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第一話 ハロー、ワールド


 わたしは、ユウ。
 関西でゲームクリエイターをしていた26歳。

 ……だった、はずなんやけど。

「おや? なんだか蓋が開いているからと覗いてみたら。う~ん。女性は募集していないはずですが」

「く……(く、くくくくくクロウリーさんやん!!)」

 なんか、目覚めたら、棺の中にいて、どうやら某スマホゲームの世界に転生? したっぽい??

「まあまあ、そんなに怯えないで。混乱されているようですし、少し紅茶でもいかがです?」

 転生してきたんが、ゲーム内容知らん系女子やったら絶対絶叫されてるな、この人。
 現実世界におったら通報もんやん。
 まあ、わたしもあんまり知らんけど。

「み、ミルクティー、あります?」

「ふふふ、ご用意いたしましょう! どうぞこちらへ」

 こうして、わたしは棺があちこちに浮いている、という不思議空間を、仮面とマントのジェントルマンに連れられ、抜け出し、ジェントルマンことクロウリー学園長と学園長室にやってきた。

 学園長は、わたしをふかふかのソファーに座らせ、何やら鼻歌でも歌いながら紅茶の用意をしてくれた。
 どうやら紅茶を入れるのもここでは魔法らしい。のか? それとも、学園長だけがこういう魔法使えるんかな?
 学園長が学園長なのは来る途中に教えてくれた。知ってたけど。

「え~っと、なんと、お呼びしたら?」

「ユウ、と呼んでください」

「ではユウさん、お砂糖はどうします?」

「いえ、お砂糖はいりません」

「おお! 大人ですねぇ」

 本当は紅茶派じゃなくてコーヒー派(無糖)なんだけどな。
 紅茶だとよく無糖のミルクティー飲んでたなぁ。午後のやつ。
 サムさんだっけか。購買部にコーヒー売ってるかな……。

 あ、ごめんよ。親友。
 なんでこのゲーム好きなあんたやなくてわたしが転生したんやろうなぁ……。
 まぁ、あいつ大概やばめのオタクやからメタ発言してキャラからビビられてそう。

 正直者で可愛いんやけどなぁ。

 あいつとももう会えんのか。
 ……なんや、寂しいなぁ。

「なにか、お考えですか?」

 学園長はわたしにホットミルクティーを手渡してきて、仮面で半分隠れた顔でじっと、見つめてくる。

「いえ、故郷が恋しくなっただけです」

「故郷は、どちらです? どうやら貴女の資料がないんですよねぇ」

 学園長の手元に資料らしき紙の束が出ては消え出ては消えする。

「……日本」

「?? ニホン??」

「多分、この世界じゃない」

「なんと……!? それは、なぜわかるんです?」

 わたしはミルクティーを一口飲んだ。
 ああ、この味好きだな。
 それが、率直な感想だった。

「だって、わたし、26歳やねんけど、十代に若返ってるし、尚且つ日本、っていうか地球には魔法はない」

 さっき姿見で自分が16歳の姿に戻っているのを見てしまった。
 この時代の自分嫌いなんだよな。
 顔と胸が比例してなくて。
 ガキの顔に発育のいい胸って気持ち悪い。

 学園長が何かを言おうとした瞬間、モブキャラが慌てた様子で現れて、小型のモンスターが入学式の会場である講堂で暴れている! と叫んだ。

 グリムだ!!

 学園長は此処にいるようにと言ったが、わたしは一人が怖いと嘘を吐いて講堂についていった。

 ハロー、ワールド。

 いや、ハロー、ツイステッドワンダーランド。


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