第四章・忌まわしき血と力
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斎藤「師を誇れ。おまえの剣には曇りが無い」
千鶴「!」
刀を鞘に納めた彼の言葉に、ようやく千鶴も感覚を取り戻していた。
沖田さんから弾き飛ばされた小太刀を渡され、それをぼうっと見る。どうやら小太刀を弾かれた事にも気付いて無かったらしい。
それだけの鋭い剣戟 を目の前にして、身震いを感じているようだった。
沖田「それにしても………一君と楓ちゃんのお墨付きかぁ。すごいね」
千鶴「えっ………じゃあ………!」
千鶴は期待に満ちた顔で沖田さんをみるが、彼は残念そうな笑顔を浮かべた。
沖田「外出禁止令を出した人が許可すれば 、いつでも巡察に連れていってあげるんだけどね」
千鶴「………ですよね」
斎藤「………俺達からも外出出来るよう、土方副長に進言しておこう」
千鶴「っ! ありがとうございます!」
勢いよく千鶴は頭を下げる。その姿を見た斎藤さんが仄 かに、笑みを浮かべた。彼はというと………にやり、と笑って、黙ったままの私を小突く。
沖田「あーあ。一君見てたら僕も試合、やりたくなっちゃったなぁ」
楓「私は絶対安静 なので、無理です」
沖田「ちぇ─」
先の一件が脳裏を掠めた私は、にべもなく断る。あれだけでもうこりごりだ。
残念そうな舌打ちも無視して、千鶴へと声をかける。
楓「………さて、千鶴。そろそろ、お勝手場に行こ?源さんの手伝いにいく約束だったでしょ?」
千鶴「あっ、そうでした!」
それじゃ、と二人に別れを告げ、源さんの待つお勝手場へと、談笑をしながら歩き出す。
その姿はまるで、誰が見ても姉妹としか思えないほど、仲が良さそうに見えた。
斎藤「………俺達も稽古へ戻るぞ、総司」
沖田「………」
踵を返しながら、彼に声をかける。
返事もなく、ただ一点を見つめたまま、微だにしない彼に小さく呆れながらもう一度声をかける。
斎藤「総司。」
沖田「え?ああ………うん、行くよ」
その晩。
いつもの様に、広間では晩飯の強奪戦が始まった。
ぎゃあぎゃあと騒いでるのは勿論、平助と新八さん。
なるべく火の粉が降りかからないよう………というより、沖田さんに『おいで』とせがまれ、彼の横で膳をとっていた。
新八「なんだ、なんだ。総司も楓も、全然減ってねえじゃねえか!その魚、俺がもらってやるよ!」
ご馳走を目の前に、爛々 と光らせる新八ッつぁんに溜め息付きながらご飯に手を出す。
楓「………どーぞ」
沖田「僕も別に構わないよ。お酒をちびちびしてれば良いし」
千鶴「沖田さんは、お酒ばかりじゃなくて、もう少し食べた方がいいと思いますけど?」
そんな会話に、千鶴もおどおどしながらそう言うも、からからと笑い返されてしまった。
沖田「君も心配性だね。ほんと、誰かさんとそっくり───」
楓「千鶴、今度沖田さんの膳だけ葱たっくさんいれてあげよ」
沖田「…………」
そんなこんなで賑やかな広間に、源さんが入ってくる。
源さん「ちょっと良いかい、皆」
その声はいつものように穏やかだったけれど、表情は真剣そのものだ。
和やかな空気が一瞬で硬いものに変わる。
源さん「山南さんが、隊務中に重傷を負ったらしい」
彼の言葉に全員が耳を疑った。
あの総長である彼が、重症を負うとは思っても見なかったのだろう。
源さん「相当の深手だと文に書かれているよ。傷は左腕だとのことだ。剣を握るのは難しいが、命に別状はない」
千鶴「よかった………」
平助「よくねえよ!」
平助に強く制された彼女の心情を思い、私はせめてもの慰めで、千鶴の頭に手を置いた。
斎藤「刀は片手で容易に扱えるものではない。最悪、山南さんは二度と、真剣を振るえない」
斎藤さんに説明を受け、千鶴は、はっと気が付いたように俯いた。
源さんが近藤さんの元へ向かい、この場を去ると、先ほどとは打って変わって重苦しい空気が漂った。
そして眉をしかめて沖田さんがぼそりと呟く。
沖田「いざとなれば、薬でもなんでも使ってもらうしかないですね………」
左之「………あの人なら、やりそうだな」
新八「滅多なこと言うんじゃねえ。幹部が"しんせんぐみ"入りしてどうすんだよ」
3人の会話に、千鶴は首をかしげ、私は頭を抱えた。
何故なら、その内容自体が機密事項だからだ。
本当に、どうしてこうも口が軽いのだろう。幹部が機密を漏らすのは、組織としては最悪なことだ。
壁に耳あり障子に目あり、という諺 があるように、いついかなるとき誰かが聞いてしまっているかもわからないのにそれを口にしてしまえば、敵に攻め入られて崩御することになる。
千鶴「!」
刀を鞘に納めた彼の言葉に、ようやく千鶴も感覚を取り戻していた。
沖田さんから弾き飛ばされた小太刀を渡され、それをぼうっと見る。どうやら小太刀を弾かれた事にも気付いて無かったらしい。
それだけの鋭い
沖田「それにしても………一君と楓ちゃんのお墨付きかぁ。すごいね」
千鶴「えっ………じゃあ………!」
千鶴は期待に満ちた顔で沖田さんをみるが、彼は残念そうな笑顔を浮かべた。
沖田「
千鶴「………ですよね」
斎藤「………俺達からも外出出来るよう、土方副長に進言しておこう」
千鶴「っ! ありがとうございます!」
勢いよく千鶴は頭を下げる。その姿を見た斎藤さんが
沖田「あーあ。一君見てたら僕も試合、やりたくなっちゃったなぁ」
楓「私は
沖田「ちぇ─」
先の一件が脳裏を掠めた私は、にべもなく断る。あれだけでもうこりごりだ。
残念そうな舌打ちも無視して、千鶴へと声をかける。
楓「………さて、千鶴。そろそろ、お勝手場に行こ?源さんの手伝いにいく約束だったでしょ?」
千鶴「あっ、そうでした!」
それじゃ、と二人に別れを告げ、源さんの待つお勝手場へと、談笑をしながら歩き出す。
その姿はまるで、誰が見ても姉妹としか思えないほど、仲が良さそうに見えた。
斎藤「………俺達も稽古へ戻るぞ、総司」
沖田「………」
踵を返しながら、彼に声をかける。
返事もなく、ただ一点を見つめたまま、微だにしない彼に小さく呆れながらもう一度声をかける。
斎藤「総司。」
沖田「え?ああ………うん、行くよ」
その晩。
いつもの様に、広間では晩飯の強奪戦が始まった。
ぎゃあぎゃあと騒いでるのは勿論、平助と新八さん。
なるべく火の粉が降りかからないよう………というより、沖田さんに『おいで』とせがまれ、彼の横で膳をとっていた。
新八「なんだ、なんだ。総司も楓も、全然減ってねえじゃねえか!その魚、俺がもらってやるよ!」
ご馳走を目の前に、
楓「………どーぞ」
沖田「僕も別に構わないよ。お酒をちびちびしてれば良いし」
千鶴「沖田さんは、お酒ばかりじゃなくて、もう少し食べた方がいいと思いますけど?」
そんな会話に、千鶴もおどおどしながらそう言うも、からからと笑い返されてしまった。
沖田「君も心配性だね。ほんと、誰かさんとそっくり───」
楓「千鶴、今度沖田さんの膳だけ葱たっくさんいれてあげよ」
沖田「…………」
そんなこんなで賑やかな広間に、源さんが入ってくる。
源さん「ちょっと良いかい、皆」
その声はいつものように穏やかだったけれど、表情は真剣そのものだ。
和やかな空気が一瞬で硬いものに変わる。
源さん「山南さんが、隊務中に重傷を負ったらしい」
彼の言葉に全員が耳を疑った。
あの総長である彼が、重症を負うとは思っても見なかったのだろう。
源さん「相当の深手だと文に書かれているよ。傷は左腕だとのことだ。剣を握るのは難しいが、命に別状はない」
千鶴「よかった………」
平助「よくねえよ!」
平助に強く制された彼女の心情を思い、私はせめてもの慰めで、千鶴の頭に手を置いた。
斎藤「刀は片手で容易に扱えるものではない。最悪、山南さんは二度と、真剣を振るえない」
斎藤さんに説明を受け、千鶴は、はっと気が付いたように俯いた。
源さんが近藤さんの元へ向かい、この場を去ると、先ほどとは打って変わって重苦しい空気が漂った。
そして眉をしかめて沖田さんがぼそりと呟く。
沖田「いざとなれば、薬でもなんでも使ってもらうしかないですね………」
左之「………あの人なら、やりそうだな」
新八「滅多なこと言うんじゃねえ。幹部が"しんせんぐみ"入りしてどうすんだよ」
3人の会話に、千鶴は首をかしげ、私は頭を抱えた。
何故なら、その内容自体が機密事項だからだ。
本当に、どうしてこうも口が軽いのだろう。幹部が機密を漏らすのは、組織としては最悪なことだ。
壁に耳あり障子に目あり、という