第1章 旅立ち
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──── 12年前 ────
?「父さんッ、母さん!!」
誰かが泣き叫ぶ声が聞こえる。
どうやら、子供のようだ。
?「ねぇ、返事をしてよぉ、熱いよぉ……………っ。
だれか……………っ」
パキパキと燃えさかる火の中で、子供が泣きながら、苦し紛れに両親を呼んでいた。
?「父さん、母さん!!」
だが、いくら呼んでも両親の声はなかった。
?「………っ、どこにいるの?ねぇ………ッ」
両親を捜そうと、火の海と化した我が家を歩く。所々に火が道をふさぎ、喉は熱気と火の粉でヤケそうだった。
一歩ずつ足を運ぼうとした時、近くで「ウォン」と何かの鳴き声が聞こえた。
向こう側から、何かが走ってくる。
犬だ。
どうやら、自分たちの主を探しに来たのだろう。
それを見た子供はふと笑顔になり、大声で呼ぶ。
?「!!、リッキー、ラッド」
子供がそう呼ぶとシベリアンハスキーらしき大型犬と、警察犬として名があるシェパードの中型犬がススだらけになりながら、主の元へと駆け寄る。
?「リッキー、ラッド。父さん達は?」
リッキー「……………」
ラッド「クゥーン………」
悲しそうに鳴くラッドの隣で、リッキーは子供を背へと乗せる。
何も答えてくれない彼らに一抹の不安が押し寄せてくる。もしかしたら、もう会えないのかもしれない。ここにはいないのかもしれない。ぐるぐると嫌なことが頭の中を巡る。そんな様子をラッドは子供に一吠えしてから、ここから出るように促せば、リッキーも子供を背負いながら走る。
それからしばらくして、火の海と化した我が家から外へ出ると、救助隊なのだろうか。
防火服を着た人が、リッキーに乗った子供を毛布にくるんで、病院へと搬送していった。
もちろん、子供を救い出したリッキー達も、念のため動物病院へと連れて行かれた。
──── ある、アパートの一室 ────
中は必要最低限の物しか置かれていなくて、さっぱりとした静かな印象の部屋だった。
そんな中で、カチャカチャと機械をいじっている音が響く。この部屋の主なのか、一人の少女が誰もいない部屋のソファーで、ゲームをしていた。
彼女の両隣に、シベリアンハスキーの犬とシェパード犬が彼女を守るように昼寝をしていた。
すると、部屋のドアがカチャリと開く音がしたのか、昼寝していた二匹の犬はその音に反応して頭を持ち上げる。
だが少女はイヤホンをしながらゲームをしていたらしく、その音があったことなど、気にもとめていなかった。
だからなのか、背後に近付いてくる者の気配も感じ取れなかった。
────ごんッ。
?「いったぁ!?……………もー、なんな………の……………」
放たれた拳骨の痛みが頭に響く。それに耐えながら後ろへ振り向けば、思わず「げ。」と顔をひくつかせた。
腕を組ながら青筋をたてて睨み付ける様はまるで、仁王立ちの鬼だ。鬼が帰ってきて早々説教をしに頭を掴みかかってくる。
一樹「陽菜、今日は診察を受けに病院、行ってきたんだよな?」
陽菜「い、行ってきました………あの、頭を掴む力強めるのやめて。地味に痛いから………!」
一樹「今朝、俺なんて言った?
病院帰りに学校行くように。って言ったよな。何でここにいるのか、説明してくんない?」
陽菜「っ、……………説明したところで、なんだって言うの」
ぎり、と奥歯を噛み締めながら、病院で言われたことが脳裏に甦る。
────もう、治せない。
治せたところで、今後、後遺症として残るだろう。
あの火事で両親がいなくなって、近所だったとはいえ、一樹兄にお世話になりながらここまで来たのに。
自分の足で、前を進めれるようにリハビリだろうがなんだろうが、頑張ってきたのに。罪悪感と孤独に苛まれて、胸の奥が苦しかった。
一樹「……………陽菜?」
陽菜「病院でもう治せないと追い出され、その足で学校にいけばどんな目で見られるか………想像したことはある?
病院帰りで来たんだ、興味深く見る人もいれば嫌悪する人だっている。そんな居ても居なくても当然な居心地の悪い場所なんて、行きたくないに決まってるでしょ………!?」
一樹「治、せないって………おい、待て………っ、陽菜!」
激昂したまま立ち上がろうとすれば、側にいた2頭が体を私に押し付けながら跨がる手伝いをしてくれた。その体勢で大型犬の背に跨がり、ある程度必要なものを掴んで足早に玄関へと向かう。
バタンッ。
一樹「……………。
時はきた、か……………」
彼が呼び止めるよりも先に勢いよく玄関が閉められる。呆然と立ち尽くす彼に寄り添うように、頭をすり付ける犬を撫でながら、独り言を呟く。それと同時に、犬の体が赤黒く光り出し、部屋中の至るところに魔方陣のようなものが展開していく。
一樹?「長かったなァ………ようやく、お前を捕まえれるよ、セレシア」
ぶくぶくと姿形も変容していく己の体を見ながら、不気味な笑みを浮かべる異形は、彼女が去っていったその先を見つめていた。
?「父さんッ、母さん!!」
誰かが泣き叫ぶ声が聞こえる。
どうやら、子供のようだ。
?「ねぇ、返事をしてよぉ、熱いよぉ……………っ。
だれか……………っ」
パキパキと燃えさかる火の中で、子供が泣きながら、苦し紛れに両親を呼んでいた。
?「父さん、母さん!!」
だが、いくら呼んでも両親の声はなかった。
?「………っ、どこにいるの?ねぇ………ッ」
両親を捜そうと、火の海と化した我が家を歩く。所々に火が道をふさぎ、喉は熱気と火の粉でヤケそうだった。
一歩ずつ足を運ぼうとした時、近くで「ウォン」と何かの鳴き声が聞こえた。
向こう側から、何かが走ってくる。
犬だ。
どうやら、自分たちの主を探しに来たのだろう。
それを見た子供はふと笑顔になり、大声で呼ぶ。
?「!!、リッキー、ラッド」
子供がそう呼ぶとシベリアンハスキーらしき大型犬と、警察犬として名があるシェパードの中型犬がススだらけになりながら、主の元へと駆け寄る。
?「リッキー、ラッド。父さん達は?」
リッキー「……………」
ラッド「クゥーン………」
悲しそうに鳴くラッドの隣で、リッキーは子供を背へと乗せる。
何も答えてくれない彼らに一抹の不安が押し寄せてくる。もしかしたら、もう会えないのかもしれない。ここにはいないのかもしれない。ぐるぐると嫌なことが頭の中を巡る。そんな様子をラッドは子供に一吠えしてから、ここから出るように促せば、リッキーも子供を背負いながら走る。
それからしばらくして、火の海と化した我が家から外へ出ると、救助隊なのだろうか。
防火服を着た人が、リッキーに乗った子供を毛布にくるんで、病院へと搬送していった。
もちろん、子供を救い出したリッキー達も、念のため動物病院へと連れて行かれた。
──── ある、アパートの一室 ────
中は必要最低限の物しか置かれていなくて、さっぱりとした静かな印象の部屋だった。
そんな中で、カチャカチャと機械をいじっている音が響く。この部屋の主なのか、一人の少女が誰もいない部屋のソファーで、ゲームをしていた。
彼女の両隣に、シベリアンハスキーの犬とシェパード犬が彼女を守るように昼寝をしていた。
すると、部屋のドアがカチャリと開く音がしたのか、昼寝していた二匹の犬はその音に反応して頭を持ち上げる。
だが少女はイヤホンをしながらゲームをしていたらしく、その音があったことなど、気にもとめていなかった。
だからなのか、背後に近付いてくる者の気配も感じ取れなかった。
────ごんッ。
?「いったぁ!?……………もー、なんな………の……………」
放たれた拳骨の痛みが頭に響く。それに耐えながら後ろへ振り向けば、思わず「げ。」と顔をひくつかせた。
腕を組ながら青筋をたてて睨み付ける様はまるで、仁王立ちの鬼だ。鬼が帰ってきて早々説教をしに頭を掴みかかってくる。
一樹「陽菜、今日は診察を受けに病院、行ってきたんだよな?」
陽菜「い、行ってきました………あの、頭を掴む力強めるのやめて。地味に痛いから………!」
一樹「今朝、俺なんて言った?
病院帰りに学校行くように。って言ったよな。何でここにいるのか、説明してくんない?」
陽菜「っ、……………説明したところで、なんだって言うの」
ぎり、と奥歯を噛み締めながら、病院で言われたことが脳裏に甦る。
────もう、治せない。
治せたところで、今後、後遺症として残るだろう。
あの火事で両親がいなくなって、近所だったとはいえ、一樹兄にお世話になりながらここまで来たのに。
自分の足で、前を進めれるようにリハビリだろうがなんだろうが、頑張ってきたのに。罪悪感と孤独に苛まれて、胸の奥が苦しかった。
一樹「……………陽菜?」
陽菜「病院でもう治せないと追い出され、その足で学校にいけばどんな目で見られるか………想像したことはある?
病院帰りで来たんだ、興味深く見る人もいれば嫌悪する人だっている。そんな居ても居なくても当然な居心地の悪い場所なんて、行きたくないに決まってるでしょ………!?」
一樹「治、せないって………おい、待て………っ、陽菜!」
激昂したまま立ち上がろうとすれば、側にいた2頭が体を私に押し付けながら跨がる手伝いをしてくれた。その体勢で大型犬の背に跨がり、ある程度必要なものを掴んで足早に玄関へと向かう。
バタンッ。
一樹「……………。
時はきた、か……………」
彼が呼び止めるよりも先に勢いよく玄関が閉められる。呆然と立ち尽くす彼に寄り添うように、頭をすり付ける犬を撫でながら、独り言を呟く。それと同時に、犬の体が赤黒く光り出し、部屋中の至るところに魔方陣のようなものが展開していく。
一樹?「長かったなァ………ようやく、お前を捕まえれるよ、セレシア」
ぶくぶくと姿形も変容していく己の体を見ながら、不気味な笑みを浮かべる異形は、彼女が去っていったその先を見つめていた。