第4章 濡れ衣
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魔導士「これは、おとぎ話にもある内容だな。
世界中の誰もが、その秘宝を求め………その島を攻略しに行った。
一人の少女を犠牲としてまで求める秘宝など、ろくなものがないというのに………」
陽菜「……………そう、ですね。
ありがとうございます、読んでくださって………助かりました。」
魔導士の人に読んだ本を返された私は、その本を元の本棚に戻してから、彼にお礼を言って頭を下げた。
陽菜(気になることは、多分………リッキーが知っているはずだから聞くとするか)
魔導士「………お前」
陽菜「え?あっ、はい」
なんだろうと、魔導士の人の顔を見ると、彼はなんかそっぽを向きながら「もう………モルディオに、もう会った?」と聞いてきた。
陽菜「ええ。
今は私の仲間と一緒にシャイコス遺跡に行っています。
私は、ここで友達とお留守番してるんです」
魔導士「そう。じゃ、俺はそろそろ行く。
…………お前はあの連中とは違って、やけに優しいな」
陽菜「あ、あはははは………そう、ですかね」
魔導士「………ああ」
苦笑いを見せた私に、魔導士の人は頭を下げると、その場を立ち去っていった。
陽菜「………さて。私もそろそろリタちゃんの小屋に戻るかな」
───── リタの小屋 ─────
陽菜「と、いうわけで……………話し合いをしようか、リッキー?」
リッキー『!?
な、なんだよ。やぶから棒に………』
私は戻って来るや否、リッキー(もう犬の姿に戻ってる)に、黒い笑顔でそう話を切り出す。
戻ってくるまで間、仮眠でもしていたのだろう。熱で寝込んでたのを看病してくれてたんだ、別に寝てて良いんだけれど、これだけは聞いておかなきゃ、いつまでたってもスッキリしない。
陽菜「さっき、書庫で本を読んでたの。
………正確には読んでもらったけど」
リッキー『おう、だけど………それがどうしたってんだ?』
陽菜「おかしいんだよ。私が知っていることと、本に掲載されていた情報と全く逆で全然違ってたの」
「ねえ、なんか知ってるんでしょ」とリッキーに詰め寄る。
リッキー『………!!』
陽菜「お願い。知っていること、全部話して」
そう言うと、リッキーは私の熱意に負けたのか、『分かったよ、お嬢。全部話す』と言って話してくれた。
もちろん、深々と溜め息をついていたけど。
リッキー『………お嬢、本に載ってた事ってなんだった?』
陽菜「えっと、“12年前に古の神ノ島という秘境の地を治めていた女王がいた。
だが女王が双子の子を産み息絶えたあと、女王が治めていた当時より結界によって保たれていた安寧は、彼女が亡くなったことを境に結界は崩れ、数多の冒険者や盗賊、トレジャーハンター達により、その土地は壊滅へと向かっていった。
また島の中枢部に位置する神殿に、手にすればすべてのものを手に入れられるという秘宝が眠っているという。
その宝箱に鍵穴はなく、幽閉されていた夕星の子と共鳴したため、多くのものは『秘宝の鍵は夕星の子にある』として、彼女の心臓を狙う者が後を絶たなかった。”」
「だったと思うけど………」と口を濁してそう言うと、リッキーは悲しそうに話してきた。
リッキー『……………。12年前となると………当時、お嬢とガルシアの坊は、まだ7歳だな。』
リッキーの言葉に、私は小さく頷く。
双子だった、と言うことなら、カナも私と同じ年齢だ。
リッキー『悪いが、俺も詳しくは知らねぇんだ。
お嬢達が生まれる前、俺は知っての通り………元の世界に存在していたアヤカシだ。
なんの変哲のない、誰もがアヤカシが視れない。そんな世界に、ある赤子を抱いて現れた人間の男女がいた。
その赤子は、後にお嬢の母親となるガキだった』
それを聞いて、小さく喉をならす。
私達双子が生まれる前の話………初めて聞くそれに、静かに耳を傾ける。
リッキーがいうには、あの家は境界やこの世界を繋ぐ何かしらの術のようなものがあったらしい。
その力で、元の世界へ来た3人は定住し、明星の子と夕星の子の事を理解できる大人になるまでの禁句として守り続けていたが、住む環境が違うにも関わらず、必ず双子が生まれるようになったという。
そして、その場を見ていたリッキーは、母達と『子供達が子孫が途絶えることなく守ってほしい』そんな契約をしたそうだ。
私達が産まれ、約7歳の時、祖父母である母の両親と共に、兄のガルシア───元の世界での名前では───奏太は、私達と生き別れるようにしてこの世界に残された。
それが、私達一族の掟であったと言うが、父はリッキーと同じ元の世界に住む純日本人だったから、彼には何も話していなかったらしい。
兄は祖父母に預けるとしか聞いていなかったそうだ。
理由は、奏太が母の一族の秘密について知っていたことと、なぜ私達が狙われているのかだった。
確かに幼いながらにその事を話されてしまえば、事実を知らない人にとっては“子供は時として、すごいことをいう”程度ですまされてしまう。
けれど、それを知っていた者にとってなら………?
それを考えたら、ぞわりと背筋が凍った。
あの火事は私達を狙っていた人による放火事件だったということ。そして、その犯人は両親が死んだ今でも、私のそばにずっといたことになる。
──── 陽菜………。 ────
リッキー『そのあと、お嬢達の家が火事になった。
俺は………ずっとお嬢を見張っていたんだ。あの男から守るように。』
陽菜「……………そ、んな……………」
ふと浮かんだある人物の声を遮るように、リッキーの声が聞こえてきた。
あの男って、誰の事………?
私のそばにずっといた人って………一人しか、いない………。
陽菜(……………気のせい、だよね……………?)
心臓がどくどくと早鐘を打つ。違うと思いたい、そうじゃないと信じたい。
19歳になった今の今まで、リッキーと共に私を育ててくれたと言ったって過言じゃないのに。
あの人が────………一樹兄が、私達を殺そうとしているなんて、信じたくなかった。
世界中の誰もが、その秘宝を求め………その島を攻略しに行った。
一人の少女を犠牲としてまで求める秘宝など、ろくなものがないというのに………」
陽菜「……………そう、ですね。
ありがとうございます、読んでくださって………助かりました。」
魔導士の人に読んだ本を返された私は、その本を元の本棚に戻してから、彼にお礼を言って頭を下げた。
陽菜(気になることは、多分………リッキーが知っているはずだから聞くとするか)
魔導士「………お前」
陽菜「え?あっ、はい」
なんだろうと、魔導士の人の顔を見ると、彼はなんかそっぽを向きながら「もう………モルディオに、もう会った?」と聞いてきた。
陽菜「ええ。
今は私の仲間と一緒にシャイコス遺跡に行っています。
私は、ここで友達とお留守番してるんです」
魔導士「そう。じゃ、俺はそろそろ行く。
…………お前はあの連中とは違って、やけに優しいな」
陽菜「あ、あはははは………そう、ですかね」
魔導士「………ああ」
苦笑いを見せた私に、魔導士の人は頭を下げると、その場を立ち去っていった。
陽菜「………さて。私もそろそろリタちゃんの小屋に戻るかな」
───── リタの小屋 ─────
陽菜「と、いうわけで……………話し合いをしようか、リッキー?」
リッキー『!?
な、なんだよ。やぶから棒に………』
私は戻って来るや否、リッキー(もう犬の姿に戻ってる)に、黒い笑顔でそう話を切り出す。
戻ってくるまで間、仮眠でもしていたのだろう。熱で寝込んでたのを看病してくれてたんだ、別に寝てて良いんだけれど、これだけは聞いておかなきゃ、いつまでたってもスッキリしない。
陽菜「さっき、書庫で本を読んでたの。
………正確には読んでもらったけど」
リッキー『おう、だけど………それがどうしたってんだ?』
陽菜「おかしいんだよ。私が知っていることと、本に掲載されていた情報と全く逆で全然違ってたの」
「ねえ、なんか知ってるんでしょ」とリッキーに詰め寄る。
リッキー『………!!』
陽菜「お願い。知っていること、全部話して」
そう言うと、リッキーは私の熱意に負けたのか、『分かったよ、お嬢。全部話す』と言って話してくれた。
もちろん、深々と溜め息をついていたけど。
リッキー『………お嬢、本に載ってた事ってなんだった?』
陽菜「えっと、“12年前に古の神ノ島という秘境の地を治めていた女王がいた。
だが女王が双子の子を産み息絶えたあと、女王が治めていた当時より結界によって保たれていた安寧は、彼女が亡くなったことを境に結界は崩れ、数多の冒険者や盗賊、トレジャーハンター達により、その土地は壊滅へと向かっていった。
また島の中枢部に位置する神殿に、手にすればすべてのものを手に入れられるという秘宝が眠っているという。
その宝箱に鍵穴はなく、幽閉されていた夕星の子と共鳴したため、多くのものは『秘宝の鍵は夕星の子にある』として、彼女の心臓を狙う者が後を絶たなかった。”」
「だったと思うけど………」と口を濁してそう言うと、リッキーは悲しそうに話してきた。
リッキー『……………。12年前となると………当時、お嬢とガルシアの坊は、まだ7歳だな。』
リッキーの言葉に、私は小さく頷く。
双子だった、と言うことなら、カナも私と同じ年齢だ。
リッキー『悪いが、俺も詳しくは知らねぇんだ。
お嬢達が生まれる前、俺は知っての通り………元の世界に存在していたアヤカシだ。
なんの変哲のない、誰もがアヤカシが視れない。そんな世界に、ある赤子を抱いて現れた人間の男女がいた。
その赤子は、後にお嬢の母親となるガキだった』
それを聞いて、小さく喉をならす。
私達双子が生まれる前の話………初めて聞くそれに、静かに耳を傾ける。
リッキーがいうには、あの家は境界やこの世界を繋ぐ何かしらの術のようなものがあったらしい。
その力で、元の世界へ来た3人は定住し、明星の子と夕星の子の事を理解できる大人になるまでの禁句として守り続けていたが、住む環境が違うにも関わらず、必ず双子が生まれるようになったという。
そして、その場を見ていたリッキーは、母達と『子供達が子孫が途絶えることなく守ってほしい』そんな契約をしたそうだ。
私達が産まれ、約7歳の時、祖父母である母の両親と共に、兄のガルシア───元の世界での名前では───奏太は、私達と生き別れるようにしてこの世界に残された。
それが、私達一族の掟であったと言うが、父はリッキーと同じ元の世界に住む純日本人だったから、彼には何も話していなかったらしい。
兄は祖父母に預けるとしか聞いていなかったそうだ。
理由は、奏太が母の一族の秘密について知っていたことと、なぜ私達が狙われているのかだった。
確かに幼いながらにその事を話されてしまえば、事実を知らない人にとっては“子供は時として、すごいことをいう”程度ですまされてしまう。
けれど、それを知っていた者にとってなら………?
それを考えたら、ぞわりと背筋が凍った。
あの火事は私達を狙っていた人による放火事件だったということ。そして、その犯人は両親が死んだ今でも、私のそばにずっといたことになる。
──── 陽菜………。 ────
リッキー『そのあと、お嬢達の家が火事になった。
俺は………ずっとお嬢を見張っていたんだ。あの男から守るように。』
陽菜「……………そ、んな……………」
ふと浮かんだある人物の声を遮るように、リッキーの声が聞こえてきた。
あの男って、誰の事………?
私のそばにずっといた人って………一人しか、いない………。
陽菜(……………気のせい、だよね……………?)
心臓がどくどくと早鐘を打つ。違うと思いたい、そうじゃないと信じたい。
19歳になった今の今まで、リッキーと共に私を育ててくれたと言ったって過言じゃないのに。
あの人が────………一樹兄が、私達を殺そうとしているなんて、信じたくなかった。