第4章 濡れ衣
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ユーリ「こんだけやれりゃあ、帝都であった時も逃げる必要なかったのにな」
?「はあ?逃げるって何よ。
なんで、私が逃げなきゃなんないの?」
エステル「大丈夫です?ヒナ?」
陽菜「………っ、ありがと、エステル。
カロルは平気?」
カロル「う、うん。
ありがと………ヒナ、エステル」
良かった、と安堵している暇はなかったんだった。
何とかして、誤解を解かなきゃいけない。
ユーリと女の子の緊迫とした空気が、ピリピリと肌に伝わってくる。
ユーリ「そりゃ、帝都の下町から魔導器 の魔核 を盗んだからだ」
?「いきなり、何?あたしが泥棒ってこと?
アンタ、常識って言葉、知ってる?」
陽菜(ま………って………っ)
ユーリ「まあ、人並みには」
?「勝手に家に上がり込んで、人を泥棒呼ばわりした挙げ句、剣突きつけるのが人並みの常識!?」
ごもっともなんだけど、お願いだからちょっと待って!!
エステルでの治癒術でもなかなか快復しない体に、ムチを打ちながら立ち上がろうとすると、リッキーが吠え出す。
リッキー「ワン!!」
リッキーの鳴き声に反応した女の子は、ラピードとリッキーを見て嫌そうな、ものすごく複雑な顔を見せてきた。
てか、リッキー、ナイス!!
?「ちょっと、犬!犬入れないでよ!そこのガキんちょも!!その子を返しなさい!!」
カロル「え?」
?「魔導器よ、魔・導・器 !!返しなさい!」
カロルに手を差し出す女の子は、私とエステルが近付いて頭を下げたことにビックリしたのか、「な、何よ、アンタら」と言って私達を見ていた。
というか、私は何故かしらエステルに引っ張り出されたってのが謎なんですけど。
え、何この状況。私も謝れってことですか、エステル。
そんな事を思いつつ、彼女の横顔を見たら何のって、マジで怖かったです。
エステル「私、エステリーゼって言います」
陽菜「わ、私は、陽菜………」
なんかよく分かんなくなってくるけど、隣のエステルが怖いので、念のため名乗りを上げる。
エステル「突然、こんな形でお邪魔してごめんなさい!!
………ほら、ユーリとカロルも」
カロル「ご、ごめんなさい」
ユーリ「……………(つーん」
カロルはまあ、俯きながら反省をしているので良いとして、彼の場合はもう諦めて良いかと、私は思う。
?「で、アンタら何?」
エステル「えと、ですね………このユーリという人は帝都から魔核泥棒を追って、ここまで来たんです」
?「それで?」
ユーリ「魔核泥棒の特徴ってのが………マント!小柄!名前はモルディオ!だったんだよ」
そんな彼らの説明を、心底疑い深そうに聞いていた彼女は「ふ~ん?」と口を開いた。
まあ、彼女からしてみれば、私達が泥棒だよね。不法侵入してるし。
リタ「確かにあたしはモルディオよ。リタ・モルディオ」
カロル「背格好も情報と一致してるね」
ユーリが言っている特徴は全て一致してはいるけど、この子は違うと思う。私的には。
ユーリ「で、実際のところ、どうなんだ?」
リタ「……………」
陽菜「………あの、リタちゃん。ちょっとごめんね。
エステル達は少しだけ下がってて貰える?」
全員「?」
リタ「!?、ちょ、ちょっと!?なにすんのよ!?」
陽菜「大………丈夫。
ただ、確認する………だけだから………」
リタ「はあ!?」
水道魔導器 の魔核の気配を調べるために、リタちゃんに抱きついてみる。
これはカナが私の真偽を調べるためにやってたみたいで、双子の私なら出来ると言われ、教えてもらったものに過ぎないんだけどね。
ま、覚えるのが早いのは、元々だし。
そんな事をしていると、私の身体が光り輝き始める。
陽菜(やってみるのは、これが初めてだけど………お願い、教えて………)
ギュッと目を瞑っているとリタちゃんが「!?アンタ………その髪………!」と言っているのが耳元に聞こえた。
陽菜「………ぇ?
────あ………っ!?」
私の頭の中に彼女の記憶のような物が流れ込んでくる。
けど、水道魔導器の魔核に関する情報も記憶もなかったのを確認し、彼女から離れる。
陽菜「………。
ユーリ、リタちゃんは水道魔導器の魔核を盗んでなんかいないみたいだよ」
リタ「!、アンタ………」
ユーリ「なんでだ?」
リタちゃんが目を見開くのと同じ様に、ユーリが不服そうに顔をしかめていた。
陽菜「リタちゃんからは下町の水道魔導器の魔核に関する情報も、それを盗んだって言う事もなかった。
たぶん、犯人は他にいる……とおも、う……………」
ユーリ「!、おい、しっかりしろ」
ふと身体の力が抜けていくような感覚に陥った私が倒れかけたのを、ユーリが支えてくれた。
エステル「ヒナ!?」
ユーリ「………ったく、ヒナまでそいつの言う事を信じるってのか?
そいつは下町の水道魔導器の魔核を盗んだ奴なんだぞ?」
リタ「だから、そんなの知ら………………ぁ、その手があるか。
ついてきて」
何かを思いついたのか、顎に手を添えたリタちゃんは、ユーリに背を向けて歩き出す。
ユーリ「はあ?お前、意味わかんねえって。
まだ、話が………」
リタ「いいから来て。シャイコス遺跡に盗賊団が現れたって話、せっかく思い出したんだから」
ユーリ「………それ、本当かよ」
リタ「協力要請に来た騎士から聞いた話よ。間違いないでしょ」
エステル「その騎士ってフレンのことでしょうか?」
ユーリ「………だな。あいつ、フラれたんだ」
カロル「そういえば、外にいた人も、遺跡荒らしがどうとか言ってたよね?」
エステル「つまり、その盗賊団が魔核を盗んだ犯人って事でしょうか?」
ユーリ「さァなァ………」
陽菜「………………多分、その可能性………高いと、思う」
エステル「!、ヒナ、大丈夫なんです!?」
陽菜「……………たぶん」
ユーリ「おま………っ、たぶんて」
リタ「相談、終わった?」
リタちゃんは白いマントを脱いで、着替えをしてきたらしく、コソコソと話し合っている私達に声をかけてきた。
リタ「じゃ、行こう」
ユーリ「とか言って、出し抜いて逃げるなよ」
リタ「来るのが嫌なら、ここに警備隊、呼ぶ?困るのはあたしじゃないし」
エステル「そ、それだけはご勘弁を」
陽菜「……………っ、ぁ……………」
カロル「!?、え、ちょっ、ヒナ!?」
がくりと崩れ落ちる私に、カロルの叫び声が聞こえた。
………これ以上は、もう限界。そう思った私は思うように身体が動かず、そのまま気を失った。
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?「はあ?逃げるって何よ。
なんで、私が逃げなきゃなんないの?」
エステル「大丈夫です?ヒナ?」
陽菜「………っ、ありがと、エステル。
カロルは平気?」
カロル「う、うん。
ありがと………ヒナ、エステル」
良かった、と安堵している暇はなかったんだった。
何とかして、誤解を解かなきゃいけない。
ユーリと女の子の緊迫とした空気が、ピリピリと肌に伝わってくる。
ユーリ「そりゃ、帝都の下町から
?「いきなり、何?あたしが泥棒ってこと?
アンタ、常識って言葉、知ってる?」
陽菜(ま………って………っ)
ユーリ「まあ、人並みには」
?「勝手に家に上がり込んで、人を泥棒呼ばわりした挙げ句、剣突きつけるのが人並みの常識!?」
ごもっともなんだけど、お願いだからちょっと待って!!
エステルでの治癒術でもなかなか快復しない体に、ムチを打ちながら立ち上がろうとすると、リッキーが吠え出す。
リッキー「ワン!!」
リッキーの鳴き声に反応した女の子は、ラピードとリッキーを見て嫌そうな、ものすごく複雑な顔を見せてきた。
てか、リッキー、ナイス!!
?「ちょっと、犬!犬入れないでよ!そこのガキんちょも!!その子を返しなさい!!」
カロル「え?」
?「魔導器よ、
カロルに手を差し出す女の子は、私とエステルが近付いて頭を下げたことにビックリしたのか、「な、何よ、アンタら」と言って私達を見ていた。
というか、私は何故かしらエステルに引っ張り出されたってのが謎なんですけど。
え、何この状況。私も謝れってことですか、エステル。
そんな事を思いつつ、彼女の横顔を見たら何のって、マジで怖かったです。
エステル「私、エステリーゼって言います」
陽菜「わ、私は、陽菜………」
なんかよく分かんなくなってくるけど、隣のエステルが怖いので、念のため名乗りを上げる。
エステル「突然、こんな形でお邪魔してごめんなさい!!
………ほら、ユーリとカロルも」
カロル「ご、ごめんなさい」
ユーリ「……………(つーん」
カロルはまあ、俯きながら反省をしているので良いとして、彼の場合はもう諦めて良いかと、私は思う。
?「で、アンタら何?」
エステル「えと、ですね………このユーリという人は帝都から魔核泥棒を追って、ここまで来たんです」
?「それで?」
ユーリ「魔核泥棒の特徴ってのが………マント!小柄!名前はモルディオ!だったんだよ」
そんな彼らの説明を、心底疑い深そうに聞いていた彼女は「ふ~ん?」と口を開いた。
まあ、彼女からしてみれば、私達が泥棒だよね。不法侵入してるし。
リタ「確かにあたしはモルディオよ。リタ・モルディオ」
カロル「背格好も情報と一致してるね」
ユーリが言っている特徴は全て一致してはいるけど、この子は違うと思う。私的には。
ユーリ「で、実際のところ、どうなんだ?」
リタ「……………」
陽菜「………あの、リタちゃん。ちょっとごめんね。
エステル達は少しだけ下がってて貰える?」
全員「?」
リタ「!?、ちょ、ちょっと!?なにすんのよ!?」
陽菜「大………丈夫。
ただ、確認する………だけだから………」
リタ「はあ!?」
これはカナが私の真偽を調べるためにやってたみたいで、双子の私なら出来ると言われ、教えてもらったものに過ぎないんだけどね。
ま、覚えるのが早いのは、元々だし。
そんな事をしていると、私の身体が光り輝き始める。
陽菜(やってみるのは、これが初めてだけど………お願い、教えて………)
ギュッと目を瞑っているとリタちゃんが「!?アンタ………その髪………!」と言っているのが耳元に聞こえた。
陽菜「………ぇ?
────あ………っ!?」
私の頭の中に彼女の記憶のような物が流れ込んでくる。
けど、水道魔導器の魔核に関する情報も記憶もなかったのを確認し、彼女から離れる。
陽菜「………。
ユーリ、リタちゃんは水道魔導器の魔核を盗んでなんかいないみたいだよ」
リタ「!、アンタ………」
ユーリ「なんでだ?」
リタちゃんが目を見開くのと同じ様に、ユーリが不服そうに顔をしかめていた。
陽菜「リタちゃんからは下町の水道魔導器の魔核に関する情報も、それを盗んだって言う事もなかった。
たぶん、犯人は他にいる……とおも、う……………」
ユーリ「!、おい、しっかりしろ」
ふと身体の力が抜けていくような感覚に陥った私が倒れかけたのを、ユーリが支えてくれた。
エステル「ヒナ!?」
ユーリ「………ったく、ヒナまでそいつの言う事を信じるってのか?
そいつは下町の水道魔導器の魔核を盗んだ奴なんだぞ?」
リタ「だから、そんなの知ら………………ぁ、その手があるか。
ついてきて」
何かを思いついたのか、顎に手を添えたリタちゃんは、ユーリに背を向けて歩き出す。
ユーリ「はあ?お前、意味わかんねえって。
まだ、話が………」
リタ「いいから来て。シャイコス遺跡に盗賊団が現れたって話、せっかく思い出したんだから」
ユーリ「………それ、本当かよ」
リタ「協力要請に来た騎士から聞いた話よ。間違いないでしょ」
エステル「その騎士ってフレンのことでしょうか?」
ユーリ「………だな。あいつ、フラれたんだ」
カロル「そういえば、外にいた人も、遺跡荒らしがどうとか言ってたよね?」
エステル「つまり、その盗賊団が魔核を盗んだ犯人って事でしょうか?」
ユーリ「さァなァ………」
陽菜「………………多分、その可能性………高いと、思う」
エステル「!、ヒナ、大丈夫なんです!?」
陽菜「……………たぶん」
ユーリ「おま………っ、たぶんて」
リタ「相談、終わった?」
リタちゃんは白いマントを脱いで、着替えをしてきたらしく、コソコソと話し合っている私達に声をかけてきた。
リタ「じゃ、行こう」
ユーリ「とか言って、出し抜いて逃げるなよ」
リタ「来るのが嫌なら、ここに警備隊、呼ぶ?困るのはあたしじゃないし」
エステル「そ、それだけはご勘弁を」
陽菜「……………っ、ぁ……………」
カロル「!?、え、ちょっ、ヒナ!?」
がくりと崩れ落ちる私に、カロルの叫び声が聞こえた。
………これ以上は、もう限界。そう思った私は思うように身体が動かず、そのまま気を失った。
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