気づき
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*
「石田さんって髪の毛綺麗ですよね」
椅子とマイクが並べられた空間に2人、
私は隣に座っている石田さんの髪をぼんやりと眺めて呟いた。
彼はお世話になっている先輩の1人で、たまーにご飯をご馳走になったり……気兼ねなく話せる人、のはず。
石田さんは台本から視線を上げこちらに目を向けた。
「...そう?」
「そうですよ、業界1綺麗だなんて言われてますから」
「ええ…なにそれ」
何もしてないんだけどな、と石田さんは指先で自分の髪を軽く触った。
いつ見てもサラサラで艶々の髪。
…正直めちゃくちゃ羨ましい。
「君の方が綺麗だと思うけど」
「いやいや、全然ですよ!」
思わず自分の髪に目をやる。サラサラどころかまとまりのない髪。
最近バタバタしていて、美容院に行ってなかったな。
まぁ最近は収録ばかりで身なりを気をつける必要もそんなに……
…いや、そんな事を言ってるからダメなのか。
そろそろ、行かないとなぁ。
自分の髪の毛を眺めていると横からすっと手が伸びてきて、私の髪をふわりと包み込んだ。
「いいと思うけど…ふわふわで」
「えっ!?」
え……?今髪触られてる??
石田さんが私の髪を……??
あまりの驚きに台本をバサリと落とし、私の体はピシリと固まってしまう。
彼の手が動く度に髪が頬を撫で、擽ったい感触に頬が熱を帯びる。
何食わぬ顔で私の髪の毛を触っている石田さんと目が合い、胸がドキリと鳴った。
お互い無言の状況続き、石田さんの指が頬に触れた瞬間、体がぴくりと震えた。
「おはようございますー!」
「っ!?」
突然聞こえてきた声にはっと体を引く。
慌てて挨拶を返すと胸の鼓動を抑えるようにふぅと息を吐いた。
あ、危ない。ここスタジオだった…。
膝の上に落ちていた台本がそっと置かれ、石田さんが拾ってくれたのだと気づく。
「あ、ありがとうございま──」
のぞき込まれるように目が合う。
前髪の隙間から覗く黒い瞳はうっすらと笑みを浮かべていた。
「……残念」
小さく呟かれた言葉に、心臓がドクリと音を立てる。
彼は何事もなかったかのように姿勢を戻すと台本に目を落とした。
──どうして、
いつもギリギリに来るのに今日は早いとか
2人しかいないのに隣に座ったりとか
わざわざ髪を触ったり、とか
体の奥からじわじわと熱が広がる。
台本を握る手が強くなりくしゃりと音を立てる。
───違う
石田さんはそんな人じゃなくて、人と距離を置くタイプだ。
プライベートの話はしないし、ご飯の誘いにも来ないって有名で……
……あれ、連絡先を交換しようって言ったのも、現場が被った時にご飯に誘ってきたのもいつも彼の方からで───
スタジオに広がる声と足音が遠くでぼんやりと聞こえる。
台本の文字が模様みたいに揺れて、頭の中は彼の事だけで埋め尽くされていた。
これからどう話せばいいか、回らない頭でぐるぐると考えていた。
END
「石田さんって髪の毛綺麗ですよね」
椅子とマイクが並べられた空間に2人、
私は隣に座っている石田さんの髪をぼんやりと眺めて呟いた。
彼はお世話になっている先輩の1人で、たまーにご飯をご馳走になったり……気兼ねなく話せる人、のはず。
石田さんは台本から視線を上げこちらに目を向けた。
「...そう?」
「そうですよ、業界1綺麗だなんて言われてますから」
「ええ…なにそれ」
何もしてないんだけどな、と石田さんは指先で自分の髪を軽く触った。
いつ見てもサラサラで艶々の髪。
…正直めちゃくちゃ羨ましい。
「君の方が綺麗だと思うけど」
「いやいや、全然ですよ!」
思わず自分の髪に目をやる。サラサラどころかまとまりのない髪。
最近バタバタしていて、美容院に行ってなかったな。
まぁ最近は収録ばかりで身なりを気をつける必要もそんなに……
…いや、そんな事を言ってるからダメなのか。
そろそろ、行かないとなぁ。
自分の髪の毛を眺めていると横からすっと手が伸びてきて、私の髪をふわりと包み込んだ。
「いいと思うけど…ふわふわで」
「えっ!?」
え……?今髪触られてる??
石田さんが私の髪を……??
あまりの驚きに台本をバサリと落とし、私の体はピシリと固まってしまう。
彼の手が動く度に髪が頬を撫で、擽ったい感触に頬が熱を帯びる。
何食わぬ顔で私の髪の毛を触っている石田さんと目が合い、胸がドキリと鳴った。
お互い無言の状況続き、石田さんの指が頬に触れた瞬間、体がぴくりと震えた。
「おはようございますー!」
「っ!?」
突然聞こえてきた声にはっと体を引く。
慌てて挨拶を返すと胸の鼓動を抑えるようにふぅと息を吐いた。
あ、危ない。ここスタジオだった…。
膝の上に落ちていた台本がそっと置かれ、石田さんが拾ってくれたのだと気づく。
「あ、ありがとうございま──」
のぞき込まれるように目が合う。
前髪の隙間から覗く黒い瞳はうっすらと笑みを浮かべていた。
「……残念」
小さく呟かれた言葉に、心臓がドクリと音を立てる。
彼は何事もなかったかのように姿勢を戻すと台本に目を落とした。
──どうして、
いつもギリギリに来るのに今日は早いとか
2人しかいないのに隣に座ったりとか
わざわざ髪を触ったり、とか
体の奥からじわじわと熱が広がる。
台本を握る手が強くなりくしゃりと音を立てる。
───違う
石田さんはそんな人じゃなくて、人と距離を置くタイプだ。
プライベートの話はしないし、ご飯の誘いにも来ないって有名で……
……あれ、連絡先を交換しようって言ったのも、現場が被った時にご飯に誘ってきたのもいつも彼の方からで───
スタジオに広がる声と足音が遠くでぼんやりと聞こえる。
台本の文字が模様みたいに揺れて、頭の中は彼の事だけで埋め尽くされていた。
これからどう話せばいいか、回らない頭でぐるぐると考えていた。
END
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