第4章 濡れ衣
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カロル「そのフレンって人の行き先が分かっているなら、追いかけたら?」
ユーリ「………確か、東に向かったって言ってたよな?」
エステル「はい」
ユーリ「………アスピオってのがどこにあるか知らねぇけど、とりあえず、今は急いでここを出たほうがいいみたいだな」
ユーリ達はどうも、アスピオというところに行く用事があるらしい。
私達は彼らと行動する上で、何の支障もないからついていこうと頷きながら、この街を出ようとする。
だが、遠くの方から村長さんが慌てた様子で私達に向かってくるのが見えた。
村長「ま、待ってくだされ。
是非とも花のお礼がしたいので、我が家へおいでください」
陽菜「花の、お礼………?」
村長「はい」
エステル「そんな、お礼だなんて………」
エステルが手を横に振ると、ニコニコと笑う村長は「そんな、遠慮なさらずに」と聞く耳を持たなかった。
何度もお断りをいれたが、結局「私は先に家に戻っております」と私達の話を聞かずに立ち去っていく。
エステル「あ、ちょっと」
カロル「どうする?お礼だって」
ユーリ「このまま、無視していくわけにゃいかんだろ」
エステル「でも、私。夢中で、何したのかもよく分からないのに………」
陽菜「………」
みんながそう話し合っている最中、目を伏せたまま、自分の身体に起こった違和感に対峙していた。
なんだろう。貧血に似たような気持ちの悪さだ。
陽菜(……………かろうじて、動ける………けど、吐き気がする……………)
ユーリ「ま、とりあえず行っとこうぜ。断るなら断るでさ」
カロル「そうだね」
エステル「はい」
ユーリ達が行く中、私は具合が悪いのを隠しつつ、彼らの後についていった。
早々に立ち去る予定が村長に引き留められてしまった私達は、彼の家に行くことになり、私が家のドアを軽くノックする。
するとドアが開き、村長は出てくるや否、喜びの表情を浮かべていた。
───── 村長の家 ─────
村長「おお、よくぞ参られました。ささ、ごゆっくりと………」
陽菜「……………あの、村長。もしかして、もしかしなくても、“泊まってくれ”っていうんじゃ………」
村長「ええ、そのとおりです」
村長の言うお礼ってのが理解出来てしまった私は、眉をひそめながら返答すると、彼は私の返答に笑顔で頷いていた。
いやまあ、確かにわかるけど旅の途中だから、そうもゆっくりはできそうにないと思う。
私としては今休みたいけど、彼らの足を引っ張ってはいけないからもう少しだけ我慢する。
エステル「ありがとうございます。
でも私達、あまりゆっくりも出来ないので………」
何かを察したのか、村長が「まだ騎士様も戻られていないのに、街を離れるのですか?」と問うてきた。
騎士………ああ、ユーリとエステルが探しているフレンって人の事か。
確かにその人が戻ってくるのなら待っていた方がいいけど、本当に戻ってくるのかも分からないなら、行き違いになる可能性が高い。
ユーリ「ちょっと事情が変わってね」
村長「何かお急ぎの用とか」
「まあ、そんなとこだ」とユーリが言うと、「それでしたら」と村長が言い出す。
この村長、私達を引き留めようと必死だな。粘りに粘ってくるから、断るのもちょっと大変そうだ。
村長「私でお力になれることならなんなりと………」
エステル「そのお気持ちだけ、いただいておきます」
エステルが優しくそう言うと「そうですか………」と気を落としたかのように声のトーンが下がった村長。
それでも、食い下がってくる彼はユーリに麻の袋を手渡してくる。
村長「でしたら、僅かばかりですが、どうぞお受け取りください」
陽菜(………い、いやいやいや、僅かどころでもないかもよ、それ)
私は長が差し出してきた報酬を見て、内心、驚いていた。
麻の袋にずっしりと入っているのは、僅か以上のお金だ。これは確かに受けとるには十分すぎる報酬ではあるけれど、流石に貰いすぎな気がする。
これだけで、街の景気が養えそうなほどだもの。
ユーリ「オレ?何もやってないぜ」
村長「しかし、お連れさんにお世話になりましたので………」
それを聞いたカロルが「じゃ、じゃあ………」と言いかけたところを、私は後ろからカロルに乗っかるように抱きついてやる。
カロルはまだまだ子供だからなぁ、素直なのはいいことだけど、そこら辺のルールというか、私もあまりよく分かってないけど受けとる側にも礼儀というものがある。
今言っても分からないことだらけだから、あえて言わずに彼の邪魔をする。
カロル「ぅわっ!?ヒナ、何してるの!?」
陽菜「ん?まあまあ、気にしない気にしない。
それにしても、カロル冷たくて気持ちいなぁ」
カロル「ちょっと、僕を冷却目的にしないでよ」
ユーリ「……………」
うりうり~とカロルに抱きつけば、鬱陶しそうに睨んでくる。
いやぁ、だって本当に気持ちいんだもの。カロルは弟みたいで可愛いし、反応が面白いから、ついつい意地悪しちゃうんだよねぇ。
ユーリが彼に驚かすのも確かに理解できる。
陽菜(………そういえば、ユーリから何やら視線を感じるんだけど、なんだろ?)
気になって振り向くと、私の気のせいだろうか、いつもと変わらない様子だったから思わず首をかしげる。
そんな他愛もない話をしている中、エステルが「いえ、それは受け取れません」と言った。
陽菜「あらら、エステル、もらわないの?」
エステル「はい!」
ふーん、と言っていると、カロルが「あ………ええと、じゃあボクもいらない、かな………と」と他人に合わせるような感じでそう言い出す。
そんな彼に私はクスリと笑って頭を撫でてやると、くすぐったそうに体をよじらせていた。
村長「いや、しかし。それでは気持ちの収まりがつきません」
寛いで貰えない、報酬でさえ受け取って貰えない。と困り果てた様子の村長を見ていたユーリは、何かを思いついたのか、「なら、こうしよう」と言ってきた。
ユーリ「今度遊びに来たら、特等席で花見させてくれ」
陽菜「へぇ、花見かぁ。いい事いうじゃん、ユーリ」
ユーリ「………それってどういう意味だ?ヒナ」
陽菜「褒めたつもりなんだけど………」
そんなに睨まないで欲しいな。
………でも、花見、かぁ。
陽菜(……………私は、どうしたらいいんだろう)
元の世界でも花見はできるし、戻ればすぐに見に行けるだろう。けれど、私はこの世界に存在している。
元の世界に戻っても、私は一個人として存在できるのだろうか。
アニメや漫画でも、別の世界へ行ったとしても戻れるのは確かにある。それがこの世界もそうかと言われると、全くわからない。
それに、もし向こうでも私が存在できるのなら、彼らとはどこかしらで区切りをつけていかないと、別れるときが余計苦しくなる。
だから、“みんな”での花見だけは出来ない。
陽菜(……………みんなでのお花見は楽しいんだけどなぁ)
これだけじゃなくて、他のことも思い出に残るようなことだけは、何がなんでも残さないようにしなくちゃいけない。
私にとっても、彼らにとっても……………それが、最善な別れ方だと思うから。
エステル「それ、いいですね!とても楽しみです」
エステルの喜ぶ笑顔を見ていた私にも、自然と笑顔になってくる。
まだまだ体調が宜しくないみたいだけど、エステル達を見てるとほんの少しだけ気分がよくなってきた気がする。
そんなことを考えていると、急に頭をあげてきたカロルが話しかけてきた。
カロル「………ねぇ、ヒナ。ヒナの体、熱いんだけど、もしかして熱とかある?」
陽菜「んー?いんや、ないと思うけど?
あー………でも、私、元々体温高い方だからそれかもね」
カロルから離れた私は、そう言ってリッキーの背中へと乗る。これ以上くっついていたらカロルに具合が悪いのを見破られそうだし、何より私のせいで移してもいけないからね。
ユーリ達の提案を聞いた村長は「………わかりました」と言って私達を見やる。
村長「その時は腕によりをかけて、おもてなしさせていただきます」
ユーリ「………確か、東に向かったって言ってたよな?」
エステル「はい」
ユーリ「………アスピオってのがどこにあるか知らねぇけど、とりあえず、今は急いでここを出たほうがいいみたいだな」
ユーリ達はどうも、アスピオというところに行く用事があるらしい。
私達は彼らと行動する上で、何の支障もないからついていこうと頷きながら、この街を出ようとする。
だが、遠くの方から村長さんが慌てた様子で私達に向かってくるのが見えた。
村長「ま、待ってくだされ。
是非とも花のお礼がしたいので、我が家へおいでください」
陽菜「花の、お礼………?」
村長「はい」
エステル「そんな、お礼だなんて………」
エステルが手を横に振ると、ニコニコと笑う村長は「そんな、遠慮なさらずに」と聞く耳を持たなかった。
何度もお断りをいれたが、結局「私は先に家に戻っております」と私達の話を聞かずに立ち去っていく。
エステル「あ、ちょっと」
カロル「どうする?お礼だって」
ユーリ「このまま、無視していくわけにゃいかんだろ」
エステル「でも、私。夢中で、何したのかもよく分からないのに………」
陽菜「………」
みんながそう話し合っている最中、目を伏せたまま、自分の身体に起こった違和感に対峙していた。
なんだろう。貧血に似たような気持ちの悪さだ。
陽菜(……………かろうじて、動ける………けど、吐き気がする……………)
ユーリ「ま、とりあえず行っとこうぜ。断るなら断るでさ」
カロル「そうだね」
エステル「はい」
ユーリ達が行く中、私は具合が悪いのを隠しつつ、彼らの後についていった。
早々に立ち去る予定が村長に引き留められてしまった私達は、彼の家に行くことになり、私が家のドアを軽くノックする。
するとドアが開き、村長は出てくるや否、喜びの表情を浮かべていた。
───── 村長の家 ─────
村長「おお、よくぞ参られました。ささ、ごゆっくりと………」
陽菜「……………あの、村長。もしかして、もしかしなくても、“泊まってくれ”っていうんじゃ………」
村長「ええ、そのとおりです」
村長の言うお礼ってのが理解出来てしまった私は、眉をひそめながら返答すると、彼は私の返答に笑顔で頷いていた。
いやまあ、確かにわかるけど旅の途中だから、そうもゆっくりはできそうにないと思う。
私としては今休みたいけど、彼らの足を引っ張ってはいけないからもう少しだけ我慢する。
エステル「ありがとうございます。
でも私達、あまりゆっくりも出来ないので………」
何かを察したのか、村長が「まだ騎士様も戻られていないのに、街を離れるのですか?」と問うてきた。
騎士………ああ、ユーリとエステルが探しているフレンって人の事か。
確かにその人が戻ってくるのなら待っていた方がいいけど、本当に戻ってくるのかも分からないなら、行き違いになる可能性が高い。
ユーリ「ちょっと事情が変わってね」
村長「何かお急ぎの用とか」
「まあ、そんなとこだ」とユーリが言うと、「それでしたら」と村長が言い出す。
この村長、私達を引き留めようと必死だな。粘りに粘ってくるから、断るのもちょっと大変そうだ。
村長「私でお力になれることならなんなりと………」
エステル「そのお気持ちだけ、いただいておきます」
エステルが優しくそう言うと「そうですか………」と気を落としたかのように声のトーンが下がった村長。
それでも、食い下がってくる彼はユーリに麻の袋を手渡してくる。
村長「でしたら、僅かばかりですが、どうぞお受け取りください」
陽菜(………い、いやいやいや、僅かどころでもないかもよ、それ)
私は長が差し出してきた報酬を見て、内心、驚いていた。
麻の袋にずっしりと入っているのは、僅か以上のお金だ。これは確かに受けとるには十分すぎる報酬ではあるけれど、流石に貰いすぎな気がする。
これだけで、街の景気が養えそうなほどだもの。
ユーリ「オレ?何もやってないぜ」
村長「しかし、お連れさんにお世話になりましたので………」
それを聞いたカロルが「じゃ、じゃあ………」と言いかけたところを、私は後ろからカロルに乗っかるように抱きついてやる。
カロルはまだまだ子供だからなぁ、素直なのはいいことだけど、そこら辺のルールというか、私もあまりよく分かってないけど受けとる側にも礼儀というものがある。
今言っても分からないことだらけだから、あえて言わずに彼の邪魔をする。
カロル「ぅわっ!?ヒナ、何してるの!?」
陽菜「ん?まあまあ、気にしない気にしない。
それにしても、カロル冷たくて気持ちいなぁ」
カロル「ちょっと、僕を冷却目的にしないでよ」
ユーリ「……………」
うりうり~とカロルに抱きつけば、鬱陶しそうに睨んでくる。
いやぁ、だって本当に気持ちいんだもの。カロルは弟みたいで可愛いし、反応が面白いから、ついつい意地悪しちゃうんだよねぇ。
ユーリが彼に驚かすのも確かに理解できる。
陽菜(………そういえば、ユーリから何やら視線を感じるんだけど、なんだろ?)
気になって振り向くと、私の気のせいだろうか、いつもと変わらない様子だったから思わず首をかしげる。
そんな他愛もない話をしている中、エステルが「いえ、それは受け取れません」と言った。
陽菜「あらら、エステル、もらわないの?」
エステル「はい!」
ふーん、と言っていると、カロルが「あ………ええと、じゃあボクもいらない、かな………と」と他人に合わせるような感じでそう言い出す。
そんな彼に私はクスリと笑って頭を撫でてやると、くすぐったそうに体をよじらせていた。
村長「いや、しかし。それでは気持ちの収まりがつきません」
寛いで貰えない、報酬でさえ受け取って貰えない。と困り果てた様子の村長を見ていたユーリは、何かを思いついたのか、「なら、こうしよう」と言ってきた。
ユーリ「今度遊びに来たら、特等席で花見させてくれ」
陽菜「へぇ、花見かぁ。いい事いうじゃん、ユーリ」
ユーリ「………それってどういう意味だ?ヒナ」
陽菜「褒めたつもりなんだけど………」
そんなに睨まないで欲しいな。
………でも、花見、かぁ。
陽菜(……………私は、どうしたらいいんだろう)
元の世界でも花見はできるし、戻ればすぐに見に行けるだろう。けれど、私はこの世界に存在している。
元の世界に戻っても、私は一個人として存在できるのだろうか。
アニメや漫画でも、別の世界へ行ったとしても戻れるのは確かにある。それがこの世界もそうかと言われると、全くわからない。
それに、もし向こうでも私が存在できるのなら、彼らとはどこかしらで区切りをつけていかないと、別れるときが余計苦しくなる。
だから、“みんな”での花見だけは出来ない。
陽菜(……………みんなでのお花見は楽しいんだけどなぁ)
これだけじゃなくて、他のことも思い出に残るようなことだけは、何がなんでも残さないようにしなくちゃいけない。
私にとっても、彼らにとっても……………それが、最善な別れ方だと思うから。
エステル「それ、いいですね!とても楽しみです」
エステルの喜ぶ笑顔を見ていた私にも、自然と笑顔になってくる。
まだまだ体調が宜しくないみたいだけど、エステル達を見てるとほんの少しだけ気分がよくなってきた気がする。
そんなことを考えていると、急に頭をあげてきたカロルが話しかけてきた。
カロル「………ねぇ、ヒナ。ヒナの体、熱いんだけど、もしかして熱とかある?」
陽菜「んー?いんや、ないと思うけど?
あー………でも、私、元々体温高い方だからそれかもね」
カロルから離れた私は、そう言ってリッキーの背中へと乗る。これ以上くっついていたらカロルに具合が悪いのを見破られそうだし、何より私のせいで移してもいけないからね。
ユーリ達の提案を聞いた村長は「………わかりました」と言って私達を見やる。
村長「その時は腕によりをかけて、おもてなしさせていただきます」