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Side:Tif


サニーが自分がメニューを作ると言ってくれた時、私は本当に嬉しかった。というのも私の意見は、きっとサニーが手助けしてくれるだろうと踏んでのことだったからだ。

私が入部してから、新しい環境において自分を支えてくれたのは、愛する家族ももちろんそうだが、テヨンとサニーだった。

テヨンは幼馴染として、色々な相談を聞いてくれたし、部活のことも分からないことがあれば聞いた。でもテヨンは他の部員と話していたり、塾に行くため部活に自主練まで残れなかったりすることもあった。その時に私に話しかけて助けてくれたのはサニーだった。彼女は選手の練習中の動きをよく見ていて、癖や欠点を正確に把握していた。上手く行かないことがあれば、いつも彼女の元に行き意見を聞いた。彼女の説明は端的で分かりやすく、専門用語を使う時には、その言葉も説明してくれた。私はサニーはただのマネージャーではないと分かっていた。

彼女が聡明で成績優秀であることは、他クラスの私の元へも噂として伝わってきていた。やはり本当に頭がいい人は、自分より賢くない人にも適切に説明を補いながら、自身の脳内の事柄を伝えられるのだと思った。塾や家庭教師に気乗りしなかった私は、申し訳ないと思いつつもサニーに勉強を教えて欲しいと頼んだ。彼女は快く笑顔で了承してくれ安心したのを覚えている。それから私たちは部活の後、週に二度ほど、駅の近くの図書館で一緒に勉強するようになった。サニーを送って帰るのを日課としていたスヨンとユリにウインクをして、サニーの荷物を私の自転車に乗せて一緒に図書館まで歩くのはとても楽しかった。

サニーの集中力は凄まじく、一度勉強を始めると彼女の方から休憩を申し出ることはない。一方、私は勉強が好きではないし、難しい問題にぶつかるとすぐにやる気をなくしてしまうので、勉強中のサニーを盗み見ることが多かった。


その日も同様に数学の課題を進めるサニーを眺めていた。彼女はいつも姿勢良くノートに向かう。長いまつ毛の奥の伏せられた真剣な瞳、そこに少しかかる前髪、真っ直ぐに通った鼻筋、可愛いピンクの唇、ノートの上でサラサラと動く白くて小さな手、そして制服の下に隠された形のいい…。
疲れているのだろうか、今日はいつも以上に煩悩が多い。
集中しようと目線を下におろしても、彼女の手や胸は視界に入ってきて、手元に待機している方程式を解けるような状況では無かった。彼女は部員で友達で、それ以上になることはきっとないと分かっているのに、どうしてもその先を妄想してしまう。打ち明けてしまいたいと叫ぶ心に逆らおうとして、彼女の欠点を探すほどさらに惹かれてしまっていた。

「ティファニー?」

珍しく集中を解き手を止めて心配そうな顔で私を呼ぶ彼女は、私のことをどう思っているのだろうか。

「具合悪い?」

シャーペンを置いて、そっと私の頬に伸ばされるのは、先程まで私が見つめていた白い手で突然心臓がドキドキと走り出す。落ち着けと信号を送っても全く機能しない脳みそに苛立ちを覚えつつ彼女と目を合わせると、さらに大きな鼓動が聞こえた。頬に添えられた手から伝わってしまっていないだろうか。

「今日はもう帰ろうか」

少し甘い声で囁かれたその声に余計な妄想が捗って仕方なかった。
この時だけは自分の想像力を恨んだ。

どんな返事をしたのか、そもそも返事をしたのかすら記憶がないが、家に着いても彼女に触れられた所が熱い気がしていた。



その日から私はサニーと二人きりで勉強するのをやめて、テヨンをはじめハンド部員も誘うようにした。
それは私のためでもあったし、きっと彼女にとってもその方が良かったと思う。賢い彼女は自分に向けられる熱い視線にきっと気づいていただろうから。

そして私はそれらを全て思春期にありがちな気まぐれだとして放っておくことにした。
きっと自分でも気付かないうちに消えてしまうような、一時的な恋心だと信じていたのだ。
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