19. You are very special to me: 3rd volume
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フレッドとジョージがホグワーツの校内中に大量の花火を爆発させた日から、イースター休暇が始まるまでの二週間はあっという間に過ぎ去った。何故なら教師陣はあと約二か月に差し迫った『ふくろう試験』に向け、五年生に相変わらず大量の宿題を課していたからだ。試験を控えた五年生や七年生は勉強のために談話室と図書室のどちらかで缶詰になっていることが殆どだった。
フォーラの友人のパンジーに至っては、勉強の他に尋問官親衛隊の仕事が増えたことで忙しくしていたし、もう一人の友人であるルニーは、フォーラたちと一緒にいるとどうしてもお喋りしたくなってしまうからと、差し迫った試験のために一人でお気に入りの場所で集中することが多くなった。
そのためフォーラは学年末試験の勉強の他に、以前よりも四階の空き部屋で変身術の練習も積極的に行っていた。以前この場所で倒れてしまったことは覚えているが、あの時よりも今は随分変身術が上達していたし、余裕をもって魔法を使うことができるようになってきた。
フォーラは今や、高学年で学ぶ主要な変身術をかなりのレベルまで習得していた。今学年の比較的最初の頃に練習を始めた『目くらまし術』―――周囲の背景に同化することで姿を目に見えなくする魔法では、彼女はもう完全に自身の姿を消すことができた。加えて人のパーツを変化させる『人の変身』では、誰かとそっくりになることまでは難しいものの、以前のような手の年齢だけでなく、自身の顔や身体全体の年齢、パーツの形をある程度までならイメージ通りに変化させられるようになった。そして最近では、『双子の呪文』で校庭の湖のほとりをプリムローズの群生で一杯にしたことは記憶に新しい。
その習得期間の短さたるや、大人の魔法使いや魔女が舌を巻くこと間違いないだろう。大人でも難しいそれらの術は、まだフォーラの中で完璧でないものもあったが、傍から見ればもう十分使い物になるレベルだった。
さて、イースター休暇中に風は爽やかになり、段々と明るく、暖かくなってきた。しかし先述の通り、五年生と七年生は差し迫った試験のせいで、そのような雰囲気とは程遠かった。試験の重要性を強調するかのように、各寮の談話室のテーブルには魔法界の職業を紹介する小冊子やチラシ、ビラ等が積み上げられるようになった。そして追い打ちをかけるように、イースター休暇の終わり頃には掲示板に進路指導のお知らせが貼り出された。
『進路指導
夏学期の最初の週に、五年生は全員、寮監と短時間面接し、将来の職業について相談すること。
個人面接の時間は左記リストのとおり。』
リストを辿ると、フォーラは休暇明けの最初の月曜、午後三時にスネイプの部屋に行くことになっていた。彼女は進路について以外に、スネイプに個人的に相談したいことがあった。フォーラが新たに会得しようとしている変身術についてだ。そのためこの度の面談は、日頃忙しいスネイプと二人きりで話をするには大変都合が良かった。
面談に先駆け、フォーラも他の五年生たちも、休暇最後の週末の大部分は職業紹介資料を読んで過ごした。今学年のフォーラは友人や不死鳥の騎士団に所属する大人たちから、魔法界の職業について見聞きする機会が度々あった。例えば闇祓い、彼女の父のような魔法薬の研究者、母やアレクシスのような薬草栽培師、ホグワーツに所属する教師、フレッドやジョージが開く悪戯専門店のような小売業者―――。しかしこうして目の前に積まれた職業紹介資料に目を通してみると、彼女の知っている職業以外にも、世間には本当に多くの仕事があるのだと驚かされた。そしてその選択肢の多さゆえに、彼女は自分の将来像がまだあまり具体的に想像できなかった。
フォーラはそのように思いながら、談話室の一角でパンジーやルニーと共に様々な職業紹介の小冊子に目を通した。そしてフォーラが『聖マンゴ魔法疾患傷害病院』で『癒師』を募集しているパンフレットを手に取った時、ちょうど視線の先にプラチナブロンドの髪が遠目に煌めくのを見た。そこにはこちらに背を向けて座るドラコの姿があり、彼はクラッブやゴイル、セオドールと共に職業冊子に目を通しているところだった。
(正直、今は将来の職業に悩むよりも、ドラコや彼のご両親を『例のあの人』から引き剥がすにはどうするのが最善か、その方が悩ましいわ)
フォーラは束の間盗み見ていたドラコの後ろ姿から、手元の小冊子に視線を戻した。彼女は約二週間前に湖のほとりでドラコに振られて以来、彼とは挨拶含め話をしていなかった。あの時を最後に、彼女はとうとうドラコと積極的に会話しようとすることをやめてしまったのだ。
ドラコは自分に対して絶対に何かを隠している。フォーラはそう思っていた。そしてこれまで彼に避けられていた理由は自分を嫌っているからではなく、その隠し事から自分を遠ざけようとしていたからなのだと。彼の隠し事が何なのか、大まかにヴォルデモートが関係していそうなことくらいは想像がついた。しかしそれ以上のことは分からなかった。
ただ、フォーラはここ最近ドラコが何度か涙を流す姿を目の当たりにして、彼が確実に何か危険に晒されそうになっているか、既に晒されている可能性が高いと感じた。随分前にフォーラはアニメ―ガスに変身し、ドラコとその友人が会話の中で死喰い人の仕事と関りがないという話を盗み聞いた。あの時フォーラは安堵したが、あれからもう数か月経っている。最近のドラコの情緒不安定な様子からして、彼の状況が何か変化していてもおかしくないのだ。
フォーラの友人のパンジーに至っては、勉強の他に尋問官親衛隊の仕事が増えたことで忙しくしていたし、もう一人の友人であるルニーは、フォーラたちと一緒にいるとどうしてもお喋りしたくなってしまうからと、差し迫った試験のために一人でお気に入りの場所で集中することが多くなった。
そのためフォーラは学年末試験の勉強の他に、以前よりも四階の空き部屋で変身術の練習も積極的に行っていた。以前この場所で倒れてしまったことは覚えているが、あの時よりも今は随分変身術が上達していたし、余裕をもって魔法を使うことができるようになってきた。
フォーラは今や、高学年で学ぶ主要な変身術をかなりのレベルまで習得していた。今学年の比較的最初の頃に練習を始めた『目くらまし術』―――周囲の背景に同化することで姿を目に見えなくする魔法では、彼女はもう完全に自身の姿を消すことができた。加えて人のパーツを変化させる『人の変身』では、誰かとそっくりになることまでは難しいものの、以前のような手の年齢だけでなく、自身の顔や身体全体の年齢、パーツの形をある程度までならイメージ通りに変化させられるようになった。そして最近では、『双子の呪文』で校庭の湖のほとりをプリムローズの群生で一杯にしたことは記憶に新しい。
その習得期間の短さたるや、大人の魔法使いや魔女が舌を巻くこと間違いないだろう。大人でも難しいそれらの術は、まだフォーラの中で完璧でないものもあったが、傍から見ればもう十分使い物になるレベルだった。
さて、イースター休暇中に風は爽やかになり、段々と明るく、暖かくなってきた。しかし先述の通り、五年生と七年生は差し迫った試験のせいで、そのような雰囲気とは程遠かった。試験の重要性を強調するかのように、各寮の談話室のテーブルには魔法界の職業を紹介する小冊子やチラシ、ビラ等が積み上げられるようになった。そして追い打ちをかけるように、イースター休暇の終わり頃には掲示板に進路指導のお知らせが貼り出された。
『進路指導
夏学期の最初の週に、五年生は全員、寮監と短時間面接し、将来の職業について相談すること。
個人面接の時間は左記リストのとおり。』
リストを辿ると、フォーラは休暇明けの最初の月曜、午後三時にスネイプの部屋に行くことになっていた。彼女は進路について以外に、スネイプに個人的に相談したいことがあった。フォーラが新たに会得しようとしている変身術についてだ。そのためこの度の面談は、日頃忙しいスネイプと二人きりで話をするには大変都合が良かった。
面談に先駆け、フォーラも他の五年生たちも、休暇最後の週末の大部分は職業紹介資料を読んで過ごした。今学年のフォーラは友人や不死鳥の騎士団に所属する大人たちから、魔法界の職業について見聞きする機会が度々あった。例えば闇祓い、彼女の父のような魔法薬の研究者、母やアレクシスのような薬草栽培師、ホグワーツに所属する教師、フレッドやジョージが開く悪戯専門店のような小売業者―――。しかしこうして目の前に積まれた職業紹介資料に目を通してみると、彼女の知っている職業以外にも、世間には本当に多くの仕事があるのだと驚かされた。そしてその選択肢の多さゆえに、彼女は自分の将来像がまだあまり具体的に想像できなかった。
フォーラはそのように思いながら、談話室の一角でパンジーやルニーと共に様々な職業紹介の小冊子に目を通した。そしてフォーラが『聖マンゴ魔法疾患傷害病院』で『癒師』を募集しているパンフレットを手に取った時、ちょうど視線の先にプラチナブロンドの髪が遠目に煌めくのを見た。そこにはこちらに背を向けて座るドラコの姿があり、彼はクラッブやゴイル、セオドールと共に職業冊子に目を通しているところだった。
(正直、今は将来の職業に悩むよりも、ドラコや彼のご両親を『例のあの人』から引き剥がすにはどうするのが最善か、その方が悩ましいわ)
フォーラは束の間盗み見ていたドラコの後ろ姿から、手元の小冊子に視線を戻した。彼女は約二週間前に湖のほとりでドラコに振られて以来、彼とは挨拶含め話をしていなかった。あの時を最後に、彼女はとうとうドラコと積極的に会話しようとすることをやめてしまったのだ。
ドラコは自分に対して絶対に何かを隠している。フォーラはそう思っていた。そしてこれまで彼に避けられていた理由は自分を嫌っているからではなく、その隠し事から自分を遠ざけようとしていたからなのだと。彼の隠し事が何なのか、大まかにヴォルデモートが関係していそうなことくらいは想像がついた。しかしそれ以上のことは分からなかった。
ただ、フォーラはここ最近ドラコが何度か涙を流す姿を目の当たりにして、彼が確実に何か危険に晒されそうになっているか、既に晒されている可能性が高いと感じた。随分前にフォーラはアニメ―ガスに変身し、ドラコとその友人が会話の中で死喰い人の仕事と関りがないという話を盗み聞いた。あの時フォーラは安堵したが、あれからもう数か月経っている。最近のドラコの情緒不安定な様子からして、彼の状況が何か変化していてもおかしくないのだ。
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