、ということです。」
「な―――、血、だと?」
突如フォーラの口からそのような脈絡のないワードが飛び出たことに、スネイプはわけが分からなかった。そんな彼をよそに、フォーラは杖を取り出し振って一冊の本を出現させた。彼女の手の上に着地したのは何ともヘンテコなタイトルの本だった。まるで何かと何かの本のタイトルを合わせて二で割ったような、そんな感じだ。フォーラは数日前、図書室の禁書の棚に再度入る許可を得た後、そこに保管されているエメリア・スイッチの本を『双子の呪文』で複製した。流石に複製物は、原本のように両サイドの本のタイトルを足して二で割るような変身をするものではなかったが、中身は元々白紙だっただけに、それらしい物を作るのは容易だった。そしてフォーラはその複製版を書棚に収め、なんと原本を盗み出したのだ。
それから数日が経ち、進路指導の日がやって来た。フォーラは今、スネイプの部屋のソファに腰掛け、机を挟んだソファに座るスネイプと二人きりで対面していた。目の前の机には沢山の職業の案内書が置かれている。
「さて、ミス・ファントム」スネイプがいつもの呼び方と異なり、苗字でフォーラを呼んだ。教師として彼女に対面している証拠だ。「この面接は、君自身の進路について話し合い、六年目、七年目でどの学科を継続すべきか決める指導のためのものだ。ホグワーツ卒業後、どのような仕事に就きたいか考えがあるかね」
スネイプの淡々とした問いかけに、フォーラは小さく首を横に振った。
「私、自分が将来具体的にどんな職に就きたいか、まだ分からないんです。だけど、私が一番得意な変身術を活かせる仕事があればいいなとは思っています。」
「であれば、様々な選択肢がある。特に君には。どの教科も現状の成績は殆どが『O・優』―――闇の魔術に対する防衛術のみ『A・まあまあ』と『E・期待以上』の間のようだが、その程度のことは仕事の選択の幅にはそう影響しないだろう。
何を職としたいかまだ決定する必要はないが、変身術であれば―――」
スネイプがそのように言いながら幾つかの小冊子を選んだ。英国魔法省の変身術師募集のパンフレット、異国の深い緑と霧に囲まれた魔法学校の教員募集のチラシなどなど―――。その間、フォーラはここに来る数日前に考えていたことを打ち明けた。
「先生。本当のところ、私が一番望んでいるのは、一刻も早く不死鳥の騎士団に入って、私の能力を役立てることなんです。」
それを聞いたスネイプの眉間の皺がいつもより深くなった。彼は小冊子から視線をフォーラの方へと移した。
「ミス・ファントム。君は今が何の時間なのか勘違いしているようだ。今は君の将来の『職業』について話す時間であり、君が一過性の非営利団体に入るか否かを議論する時間ではない」
「そうかもしれません。だけど同時に、純粋に私の将来について話す場でもありますよね?」
スネイプは少々間を開けて考え、その言葉を頭ごなしには否定できないと判断したようだった。
「ほう。では君は、自身が収入を得て生活出来るようになるという自立の基本中の基本より大切なのは、自身が役に立てるかも分からない、賃金も発生しない団体に所属することだとでも言うわけか」
フォーラとしてはスネイプにこの手の話を非難されることは予想できていただけに、きちんと自分の考えを彼に伝えなければ、唯々否定されてこの時間を終えてしまうと分かっていた。
「……将来の職業は、勿論これからもっと検討していくつもりです。選択の幅も多くあることが分かりましたし……。
それとは別に、何なら今からでも騎士団の仕事をお手伝いしたいくらいなんです。いえ、上手くいけば直ぐにでもそれが叶うかもしれません。」
「百歩譲って、成人した卒業後に騎士団に入ることはお前の自由であるから勝手にすればいい。しかし知識不足のたかが学生の分際で、そんな危険なことを考える暇はない筈だが?」
フォーラにはスネイプが随分怒っているのが伝わっていたが、彼女は怯えることなくしっかりと彼を見つめていた。それもこれも、自分の力でドラコを助けられるならそうしたい。その思いがあるからだった。
「私……セブルスさんや、私の父が言っていたとおり、この一年は本当に貪欲に学びました。それこそ魔法の練習のし過ぎで私が倒れているところを、セブルスさんに助けていただく必要があったくらいに。
それに私、あの日助けていただいた時から比べても、本当に成長したんです。殆どの科目で『O・優』の成績を保った上で、変身術ならN.E.W.Tレベルの術はきっともうパスできます。」
フォーラの発言にスネイプは深いため息をついた。彼は彼女の職業に関する進路指導を諦めた様子だ。
「フォーラ、本当にそれだけで今すぐ騎士団を手伝えると考えているのなら、何と愚かなことか」
スネイプは最早、教師としてフォーラのことを苗字で呼ぶのを忘れる程に取り乱していた。彼の表情からは呆れの色すら伺えた。
「それだけじゃありません。実は今日私がここに来た目的は、面談よりも大切なお話が―――セブルスさんにお願いがあったからなんです。貴方はお忙しいから、中々二人でこんな風にお会いする機会がないと思って、それで……。」
「何度騎士団の手伝いがしたいと言われても、その願いは受け入れられん」
「私のお願いは」フォーラは首を横に振ってスネイプの言葉を否定した。「誰にも知られていない変身術を完成させるために、セブルスさんの血を分けていただきたい、ということです。」
「な―――、血、だと?」
突如フォーラの口からそのような脈絡のないワードが飛び出たことに、スネイプはわけが分からなかった。そんな彼をよそに、フォーラは杖を取り出し振って一冊の本を出現させた。彼女の手の上に着地したのは何ともヘンテコなタイトルの本だった。まるで何かと何かの本のタイトルを合わせて二で割ったような、そんな感じだ。フォーラは数日前、図書室の禁書の棚に再度入る許可を得た後、そこに保管されているエメリア・スイッチの本を『双子の呪文』で複製した。流石に複製物は、原本のように両サイドの本のタイトルを足して二で割るような変身をするものではなかったが、中身は元々白紙だっただけに、それらしい物を作るのは容易だった。そしてフォーラはその複製版を書棚に収め、なんと原本を盗み出したのだ。