20. The beginning of the end
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「ドラコ……。私、貴方が何を抱えているか、教えてほしいわ。」
フォーラはこれまで自分が求めてきた確信にようやく手を伸ばせている状況に、心臓が微かに早鐘を打っているのを感じた。一方のドラコは、事の真相を彼女に伝えるのを躊躇っている様子だった。
「……ピープズを追い払った時も話したが、君に僕の考えを話したら最後、フォーラが僕から離れていく可能性も大いにあり得ると思っている。君はどんな僕でも受け入れると言ってくれたが、心変わりするかもしれない。
やっとフォーラとまともに言葉を交わせるようになったのに、もしそうなってしまったら、僕は……。いや、一度は君との幼馴染の良好だった関係すら諦めたんだ。そんな心配なんて、今更か。
ついさっき君を助けるために行動した時から、君にこの話をすることは決まったも同然だったんだから」
ドラコは葛藤の中、まるで自分を説得しているようだった。フォーラはそんな彼の言葉をじっと待った。
「どこから話そうか……。四年生の終わり、ホグワーツの中庭で僕がフォーラに告白したのはよく覚えてくれていると思う。実はその少し前、僕は父上から手紙を受け取っていたんだ。そこには、闇の帝王がもうすぐ復活するということが書かれていた。父上がどうしてそんな話をするか、君も『ザ・クィブラー』を読んだろうから分かる筈だ。……僕の父上はその噂の通り、闇の帝王に仕える『死喰い人』なんだ」
ドラコが校内で黙秘してきた『父親が死喰い人』という噂を肯定したことで、フォーラはドラコが本気でこれまでのことを話して聞かせようとしてくれているのだと理解した。
「父上の手紙に書かれていたのはそれだけじゃなかった。帝王が復活した暁には、いつ何時、僕も死喰い人になるか分からないということ。それに備えるために、今僕の周りにいる友人からいつか離れる覚悟を持つようにということ。そして、決して心から大切だと思える人を作るなということも」
それを聞いてフォーラは息を呑んだ。ドラコが自分を突き放していたのはこれが原因だったに違いない。彼女がそれを察したのをドラコは理解したようだった。
「僕は父上から手紙を受け取るまでは、君に積年の好意を伝えようと思っていた。だけど父上は、僕が大切な人を作ることは今後において僕の弱みになると考えた。その意見に逆らうことは僕の選択肢には当然なかった。何せ父上は、いつも僕やマルフォイ家のために最善を選択する人だったから……。
覚えているか分からないが、あの頃一度君を呼び出した約束を無かったことにしたのはそういう理由だった。フォーラに想いを打ち明けるのをやめようと思ったからだ」
「よく覚えているわ。ドラコが倒れてしまって、二人で会うのを取りやめることになったのよね。あの時貴方が倒れたのは、もしかして……私との関係をどうすべきかとっても悩んでいたから?」
「ああ」ドラコは自分の当時の貧弱さを嘆くように、小さくため息を吐いた。「父上の言いつけか、自分の意志を取るか。それくらい僕にとって父上の言葉は絶対間違いないものだった。そう思ってずっと過ごしてきた。父上は間違いなく僕のことを思って言葉を伝えてくれているのは分かっていたから。
そうして間もなく、三大魔法学校対抗試合の最後の試合でセドリック・ディゴリーが死んだ。あの日、父上の手紙の通りのことが起こったんだ。信じられないかもしれないが、その時正に闇の帝王が間違いなく復活した」
やはりドラコがヴォルデモートの復活を知らない筈がなかった。フォーラは不死鳥の騎士団の関係者以外が、絶対的な確信を持ってその話をする様を初めて聞いた。『例のあの人』が復活したという事態は新聞では有耶無耶にされていたし、本来ならそれが事実であるというのは騎士団と死喰い人だけが確証を得ていた。
しかし最近になって復活の話題は『ザ・クィブラー』を通して一般の生徒間でも広まっていた。それだから、傍から見れば一般人のフォーラがドラコの話を素直に聞き入れたことに違和感はなかっただろう。
「僕は闇の帝王の復活をきっかけに、迷いを捨てて『父上に従う』と書いた手紙を返信しようとした。君に想いを伝えるのはやめて、ずっとただの友人として過ごすことを選ぼうとした。君への想いが、いつかどうでもよくなることを期待して……。
だけど、とあることがきっかけで―――僕はとうとう自分の本心を認めてしまった。いつか君と離れる可能性があるなら、それまでは君の特別な存在として側にいたいと思ってしまった」
「それでドラコは、私に好きだと伝えてくれたのね。ドラコにそんな葛藤があったのに、私……。あの時は貴方の想いを突き放してしまって、本当にごめんなさい。」
「いいんだ。君はあの時、僕たちが純血に対する考え方が違うのを気にしていた。そういうことは純血に生まれた僕たちにとって凄く重要なことだし、仕方のないことだったんだ」
フォーラはこれまで自分が求めてきた確信にようやく手を伸ばせている状況に、心臓が微かに早鐘を打っているのを感じた。一方のドラコは、事の真相を彼女に伝えるのを躊躇っている様子だった。
「……ピープズを追い払った時も話したが、君に僕の考えを話したら最後、フォーラが僕から離れていく可能性も大いにあり得ると思っている。君はどんな僕でも受け入れると言ってくれたが、心変わりするかもしれない。
やっとフォーラとまともに言葉を交わせるようになったのに、もしそうなってしまったら、僕は……。いや、一度は君との幼馴染の良好だった関係すら諦めたんだ。そんな心配なんて、今更か。
ついさっき君を助けるために行動した時から、君にこの話をすることは決まったも同然だったんだから」
ドラコは葛藤の中、まるで自分を説得しているようだった。フォーラはそんな彼の言葉をじっと待った。
「どこから話そうか……。四年生の終わり、ホグワーツの中庭で僕がフォーラに告白したのはよく覚えてくれていると思う。実はその少し前、僕は父上から手紙を受け取っていたんだ。そこには、闇の帝王がもうすぐ復活するということが書かれていた。父上がどうしてそんな話をするか、君も『ザ・クィブラー』を読んだろうから分かる筈だ。……僕の父上はその噂の通り、闇の帝王に仕える『死喰い人』なんだ」
ドラコが校内で黙秘してきた『父親が死喰い人』という噂を肯定したことで、フォーラはドラコが本気でこれまでのことを話して聞かせようとしてくれているのだと理解した。
「父上の手紙に書かれていたのはそれだけじゃなかった。帝王が復活した暁には、いつ何時、僕も死喰い人になるか分からないということ。それに備えるために、今僕の周りにいる友人からいつか離れる覚悟を持つようにということ。そして、決して心から大切だと思える人を作るなということも」
それを聞いてフォーラは息を呑んだ。ドラコが自分を突き放していたのはこれが原因だったに違いない。彼女がそれを察したのをドラコは理解したようだった。
「僕は父上から手紙を受け取るまでは、君に積年の好意を伝えようと思っていた。だけど父上は、僕が大切な人を作ることは今後において僕の弱みになると考えた。その意見に逆らうことは僕の選択肢には当然なかった。何せ父上は、いつも僕やマルフォイ家のために最善を選択する人だったから……。
覚えているか分からないが、あの頃一度君を呼び出した約束を無かったことにしたのはそういう理由だった。フォーラに想いを打ち明けるのをやめようと思ったからだ」
「よく覚えているわ。ドラコが倒れてしまって、二人で会うのを取りやめることになったのよね。あの時貴方が倒れたのは、もしかして……私との関係をどうすべきかとっても悩んでいたから?」
「ああ」ドラコは自分の当時の貧弱さを嘆くように、小さくため息を吐いた。「父上の言いつけか、自分の意志を取るか。それくらい僕にとって父上の言葉は絶対間違いないものだった。そう思ってずっと過ごしてきた。父上は間違いなく僕のことを思って言葉を伝えてくれているのは分かっていたから。
そうして間もなく、三大魔法学校対抗試合の最後の試合でセドリック・ディゴリーが死んだ。あの日、父上の手紙の通りのことが起こったんだ。信じられないかもしれないが、その時正に闇の帝王が間違いなく復活した」
やはりドラコがヴォルデモートの復活を知らない筈がなかった。フォーラは不死鳥の騎士団の関係者以外が、絶対的な確信を持ってその話をする様を初めて聞いた。『例のあの人』が復活したという事態は新聞では有耶無耶にされていたし、本来ならそれが事実であるというのは騎士団と死喰い人だけが確証を得ていた。
しかし最近になって復活の話題は『ザ・クィブラー』を通して一般の生徒間でも広まっていた。それだから、傍から見れば一般人のフォーラがドラコの話を素直に聞き入れたことに違和感はなかっただろう。
「僕は闇の帝王の復活をきっかけに、迷いを捨てて『父上に従う』と書いた手紙を返信しようとした。君に想いを伝えるのはやめて、ずっとただの友人として過ごすことを選ぼうとした。君への想いが、いつかどうでもよくなることを期待して……。
だけど、とあることがきっかけで―――僕はとうとう自分の本心を認めてしまった。いつか君と離れる可能性があるなら、それまでは君の特別な存在として側にいたいと思ってしまった」
「それでドラコは、私に好きだと伝えてくれたのね。ドラコにそんな葛藤があったのに、私……。あの時は貴方の想いを突き放してしまって、本当にごめんなさい。」
「いいんだ。君はあの時、僕たちが純血に対する考え方が違うのを気にしていた。そういうことは純血に生まれた僕たちにとって凄く重要なことだし、仕方のないことだったんだ」