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Side:X
入学してからあっという間に三ヶ月が経ち、もう夏休みは目前だった。カンカンと照りつける日差しの中、ハンド部の一年生は黙々と練習していた。彼らの表情には怒りが混じっているように見える。
彼らが入部してからの部活は順調であると同時に、不調であった。一年生の実力は確かに伸びていたし、特に高校に入ってハンドを始めたティファニーは、部員に積極的に質問しながらみるみるうちに成長していった。
不順の要因は彼らではなく、顧問と先輩にあった。
第一に顧問はハンド未経験者であった。この学校は元々全国大会にも出場するほどの強豪校であったのにも関わらず、今の顧問に変わってから徐々にレベルが落ちてしまっていた。それに準じて選手の質も落ち、モチベーションも下がっていた。経験者ばかりの一年生に、初めは興奮していた先輩たちも、総体が近づくにつれストレスも溜まっていき、一年生が部活を盛り上げるようになっていた。もう一つの問題は総体のスタメンについてだった。顧問や部の方針上、スタメンは技術や得点力ではなく年功序列であった。ベンチ入りできるのは計十四名であり、三年生が七名、二年生が九名いたためスヨン達はベンチに入ることすらできなかった。仕方ないことだと分かっているが、フラストレーションは溜まっていった。
結局総体は二回戦負けで呆気なく終わった。
三年生が部活を引退した後、少しは伸び伸びできると思っていたが、今度は二年生が横柄な態度を取るようになった。上下関係には慣れてきている一年生だったが、実力の伴わない驕りほど腹が立つものはなかった。部活を休む二年生も増え、部員同士の溝は深まって行くばかりだった。
今日も二年生は勉強が忙しいだの、用事があるだの言って部活を休んでいる。
「休憩しよう」
暗い表情でシュート練習をしていた部員にテヨンが声をかけた。ベンチにみんなで寄って他愛もない話をするが、そこに笑い声はない。
「これからどうする?」
ヒョヨンの問いに、空気はさらに重くなる。テヨンは今日のメニューについて説明をするが、そういうことじゃないと一蹴された。ヒョヨンが問うているのは部活の今後についてだ。
「先輩たちは部活が面白くないと思ってるんだと思う」
「じゃあどうやって楽しさを伝えればいいの」
「みんなはどんな時部活が楽しいって思う?」
「プレーが上手くいった時」
「先輩たちには成功体験が足りないんじゃないかな。私も一通りできるようになるまでは毎日不安だったし。こう、もっと突き詰めた練習をすれば先輩たちも部活をしたいって思ってくれるかもしれない」
ティファニーの意見で空気が変わった。解決策が一つ見えてきた。しかし、中学時代はコーチの言う通りに練習してきた彼らには自らメニューを考える力が無かった。せっかく見えた一筋の光が消えかかっていた時、黙って聞いていたサニーが手を上げた。
「私がメニューを考えます」
部員の瞳には期待と不安が半々だった。
もうすぐ夏休みが始まる。
