第3章 ハルルの樹
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
陽菜「……………あ、れ………私……………」
目が覚めたら、どこか清涼感のある部屋にあったベットに寝ていた。
ここは、どこなんだろう。気怠げに起きながら、辺りを見渡す。
陽菜「………リッキー………?」
静かな部屋に声が響いていく。徐々に頭が覚醒してきた頃、ハルルの樹を治した後、ユーリ達の目の前で拐われたことを思い出した。
しかも真っ白なライオンのような獣に襲われていた。
だとしたら、ここでのんびり寝ている場合じゃない。
陽菜(急いで、戻らなきゃ………!)
でも、ハルルの街までここからどれくらいかかる?道って、どう行けばいいんだろう。
それに足が治ったからといって、長い間筋肉も弱まっていたからすぐには走れないし歩くこともできない状態で、どこまで逃げ切れる?
あの後、ユーリ達は無事なのだろうか?あの獣は一体誰なんだろうかなどと、頭をひねらせているとどこからか「目が覚めたか」と言う声が聞こえた。
陽菜「っ!?」
ビックリした私は声のした方に振り向くと、私と瓜二つの顔をしている白銀の髪と赤眼の青年がいた。
この人が、あのおとぎ話の内容で言う『明星の子』の方なのだろうか。
陽菜「………どうして、私を」
?「強引にして悪かった。けれど、これはお前をあの人間どもから守るためなんだ。」
陽菜「守る?」
「あの人間共とこれ以上関わってはいけない」と憎たらしげに、そう口にする彼に疑問を持った私は「貴方は誰?」と聞いた。
そうすると、さっきまでの憎悪はどこへやら、にっこりと私に笑いかけて「俺はガルシア。お前の、双子の兄だ」と名乗ってきた。
陽菜「兄………?貴方が?」
ガルシア「ああ、そうだ。聞きたいこと、あるんだろ?」
確かに色々聞きたいことがある。
どうして今まで会いに来てくれなかったのかだとか。
本当にあなたは私の兄なのか、だとか。
どうして人間を心底憎んでいるのかだとか。
たくさん、たくさんあるはずなのに………何を言っていいのか訳がわからなくなっていた。
陽菜「………それじゃ、聞く………けどさ。
その……………貴方の事、カナって呼んでもいい?」
隣に座りながら私の顔を覗き込んで聞いている彼に、段々言うのが恥ずかしくなってきた私はなるべく視線を会わせないようにそう言うと、いきなり噴き出しながら笑い出す。
ガルシア「………ふはっ、なんだよそれ。一番始めに聞くことか?」
陽菜「う、うるさいな………!それで、どうなわけ?」
ガルシア「ははっ、どうと言われても、ルヒナの好きにしたらいいんじゃない?」
無邪気に笑う彼をボーと眺めていた。
ルヒナ………?
きょとんと首をかしげる私に、お前のことだよ。と頭を撫でてくる。
陽菜「わ、私は緋星陽菜なの。カナ、貴方の言うルヒナじゃないよ。」
ガルシア「……………それでも、お前はルヒナだよ。俺達双子は明星と夕星の子は、昔から人間達に狙われているんだ。あいつらは、俺達をただの道具としか思ってない。」
陽菜「……………。わかった、カナがそう思うのなら、私も極力ではあるけど努力する。………でも、せっかくなら私もヒナって呼ばれたいかな。カナとお揃いがいいもん」
頑として譲らない様子の彼は、苦しそうな寂しそうな顔をしていた。けれど彼が話してくれた内容に、“明星の子”と“夕星の子”というワードが出てきたから、彼にも両足のどちらかに私と同じ火傷と痣があるのだろう。
そうなると、“ルヒナ”という名前も、もしかしたら夕星の子としての名前なのかもしれない。
陽菜「カナ、私ね。この世界の事をよく知らないの。………懐かしい、とはどこかで思うんだけど、ここでの記憶は全くない。だから、あなたが知っている内容を、私は覚えてもないし分からない。」
ガルシア「記憶喪失、ということか?お前の側にいた人間どものせいで?」
そうじゃない。と首を横に振る。どれだけ人間に対する憎悪を抱いているのか、彼と初めて会った私でも、ひしひしと伝わってくる。ユーリ達の身の潔白を証明するために、この世界へ来た話をする。
元の世界に住んでいたとき、家が火事に遭って大怪我をし、孤児となってしまったこと。
幼馴染みの兄と喧嘩をして外へ出ていたら、謎の女の人に喚ばれて、飼い犬と共にこの世界へ飛ばされたこと。
実に荒唐無稽な話だと思う。嘘だと思うような内容でも、彼は真摯に耳を傾けてくれた。
陽菜「………あなた達に出会う前まで、私は元いた世界にすぐにでも戻りたいって思ってた。けど、彼らの話やカナが体験してきたこととか、明星と夕星の子、この世界の事をもっと知りたい。
……………駄目、かな?」
ガルシア「………ヒナは、何か楽器とかできるか?」
陽菜「え?………えーと、オカリナっていう笛みたいな楽器なら………なんとか」
唐突に楽器ができるか聞かれてそう答える私は、頭の中で困惑していた。さっきまでの話と楽器が出来るのと一体何の関係があるんだろうと考えていたら、彼は懐からある一切れの紙を手渡してきた。
そこには何やらこの世界の地図らしいものが描かれていて、至るところに丸印がつけられている。
陽菜「あの、カナ………これは?」
ガルシア「そこに書かれているところへ行って、笛を鳴らせばヒナが知りたがっていることが分かるよ。」
陽菜「!………カナは?一緒には行けないの?」
ガルシア「俺は………」
目が覚めたら、どこか清涼感のある部屋にあったベットに寝ていた。
ここは、どこなんだろう。気怠げに起きながら、辺りを見渡す。
陽菜「………リッキー………?」
静かな部屋に声が響いていく。徐々に頭が覚醒してきた頃、ハルルの樹を治した後、ユーリ達の目の前で拐われたことを思い出した。
しかも真っ白なライオンのような獣に襲われていた。
だとしたら、ここでのんびり寝ている場合じゃない。
陽菜(急いで、戻らなきゃ………!)
でも、ハルルの街までここからどれくらいかかる?道って、どう行けばいいんだろう。
それに足が治ったからといって、長い間筋肉も弱まっていたからすぐには走れないし歩くこともできない状態で、どこまで逃げ切れる?
あの後、ユーリ達は無事なのだろうか?あの獣は一体誰なんだろうかなどと、頭をひねらせているとどこからか「目が覚めたか」と言う声が聞こえた。
陽菜「っ!?」
ビックリした私は声のした方に振り向くと、私と瓜二つの顔をしている白銀の髪と赤眼の青年がいた。
この人が、あのおとぎ話の内容で言う『明星の子』の方なのだろうか。
陽菜「………どうして、私を」
?「強引にして悪かった。けれど、これはお前をあの人間どもから守るためなんだ。」
陽菜「守る?」
「あの人間共とこれ以上関わってはいけない」と憎たらしげに、そう口にする彼に疑問を持った私は「貴方は誰?」と聞いた。
そうすると、さっきまでの憎悪はどこへやら、にっこりと私に笑いかけて「俺はガルシア。お前の、双子の兄だ」と名乗ってきた。
陽菜「兄………?貴方が?」
ガルシア「ああ、そうだ。聞きたいこと、あるんだろ?」
確かに色々聞きたいことがある。
どうして今まで会いに来てくれなかったのかだとか。
本当にあなたは私の兄なのか、だとか。
どうして人間を心底憎んでいるのかだとか。
たくさん、たくさんあるはずなのに………何を言っていいのか訳がわからなくなっていた。
陽菜「………それじゃ、聞く………けどさ。
その……………貴方の事、カナって呼んでもいい?」
隣に座りながら私の顔を覗き込んで聞いている彼に、段々言うのが恥ずかしくなってきた私はなるべく視線を会わせないようにそう言うと、いきなり噴き出しながら笑い出す。
ガルシア「………ふはっ、なんだよそれ。一番始めに聞くことか?」
陽菜「う、うるさいな………!それで、どうなわけ?」
ガルシア「ははっ、どうと言われても、ルヒナの好きにしたらいいんじゃない?」
無邪気に笑う彼をボーと眺めていた。
ルヒナ………?
きょとんと首をかしげる私に、お前のことだよ。と頭を撫でてくる。
陽菜「わ、私は緋星陽菜なの。カナ、貴方の言うルヒナじゃないよ。」
ガルシア「……………それでも、お前はルヒナだよ。俺達双子は明星と夕星の子は、昔から人間達に狙われているんだ。あいつらは、俺達をただの道具としか思ってない。」
陽菜「……………。わかった、カナがそう思うのなら、私も極力ではあるけど努力する。………でも、せっかくなら私もヒナって呼ばれたいかな。カナとお揃いがいいもん」
頑として譲らない様子の彼は、苦しそうな寂しそうな顔をしていた。けれど彼が話してくれた内容に、“明星の子”と“夕星の子”というワードが出てきたから、彼にも両足のどちらかに私と同じ火傷と痣があるのだろう。
そうなると、“ルヒナ”という名前も、もしかしたら夕星の子としての名前なのかもしれない。
陽菜「カナ、私ね。この世界の事をよく知らないの。………懐かしい、とはどこかで思うんだけど、ここでの記憶は全くない。だから、あなたが知っている内容を、私は覚えてもないし分からない。」
ガルシア「記憶喪失、ということか?お前の側にいた人間どものせいで?」
そうじゃない。と首を横に振る。どれだけ人間に対する憎悪を抱いているのか、彼と初めて会った私でも、ひしひしと伝わってくる。ユーリ達の身の潔白を証明するために、この世界へ来た話をする。
元の世界に住んでいたとき、家が火事に遭って大怪我をし、孤児となってしまったこと。
幼馴染みの兄と喧嘩をして外へ出ていたら、謎の女の人に喚ばれて、飼い犬と共にこの世界へ飛ばされたこと。
実に荒唐無稽な話だと思う。嘘だと思うような内容でも、彼は真摯に耳を傾けてくれた。
陽菜「………あなた達に出会う前まで、私は元いた世界にすぐにでも戻りたいって思ってた。けど、彼らの話やカナが体験してきたこととか、明星と夕星の子、この世界の事をもっと知りたい。
……………駄目、かな?」
ガルシア「………ヒナは、何か楽器とかできるか?」
陽菜「え?………えーと、オカリナっていう笛みたいな楽器なら………なんとか」
唐突に楽器ができるか聞かれてそう答える私は、頭の中で困惑していた。さっきまでの話と楽器が出来るのと一体何の関係があるんだろうと考えていたら、彼は懐からある一切れの紙を手渡してきた。
そこには何やらこの世界の地図らしいものが描かれていて、至るところに丸印がつけられている。
陽菜「あの、カナ………これは?」
ガルシア「そこに書かれているところへ行って、笛を鳴らせばヒナが知りたがっていることが分かるよ。」
陽菜「!………カナは?一緒には行けないの?」
ガルシア「俺は………」