第3章 ハルルの樹
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?「ユーリ・ローウェル!
この森に入ったのは分かっている!
素直にお縄につけぃ!!」
私達が隠れる茂みのすぐ隣からユーリを呼ぶ男の人の声が聞こえた。
彼はその男性の声を聞いて「勘弁してくれよ」と呆れているかのように溜め息付く。
なんか、急用で呼んでいる訳じゃないみたい。お縄に付けって言ってるし、何したの。
ユーリ「この声………冗談だろ。ルブランの奴、結界の外まで追ってきやがったのか」
どうも訳ありなようだけれど、彼が言っていたことを察するに、冒険者とか旅人とかそういった人じゃない人達は、魔導器による結界で安全に暮らしているらしい。
まあ、こうも魔物がうようよと徘徊していたら、安心して寝ることもできないだろうなぁ。
カロル「ぇ、何?誰かに追われてんの?」
ユーリ「ん、まあ。騎士団にちょっと」
カロル「またまた、元騎士が騎士団になんて……………」
カロルは信じていないかのように、笑顔を見せながら、冷や汗を滲ませていた。
そんな彼を、私達は何も言わずに見つめたまま黙り込む。
カロル「ぇ。え、えええっ!?」
陽菜「カロル。そうやってすぐに疑うのはいいことだけど、疑いすぎるのはよくないよ?」
カロル「だ、だって………」
陽菜「“だって”じゃないよ。こういうときは聞かれたくない事情なんて誰にだってあるんだから。カロルだってそうでしょ?」
カロル「……………。うん。」
ユーリが嘘言っている訳じゃないし、大体はラピードから聞いたからもあるけど、彼の目を見れば、ついていないかなんてすぐに分かる。
説教、なんておこがましいけれど………カロルは少し分かってくれたようでユーリに謝っていた。彼も少しだけ照れ臭そうにカロルの頭を撫でる。
ユーリ「………ありがとな、ヒナ」
陽菜「ん?何か言った、ユーリ?」
ユーリ「いや、別に」
陽菜「ふーん?……………で、どうすんの、アレ」
私が指さすと、声の主達は、未だに騒いでいた。
お陰で、静かだったこの森はとても賑やかだ。
?A「す、素直に出てくるのであ~る」
?B「い、今ならボコるのは勘弁してあげるのだ~」
ルブラン「噂ごときに怯えるとは、それでもシュヴァーン隊の騎士かっ!!」
声でっけーな。ルブランって人………耳が痛いって。
あれだ。おじいちゃん辺りになると、耳が遠いくせにやたらに声がでかくなるって奴だ。
でも、ルブランって人を見る限り、おじいちゃんというよりおじさんだよなぁ。返事がでかいのはいいことだけど……………でかすぎは勘弁してほしいものだ。
陽菜「ていうか、何したの、ホント」
カロル「器物破損?詐欺?密入?泥棒?人殺し?火付け?」
陽菜「カロル。最後に言った言葉を、もう一度言ったら、顔ひっぱるからね」
「なんでそうなるの!?」とカロルが泣く傍らで、ユーリはう~んと考え込むように言った。
ユーリ「脱獄だけだと思うんだけど………」
カロル「………」
エステル「………」
ラピード「………」
リッキー「………」
クレハ「………」
なんでもないような声で、耳を疑えような言葉を言うものだから、事情を知っていそうなエステルやラピードはともかく、ただただ開いた口が塞がらない。
唖然どころじゃないそれに、私はこの旅が本当に大丈夫なのか不安になった。
陽菜「ごめん、ユーリ。
フォローしようと色々考えてたけど、無理だわ。それはさすがに“だけ”では済まないくらい、ものすごくマズイと思う」
ユーリ「ま、とにかく逃げるぞ」
そんなこんなで、騎士の3人組に見つからないよう小走りに出口へと向かう。
ユーリ「………これでよしっと」
出口までたどり着くと、ユーリは騎士の連中がここまで追って来れないように、通り道に木を集めて道を塞いでいた。
というか、これだと無関係な人達まで通れないんじゃないの?
エステル「だ、駄目ですよ!無関係な人にも迷惑になります!!」
あ、エステル。同じ事を言ってる。
ユーリ「誰も通りゃしないよ。なんせ、呪いの森なんだからな」
ともかく、ユーリを捜している騎士達に見つかる前に、私達は出口に向かってあることにした。
多分、大丈夫………なんだよね?
何か色々とゴタゴタに遭っているような気もするけど。
陽菜「カロル~?早くしないとおいてくよ~」
リッキー「ヴォン」
カロル「わ、ちょっと待ってよぉ!!」
───── テルカ・リュミレース:花の街・ハルル ─────
夜。
……………や、やっと着いた。
なんだか少し静まりかえっているような気もするけど。
───── たす、けて………夕星の子……… ─────
あれからずっと聞こえていた声が助けを求めているのか、今度ははっきりと話しかけてくる。
しかも、“夕星の子 ”と言っていた。
陽菜(………出会って早々に、クレハも私の事をそうやって言っていた。)
夕星の子とは一体、何なんだろう。
謎の声が悲痛な様子で助けを求めるぐらい、すごい存在なのだろうか?
またもや考え事をしていたら、カロルがにかっと笑いながら話しかけてくる。
カロル「ねえ、ハルルは初めて?」
陽菜「ん?まあ、そうだね………」
───── たす、けて………─────
陽菜「……………」
ずっと聞こえていたから、幻聴ではないとは思っていたけれど、ここまで来れば確信に変わる。
陽菜(……………ハルルの樹が、夕星の子に助けを求めてる)
けれど、カロル達が手にした素材で解毒薬が作れるのなら、それに頼る必要はないんじゃないだろうか。
そもそも、私が本当にその“夕星の子”なのかも定かじゃないし、頼られるのはありがたいけれど言われようのないことで、助けを求められるのはちょっと困る。
ユーリ「ヒナはここで待っててくれねえか?騎士がここまで来そうになったら、すぐに隠れろよ」
陽菜「わかった」
私が例の騎士達が来ないか警戒をしながら見渡している間、ユーリ達は奥にいる村長に話しかけていた。
残された私とリッキー、クレハは元気のないハルルの樹を見つめる。
陽菜「なんか、不思議な感じだよね。この世界って……………」
リッキー『………確かにな』
クレハ「そうかしら?私はこの世界にずっといるけれど、とっても綺麗な世界だと思うわよ?」
陽菜「そうだね。……………私も、なんとなくだけど、とっても、懐かしい感じがする」
リッキー『お嬢………』
悲しそうな表情をしながら、口籠もるリッキーの頭を撫でながら、少し淋しそうに微笑む。
陽菜「大丈夫。もう……………割り切れたから」
この森に入ったのは分かっている!
素直にお縄につけぃ!!」
私達が隠れる茂みのすぐ隣からユーリを呼ぶ男の人の声が聞こえた。
彼はその男性の声を聞いて「勘弁してくれよ」と呆れているかのように溜め息付く。
なんか、急用で呼んでいる訳じゃないみたい。お縄に付けって言ってるし、何したの。
ユーリ「この声………冗談だろ。ルブランの奴、結界の外まで追ってきやがったのか」
どうも訳ありなようだけれど、彼が言っていたことを察するに、冒険者とか旅人とかそういった人じゃない人達は、魔導器による結界で安全に暮らしているらしい。
まあ、こうも魔物がうようよと徘徊していたら、安心して寝ることもできないだろうなぁ。
カロル「ぇ、何?誰かに追われてんの?」
ユーリ「ん、まあ。騎士団にちょっと」
カロル「またまた、元騎士が騎士団になんて……………」
カロルは信じていないかのように、笑顔を見せながら、冷や汗を滲ませていた。
そんな彼を、私達は何も言わずに見つめたまま黙り込む。
カロル「ぇ。え、えええっ!?」
陽菜「カロル。そうやってすぐに疑うのはいいことだけど、疑いすぎるのはよくないよ?」
カロル「だ、だって………」
陽菜「“だって”じゃないよ。こういうときは聞かれたくない事情なんて誰にだってあるんだから。カロルだってそうでしょ?」
カロル「……………。うん。」
ユーリが嘘言っている訳じゃないし、大体はラピードから聞いたからもあるけど、彼の目を見れば、ついていないかなんてすぐに分かる。
説教、なんておこがましいけれど………カロルは少し分かってくれたようでユーリに謝っていた。彼も少しだけ照れ臭そうにカロルの頭を撫でる。
ユーリ「………ありがとな、ヒナ」
陽菜「ん?何か言った、ユーリ?」
ユーリ「いや、別に」
陽菜「ふーん?……………で、どうすんの、アレ」
私が指さすと、声の主達は、未だに騒いでいた。
お陰で、静かだったこの森はとても賑やかだ。
?A「す、素直に出てくるのであ~る」
?B「い、今ならボコるのは勘弁してあげるのだ~」
ルブラン「噂ごときに怯えるとは、それでもシュヴァーン隊の騎士かっ!!」
声でっけーな。ルブランって人………耳が痛いって。
あれだ。おじいちゃん辺りになると、耳が遠いくせにやたらに声がでかくなるって奴だ。
でも、ルブランって人を見る限り、おじいちゃんというよりおじさんだよなぁ。返事がでかいのはいいことだけど……………でかすぎは勘弁してほしいものだ。
陽菜「ていうか、何したの、ホント」
カロル「器物破損?詐欺?密入?泥棒?人殺し?火付け?」
陽菜「カロル。最後に言った言葉を、もう一度言ったら、顔ひっぱるからね」
「なんでそうなるの!?」とカロルが泣く傍らで、ユーリはう~んと考え込むように言った。
ユーリ「脱獄だけだと思うんだけど………」
カロル「………」
エステル「………」
ラピード「………」
リッキー「………」
クレハ「………」
なんでもないような声で、耳を疑えような言葉を言うものだから、事情を知っていそうなエステルやラピードはともかく、ただただ開いた口が塞がらない。
唖然どころじゃないそれに、私はこの旅が本当に大丈夫なのか不安になった。
陽菜「ごめん、ユーリ。
フォローしようと色々考えてたけど、無理だわ。それはさすがに“だけ”では済まないくらい、ものすごくマズイと思う」
ユーリ「ま、とにかく逃げるぞ」
そんなこんなで、騎士の3人組に見つからないよう小走りに出口へと向かう。
ユーリ「………これでよしっと」
出口までたどり着くと、ユーリは騎士の連中がここまで追って来れないように、通り道に木を集めて道を塞いでいた。
というか、これだと無関係な人達まで通れないんじゃないの?
エステル「だ、駄目ですよ!無関係な人にも迷惑になります!!」
あ、エステル。同じ事を言ってる。
ユーリ「誰も通りゃしないよ。なんせ、呪いの森なんだからな」
ともかく、ユーリを捜している騎士達に見つかる前に、私達は出口に向かってあることにした。
多分、大丈夫………なんだよね?
何か色々とゴタゴタに遭っているような気もするけど。
陽菜「カロル~?早くしないとおいてくよ~」
リッキー「ヴォン」
カロル「わ、ちょっと待ってよぉ!!」
───── テルカ・リュミレース:花の街・ハルル ─────
夜。
……………や、やっと着いた。
なんだか少し静まりかえっているような気もするけど。
───── たす、けて………夕星の子……… ─────
あれからずっと聞こえていた声が助けを求めているのか、今度ははっきりと話しかけてくる。
しかも、“
陽菜(………出会って早々に、クレハも私の事をそうやって言っていた。)
夕星の子とは一体、何なんだろう。
謎の声が悲痛な様子で助けを求めるぐらい、すごい存在なのだろうか?
またもや考え事をしていたら、カロルがにかっと笑いながら話しかけてくる。
カロル「ねえ、ハルルは初めて?」
陽菜「ん?まあ、そうだね………」
───── たす、けて………─────
陽菜「……………」
ずっと聞こえていたから、幻聴ではないとは思っていたけれど、ここまで来れば確信に変わる。
陽菜(……………ハルルの樹が、夕星の子に助けを求めてる)
けれど、カロル達が手にした素材で解毒薬が作れるのなら、それに頼る必要はないんじゃないだろうか。
そもそも、私が本当にその“夕星の子”なのかも定かじゃないし、頼られるのはありがたいけれど言われようのないことで、助けを求められるのはちょっと困る。
ユーリ「ヒナはここで待っててくれねえか?騎士がここまで来そうになったら、すぐに隠れろよ」
陽菜「わかった」
私が例の騎士達が来ないか警戒をしながら見渡している間、ユーリ達は奥にいる村長に話しかけていた。
残された私とリッキー、クレハは元気のないハルルの樹を見つめる。
陽菜「なんか、不思議な感じだよね。この世界って……………」
リッキー『………確かにな』
クレハ「そうかしら?私はこの世界にずっといるけれど、とっても綺麗な世界だと思うわよ?」
陽菜「そうだね。……………私も、なんとなくだけど、とっても、懐かしい感じがする」
リッキー『お嬢………』
悲しそうな表情をしながら、口籠もるリッキーの頭を撫でながら、少し淋しそうに微笑む。
陽菜「大丈夫。もう……………割り切れたから」