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1.一筋の闇

…とてつもなく暗い。とてつもなく寒い。
暗闇に目が慣れると、そこはいつもの自分の部屋。
倒れていた身体をゆっくりと起こす。
時刻はわからない。
いつも頼りにしている日の光すらも、
自分の視界のどこにもなかった。

…カーテンはつけていない。それなのに暗すぎた。
部屋の灯りも消えている。
私はランタンに火をつけようと、
マッチがあるタンスに手を伸ばす。
…ザラザラとした感触が手から伝わる。
これはタンスでは無い?これは…陶器のような?
いつの間にか、それは手から離れて。
どこかでパリッと音を立てて、
何かが割れた音がした。
…怖い。自分が経験した事の無いくらいの
暗闇が恐ろしかった。
音がした方から遠ざかろうと後ずさり。

…すると、石であろうものを踏みつけてしまった。
しかし、石にしては柔らかいような…?
頭に考えがよぎった次の瞬間。
「…いっ?!」
右肩が痛む。ほんの一瞬。
すると今度は、ズキズキとした痛みが襲う。
声も出せない痛みに、意識が遠のく。
…そして、真の暗闇と静寂が訪れた。



気がつくと、暖かい部屋で目を覚ます。
外は暗闇ではなく、曇り空だった。
先程までの出来事は夢だったのか、と思った矢先。
身体を起こそうとし違和感を覚える。
…右腕が無い。
痛みを感じた部分から無くなっている。
肩に巻かれた包帯は、
あれが現実であると認識させた。

何とかして身体を起こす。
ここは…和室?
畳の床に木の柱。見覚えのある景色だった。
そしてこの部屋には、やはり知り合いがいた。

「ようやく起きてくれたのね、サニーミルク。」
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