第4章 濡れ衣
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陽菜「……………ん、あ………れ?」
何か冷たい物が額に乗っかっているので、目が覚めた私は、ゆっくりと起き上がって辺りを見渡してみる。
何で?と困惑していたがほどなくして私が熱に浮かされて倒れてしまったんだと思い出した。
でも、そこにユーリ達の姿はなく、いたのは黒白のメッシュの髪をした男の人だけだった。
「おっ。目が覚めたか」という声に、一瞬、我ながら耳を疑った。
陽菜「…………」
?「………ったく、お嬢。
あんまり無茶すんなって、あれほど言っただろう!?」
陽菜「ご、ごめんなさい………」
うん。確かに聞き間違いじゃないみたい。
けど………、リッキー………だよね?
いつの間に人の姿になったんだろう。………というか、犬って人の姿になれたっけ………?じゃあこれは夢?
あれ、待って。全然思い出せないや。
陽菜「……………。(………かくなる上は、リッキーだと証明できる“あれ”をするしかない)」
?「?、なんだよ、ジロジロと」
陽菜「最初はグー、じゃんけん…………」
私が急にそう言いだしたのにビックリしたのか、慌てて彼もじゃんけんをし出す。
陽菜・?「「ぽん!!」」
私が出したのはチョキで、彼はパーだった。
そうそう。昔から私の遊び相手としていてくれた彼は、この手に関してすごく弱い。
だって犬だから、チョキやグーなんて出せれないもの。
陽菜「………あっちむいて、ほい!」
?「………っ!!」
そして、トドメの“あっちむいてホイ”は私が右を指さすと、彼もまた右を見やる。
これは、犬にフリスビー遊びをしているときだって、向こうを指差せばそれしか視線を向けない。
だから、この手の遊びも私が指差す方向しか向かないのは犬の時からリッキーの癖のようなものだ。
………これが自然にできるってことはやっぱり、リッキーに間違いがない。
それに気付いた私は、人間の姿になったリッキーに思わず抱きついた。
陽菜「やったーっ、リッキーに勝ったーっ!!」
リッキー「………………そりゃ、おめでとさんなこった」
なぜだか悲しそうにしょげているリッキーに「なんで?」と聞くと、更に悲しそうに言い出した。
リッキー「いつもっつーか、何年も一緒にいたはずなのに………人間の姿になった俺を忘れる訳がないって思ってたのに………」
陽菜「………あー、ごめん。
急に人間の姿になるとは思ってもみなくて」
どうやらさっきのが、すごく胸にグサグサと刺さったらしい。
たぶん、この様子じゃあ、ユーリ達になんか言われたんだろうとなんとなく解釈する。
いや、ユーリ達にそれをさらけ出したの?
初めて見る人は大概、逃げてくだけなんだけど………よくわかってくれたよね。
………ってそうだ。ユーリ達はどこに行ったんだろう。
陽菜「ねえ、リッキー。ユーリ達は?」
リッキー「………ああ。
あいつらなら、シャイコス遺跡ってとこに向かったぜ?」
陽菜「………そっか」
ってことは、私が倒れてから、1時間ぐらいの間に向かったのね。
陽菜「……………リッキー。
ちょっと私、書庫の方に行ってみるね」
リッキー「ん?ああ。
構わないけど、なんでまた………」
「ちょっと本を読みたくなってね」と言ってリタちゃんの小屋を出る。
出て行った私をじっと見つめていたリッキーは、はぁ、と溜め息をついていた。
リッキー「まったく、一人になりたいって言やぁ良いのに………本なんて、ここにいくらでもあんじゃねぇかよ。
お嬢……………」
───── 書庫 ─────
書庫に入った私は辺りを見渡しつつ、なんとなーく見ていた本棚から一冊適当に本を取り出して、ページを開いた。
陽菜(とはいうものの、やっぱり………ちんぷんかんぷん………。
なんて書いてあんのか読めないや)
何度も言うように私はこの世界の住人じゃないから、読めなくてあたりまえだろう。
日本語の分からない外国人に、日本の小説本を読ませようって言ったって、それは無理なものだ。
とにかく、読めないことに代わりはなかった。別に字が汚いって訳じゃないんだけどなぁ。
この本を見るからにどうやら、魔術に関する本だってのは分かるから、うーん。
武醒魔導器 を持っているから、この世界の技とか魔術はある程度使えるわけだし。
なんなら、詠唱?とか詠まないで、なんか発動出来ちゃうし………その分、体力を大幅に消耗するけど。
……………ん?なんだろ、この本。
全く読めないけど、表紙の絵にはどこかの島が描かれている。
?「?………お前は、さっきの………!!」
陽菜「………?、ああっ、さっきの魔導士さん!!」
声をかけられた、というよりもなんか………向こうがビックリしているのが聞こえて振り向くと、リタちゃん家のことで色々とお世話になった魔導士さんがいた。
今は私しかいないことに首をかしげていたが、ちょうど出掛けていると伝えると、なぜか胸を撫で下ろしていた。
………まあ、理由は分かるけど、そう露骨にしなくても良いのではないだろうか。
陽菜「ど、どうも………」
魔導士「………何を読んでるんだ?」
はにかみながら私が挨拶していると、魔導士の人は私が読んでいる本に気が付いたらしく、そう話しかけてきた。
陽菜「この本ですけど………」
青色の本を見つけた私は、それを魔導士の人に見せてあげた。
というか、もしかしたらこの本読んでくれるのかも!!(←内心キラキラ)
魔導士「これは………テルカ・リュミレースに伝わる言い伝えや降臨した神についての本だ。
読んでるのか?」
陽菜「え?
あ………その、絵本だー………って思ってたら、意外と専門的なものだったみたいで、全然読めなくて………」
魔導士「貸して」
首を縦に振った私は、青色の本を魔導士の人に手渡した。
すると、親切にも(内心キラキラと期待していた私だったけど)、その本の内容を読んでくれることになった。
魔導士「“大昔、古の神ノ島 という未開の土地を治めていた大いなる力を持つ女王がいた。
ある年の暮れ、女王は双子の御子を産み息絶えるが、母である女王と同じ力を持つ兄は明星の子と呼ばれ、女王や兄とは違う毛色を持つ妹は夕星の子と呼ばれる。が、夕星の子は持つ力もまた、彼らと違って魔物を呼び、力を引き出すものだったがために幽閉された。
女王が治めていた当時より結界によって安寧は保たれていたが、彼女が亡くなったことを境に結界は崩れ、数多の冒険者や盗賊、トレジャーハンター達により、その土地は壊滅へと向かっていった。
また島の中枢部に位置する神殿に、手にすればすべてのものを手に入れられるという秘宝が眠っているという。
その宝箱に鍵穴はなく、幽閉されていた夕星の子と共鳴したため、多くのものは『秘宝の鍵は夕星の子にある』として、彼女の心臓を狙う者が後を絶たなかった。”」
陽菜「────っ!?」
何、これ……………。
夕星の子の力を恐れて、その島ごとを壊滅させたんじゃなくて…………島に眠る秘宝が目的だった?
陽菜(………しかも、夕星の子がその宝を開く鍵だったから、更に狙われていたってこと………!?)
───── 「お前は………俺達は、人間から狙われてるんだ」
「あいつら人間に関わっちゃいけない。俺達を道具としか思ってないんだよ」 ─────
ふと、カナと出会ったときに聞いた言葉が頭に浮かぶ。
だからあんなにも人間に対して、激しい憎悪を抱いていたんだ。
しかも、12年前って、私………この世界に来たことがあるって事なの?
陽菜(いや、でも。12年前っていったら、その時私は火事に遭っていたはず……………)
でも、なんで………?
なんで、記憶がこんなに矛盾してるの?
何か冷たい物が額に乗っかっているので、目が覚めた私は、ゆっくりと起き上がって辺りを見渡してみる。
何で?と困惑していたがほどなくして私が熱に浮かされて倒れてしまったんだと思い出した。
でも、そこにユーリ達の姿はなく、いたのは黒白のメッシュの髪をした男の人だけだった。
「おっ。目が覚めたか」という声に、一瞬、我ながら耳を疑った。
陽菜「…………」
?「………ったく、お嬢。
あんまり無茶すんなって、あれほど言っただろう!?」
陽菜「ご、ごめんなさい………」
うん。確かに聞き間違いじゃないみたい。
けど………、リッキー………だよね?
いつの間に人の姿になったんだろう。………というか、犬って人の姿になれたっけ………?じゃあこれは夢?
あれ、待って。全然思い出せないや。
陽菜「……………。(………かくなる上は、リッキーだと証明できる“あれ”をするしかない)」
?「?、なんだよ、ジロジロと」
陽菜「最初はグー、じゃんけん…………」
私が急にそう言いだしたのにビックリしたのか、慌てて彼もじゃんけんをし出す。
陽菜・?「「ぽん!!」」
私が出したのはチョキで、彼はパーだった。
そうそう。昔から私の遊び相手としていてくれた彼は、この手に関してすごく弱い。
だって犬だから、チョキやグーなんて出せれないもの。
陽菜「………あっちむいて、ほい!」
?「………っ!!」
そして、トドメの“あっちむいてホイ”は私が右を指さすと、彼もまた右を見やる。
これは、犬にフリスビー遊びをしているときだって、向こうを指差せばそれしか視線を向けない。
だから、この手の遊びも私が指差す方向しか向かないのは犬の時からリッキーの癖のようなものだ。
………これが自然にできるってことはやっぱり、リッキーに間違いがない。
それに気付いた私は、人間の姿になったリッキーに思わず抱きついた。
陽菜「やったーっ、リッキーに勝ったーっ!!」
リッキー「………………そりゃ、おめでとさんなこった」
なぜだか悲しそうにしょげているリッキーに「なんで?」と聞くと、更に悲しそうに言い出した。
リッキー「いつもっつーか、何年も一緒にいたはずなのに………人間の姿になった俺を忘れる訳がないって思ってたのに………」
陽菜「………あー、ごめん。
急に人間の姿になるとは思ってもみなくて」
どうやらさっきのが、すごく胸にグサグサと刺さったらしい。
たぶん、この様子じゃあ、ユーリ達になんか言われたんだろうとなんとなく解釈する。
いや、ユーリ達にそれをさらけ出したの?
初めて見る人は大概、逃げてくだけなんだけど………よくわかってくれたよね。
………ってそうだ。ユーリ達はどこに行ったんだろう。
陽菜「ねえ、リッキー。ユーリ達は?」
リッキー「………ああ。
あいつらなら、シャイコス遺跡ってとこに向かったぜ?」
陽菜「………そっか」
ってことは、私が倒れてから、1時間ぐらいの間に向かったのね。
陽菜「……………リッキー。
ちょっと私、書庫の方に行ってみるね」
リッキー「ん?ああ。
構わないけど、なんでまた………」
「ちょっと本を読みたくなってね」と言ってリタちゃんの小屋を出る。
出て行った私をじっと見つめていたリッキーは、はぁ、と溜め息をついていた。
リッキー「まったく、一人になりたいって言やぁ良いのに………本なんて、ここにいくらでもあんじゃねぇかよ。
お嬢……………」
───── 書庫 ─────
書庫に入った私は辺りを見渡しつつ、なんとなーく見ていた本棚から一冊適当に本を取り出して、ページを開いた。
陽菜(とはいうものの、やっぱり………ちんぷんかんぷん………。
なんて書いてあんのか読めないや)
何度も言うように私はこの世界の住人じゃないから、読めなくてあたりまえだろう。
日本語の分からない外国人に、日本の小説本を読ませようって言ったって、それは無理なものだ。
とにかく、読めないことに代わりはなかった。別に字が汚いって訳じゃないんだけどなぁ。
この本を見るからにどうやら、魔術に関する本だってのは分かるから、うーん。
なんなら、詠唱?とか詠まないで、なんか発動出来ちゃうし………その分、体力を大幅に消耗するけど。
……………ん?なんだろ、この本。
全く読めないけど、表紙の絵にはどこかの島が描かれている。
?「?………お前は、さっきの………!!」
陽菜「………?、ああっ、さっきの魔導士さん!!」
声をかけられた、というよりもなんか………向こうがビックリしているのが聞こえて振り向くと、リタちゃん家のことで色々とお世話になった魔導士さんがいた。
今は私しかいないことに首をかしげていたが、ちょうど出掛けていると伝えると、なぜか胸を撫で下ろしていた。
………まあ、理由は分かるけど、そう露骨にしなくても良いのではないだろうか。
陽菜「ど、どうも………」
魔導士「………何を読んでるんだ?」
はにかみながら私が挨拶していると、魔導士の人は私が読んでいる本に気が付いたらしく、そう話しかけてきた。
陽菜「この本ですけど………」
青色の本を見つけた私は、それを魔導士の人に見せてあげた。
というか、もしかしたらこの本読んでくれるのかも!!(←内心キラキラ)
魔導士「これは………テルカ・リュミレースに伝わる言い伝えや降臨した神についての本だ。
読んでるのか?」
陽菜「え?
あ………その、絵本だー………って思ってたら、意外と専門的なものだったみたいで、全然読めなくて………」
魔導士「貸して」
首を縦に振った私は、青色の本を魔導士の人に手渡した。
すると、親切にも(内心キラキラと期待していた私だったけど)、その本の内容を読んでくれることになった。
魔導士「“大昔、
ある年の暮れ、女王は双子の御子を産み息絶えるが、母である女王と同じ力を持つ兄は明星の子と呼ばれ、女王や兄とは違う毛色を持つ妹は夕星の子と呼ばれる。が、夕星の子は持つ力もまた、彼らと違って魔物を呼び、力を引き出すものだったがために幽閉された。
女王が治めていた当時より結界によって安寧は保たれていたが、彼女が亡くなったことを境に結界は崩れ、数多の冒険者や盗賊、トレジャーハンター達により、その土地は壊滅へと向かっていった。
また島の中枢部に位置する神殿に、手にすればすべてのものを手に入れられるという秘宝が眠っているという。
その宝箱に鍵穴はなく、幽閉されていた夕星の子と共鳴したため、多くのものは『秘宝の鍵は夕星の子にある』として、彼女の心臓を狙う者が後を絶たなかった。”」
陽菜「────っ!?」
何、これ……………。
夕星の子の力を恐れて、その島ごとを壊滅させたんじゃなくて…………島に眠る秘宝が目的だった?
陽菜(………しかも、夕星の子がその宝を開く鍵だったから、更に狙われていたってこと………!?)
───── 「お前は………俺達は、人間から狙われてるんだ」
「あいつら人間に関わっちゃいけない。俺達を道具としか思ってないんだよ」 ─────
ふと、カナと出会ったときに聞いた言葉が頭に浮かぶ。
だからあんなにも人間に対して、激しい憎悪を抱いていたんだ。
しかも、12年前って、私………この世界に来たことがあるって事なの?
陽菜(いや、でも。12年前っていったら、その時私は火事に遭っていたはず……………)
でも、なんで………?
なんで、記憶がこんなに矛盾してるの?