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Side:X

6月。

体育祭を終えハンド部の面々は校内で少し有名になっていた。入学式の日から噂になっていたのはユリだった。なんと彼女はHRの自己紹介の際に、自分のセクシュアリティ、つまり自分は女の子が好きであることをカミングアウトしたのだ。これはユリなりの"高校デビュー"だったと言える。多様化が進んでいるというが、それでもなお偏見を持っている人々は一定数残っている中での勇敢な発言にクラスの人々は驚いた。美人で背が高く引き締まった体のユリに興味を示す女子もおり、ユリは自意識過剰な女の子たちから声をかけられることもあった。

そしてユリが有名になるのに比例して、ユリと幼馴染で常に一緒にいるスヨンにも注目が集まった。そもそも周りより頭一つ抜けた長身と、長い手足、ボーイッシュな見た目や振る舞いからファンを自称する生徒は多かったのだが、ユリのカミングアウト事件が広まるにつれて、スヨンも実は女の子が好きなのではないか、ユリとスヨンは恋仲なのではないかという憶測が飛び交うようになった。スヨンもユリも「あいつは絶対にありえない」と恋仲疑惑についてははっきりと否定したが、あまりに距離が近いので彼らを信じない者もいた。

ヒョヨンは学年一面白い女子だと話題になっていた。授業中でも思ったことを口にして、クラスに笑いをもたらすことが何度もあった。また彼女の大胆さには多くの人が感心していた。

ティファニーとサニーは主に学力で有名になった。ティファニーは帰国子女であるため、英語がペラペラで定期テストはもちろん、学力テストや模試でも素晴らしい成績を取っていた。入試でも英語で満点を取っており、それをクラスでポロッと漏らしたところ、英語がえぐいやつがいると学年全体で話題になった。

サニーはティファニーとは打って変わってオールラウンダーだった。国語も数学も英語も、社会や理科も、どの教科でも上位にいた。授業で一度聞けば内容をほとんど理解できるため、自宅での学習時間はそこまで長くなくても、授業について行けたし、テストでも良い成績が取れた。そうして天才だと噂されるようになった。

テヨンはこのような情報量の多い部員をまとめているリーダーとして知られ、表面上は弱気を演じているが、実は裏ボスなのではないかという妄想も一部では囁かれていた。


なんにせよ、とにかく全員が人気でモテていた。そして体育祭での活躍により、さらに人気に火がついたのだ。


 ボーイッシュな見た目や、男勝りな性格から女子にモテる部員が多かったが、ティファニーとサニーは男子に人気だった。ティファニーは性格上、知りもしない男には目もくれず、告白されても平気で振ることができたが、サニーはそうではなかった。というより相手の手口が良くなかった。サニーに近づく方法を考えた男子達は成績優秀なサニーに勉強を教えてもらうように願い出るようになった。サニーは同じクラスなど面識のある人物であれば、断らず受け入れた。それを見ている同じクラスのテヨンとスヨンは気が気でなく、サニーが男子に誘われそうになっていれば、邪魔をしたり威圧したりしてサニーに近づくことを諦めさせていた。


周りの目や面倒な絡みに飽き飽きしていたハンド部員は、昼休みは空き教室に集まり一緒にご飯を食べ、放課後も単独行動はなるべく避けるようにした。それにより彼らの絆は強まった。
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