第四章・忌まわしき血と力
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強引半ばに私を連れ出し、挙げ句の果てに廊下をずんずんと歩いていく彼女の横顔を見ながら聞こえるか聞こえないかの声で、ボソッと呟く。
楓「私としては、土方さんで羨ましいんだけど?」
外に出たい、と言われても行き場所ないし、見ず知らずの場所だから、方向がわからないしで、行きたくもない。
むしろ、千鶴を小姓にした土方の方が良かったと思う。
私は沖田さんの小姓になったけど、彼女と違って…………。
暇さえあれば私をからかうためだけに呼びつけては、おまんじゅうを口に突っ込まれるし、朝は毎日起こしに来いとか、本当に毎日毎日忙しかった。
もともと、偉人の中では好きだったとは言え、何でこうも小姓扱いの扱い方が雲泥の差なのか、皆目見当もつかない。
というか、私としてはそっちに不満がある。
本当に何故だ。
楓「それに千鶴、あんた。土方さんがいなくても沖田さんたちとかいるでしょーが」
そう。今日は運良く、土方さんがいないだけであって、他の組長らは剣の稽古だったり巡回だったりと、すぐ近くにいるのだ。
どのみち、ここから忍んで出ようものなら、連れ戻されるのは目に見えていることで、今は生かされてはいるけれど、本来なら死罪免れない行動をしている。
それに彼女は気づいていないからこそ、私がやめようと時間稼ぎをしているに過ぎない。
「早く戻らないと、何されるかわかんないよ」と呆れながらに戻ろうとすると、千鶴が腕を掴んできた。
千鶴「!、で、でも………っ」
???「―――――へぇ、心外だなぁ。
楓ちゃんは、僕より土方さんの小姓がいいの?」
千鶴「っ!!!?」
楓「………ほら来た」
不意に後ろからいきなり声をかけたのは、とてつもなく冷たい目で笑いながら、私達を見る沖田さんだった。
だから言ったのに、という言葉は胸にしまっておくとして、どうも私の言動で彼の機嫌を損ねたらしい。
楓(……………はぁ、めんどくさい)
にこにこと冷たく笑う彼に、思わず溜息がこぼれる。
絶対に部屋戻ったら、どんな悪戯をされるか………たまったもんじゃない。
折角ののどかな時間が、この一瞬で砕け散った私は、目眩がするほどにショックを受ける。
それでも、これだけは譲りたくないのか、千鶴は顔をひきつらせながらもじっと沖田さんの方を見やる。
沖田「それに君たちは部屋に待機の筈だよね?
どうしてここにいるの?」
千鶴「あの……………私、そろそろ父様を捜しに行きたくて………」
千鶴が、怖ず怖ずというと「それは無理だ」と別の声が聞こえてきた。
楓「斉藤さん………」
斉藤「お前の警護に当てる人員は、今はいない」
沖田さんの背後から現れた斉藤さんに、スパッと断られた千鶴は「それでも」と抗議をしに行く。
千鶴「………別に遠出したいわけじゃないんです。ちょっと屯所の周りだけでも………」
楓「……………はぁ。………私も今しがた、わかったことだけど、こうなると千鶴はしつこいよ?
彼女の言う通り、もう一週間以上もここから出ていないし………少しぐらい目をつむっても、駄目なもんなの?」
少しだけ助け船を出す私に、ショックを受けているのかそれとも喜んでいるのか複雑そうな顔で見てくる千鶴と、交互に見ながら斎藤さんはダメだとばかりに睨み付けてくる。
………まあ予想通りの反応だけど、言ってしまった手前、後戻りはできないので、聞くだけ聞いて千鶴を説得するしか他にはないようだ。
「散歩がてら、外の空気吸ったって」と私が沖田さんを見やると、彼は困ったように笑った。
沖田「んー。
僕たちが巡察に出掛けるときに同行してもらうのが一番手っ取り早いかな」
千鶴「!!、それじゃあ」
千鶴が一瞬目を輝かせたけど、沖田さんが意地悪く笑いながら、彼女を見下ろした。
沖田「でも、巡察って命がけなんだよ?
僕たちが下手を打てば、死ぬ隊士だって出る。
浪士に殺されたくないなら、楓ちゃんみたく、最低限自分の身くらい自分で守ってもらわないとね」
相変わらず意地悪な笑みを携えて、そう言う沖田さんも一理ある。
けれど、そこに私を持ってこないでほしい。
楓「それで?お相手は沖田さんですか?」
とぼけたような口振りをするけれど、実際に二人とも敵う相手ではないことは分かりきっている。
勝ち負けの問題じゃなくても、力を証明するだけなのだから、相手に一本とるか………もしくは威勢を認めさせれることが出来たら上々じゃないだろうか。
彼の考えがわかった私は、少しだけ呆れた顔で聞いてみると、ふにゃりと笑って隣にいた斎藤さんを指差す。
楓「私としては、土方さんで羨ましいんだけど?」
外に出たい、と言われても行き場所ないし、見ず知らずの場所だから、方向がわからないしで、行きたくもない。
むしろ、千鶴を小姓にした土方の方が良かったと思う。
私は沖田さんの小姓になったけど、彼女と違って…………。
暇さえあれば私をからかうためだけに呼びつけては、おまんじゅうを口に突っ込まれるし、朝は毎日起こしに来いとか、本当に毎日毎日忙しかった。
もともと、偉人の中では好きだったとは言え、何でこうも小姓扱いの扱い方が雲泥の差なのか、皆目見当もつかない。
というか、私としてはそっちに不満がある。
本当に何故だ。
楓「それに千鶴、あんた。土方さんがいなくても沖田さんたちとかいるでしょーが」
そう。今日は運良く、土方さんがいないだけであって、他の組長らは剣の稽古だったり巡回だったりと、すぐ近くにいるのだ。
どのみち、ここから忍んで出ようものなら、連れ戻されるのは目に見えていることで、今は生かされてはいるけれど、本来なら死罪免れない行動をしている。
それに彼女は気づいていないからこそ、私がやめようと時間稼ぎをしているに過ぎない。
「早く戻らないと、何されるかわかんないよ」と呆れながらに戻ろうとすると、千鶴が腕を掴んできた。
千鶴「!、で、でも………っ」
???「―――――へぇ、心外だなぁ。
楓ちゃんは、僕より土方さんの小姓がいいの?」
千鶴「っ!!!?」
楓「………ほら来た」
不意に後ろからいきなり声をかけたのは、とてつもなく冷たい目で笑いながら、私達を見る沖田さんだった。
だから言ったのに、という言葉は胸にしまっておくとして、どうも私の言動で彼の機嫌を損ねたらしい。
楓(……………はぁ、めんどくさい)
にこにこと冷たく笑う彼に、思わず溜息がこぼれる。
絶対に部屋戻ったら、どんな悪戯をされるか………たまったもんじゃない。
折角ののどかな時間が、この一瞬で砕け散った私は、目眩がするほどにショックを受ける。
それでも、これだけは譲りたくないのか、千鶴は顔をひきつらせながらもじっと沖田さんの方を見やる。
沖田「それに君たちは部屋に待機の筈だよね?
どうしてここにいるの?」
千鶴「あの……………私、そろそろ父様を捜しに行きたくて………」
千鶴が、怖ず怖ずというと「それは無理だ」と別の声が聞こえてきた。
楓「斉藤さん………」
斉藤「お前の警護に当てる人員は、今はいない」
沖田さんの背後から現れた斉藤さんに、スパッと断られた千鶴は「それでも」と抗議をしに行く。
千鶴「………別に遠出したいわけじゃないんです。ちょっと屯所の周りだけでも………」
楓「……………はぁ。………私も今しがた、わかったことだけど、こうなると千鶴はしつこいよ?
彼女の言う通り、もう一週間以上もここから出ていないし………少しぐらい目をつむっても、駄目なもんなの?」
少しだけ助け船を出す私に、ショックを受けているのかそれとも喜んでいるのか複雑そうな顔で見てくる千鶴と、交互に見ながら斎藤さんはダメだとばかりに睨み付けてくる。
………まあ予想通りの反応だけど、言ってしまった手前、後戻りはできないので、聞くだけ聞いて千鶴を説得するしか他にはないようだ。
「散歩がてら、外の空気吸ったって」と私が沖田さんを見やると、彼は困ったように笑った。
沖田「んー。
僕たちが巡察に出掛けるときに同行してもらうのが一番手っ取り早いかな」
千鶴「!!、それじゃあ」
千鶴が一瞬目を輝かせたけど、沖田さんが意地悪く笑いながら、彼女を見下ろした。
沖田「でも、巡察って命がけなんだよ?
僕たちが下手を打てば、死ぬ隊士だって出る。
浪士に殺されたくないなら、楓ちゃんみたく、最低限自分の身くらい自分で守ってもらわないとね」
相変わらず意地悪な笑みを携えて、そう言う沖田さんも一理ある。
けれど、そこに私を持ってこないでほしい。
楓「それで?お相手は沖田さんですか?」
とぼけたような口振りをするけれど、実際に二人とも敵う相手ではないことは分かりきっている。
勝ち負けの問題じゃなくても、力を証明するだけなのだから、相手に一本とるか………もしくは威勢を認めさせれることが出来たら上々じゃないだろうか。
彼の考えがわかった私は、少しだけ呆れた顔で聞いてみると、ふにゃりと笑って隣にいた斎藤さんを指差す。