第四章・忌まわしき血と力
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あれから3週間後。いよいよやってきた試合に、心なしか、うずうずしている────
…………ん?熱はどうしたかって?
ああ。大体3日ぐらいで治ったよ?
ついでに1週間もいらなかったってぐらいに体調も良くなった…………って訳ではないけどさ。
寝込んでいる間、何かと理由をつけては沖田さんに甘味やご飯を口に放り込まれるという……謎の悪戯にあって、おかげで少しずつ体つきも元に戻りかけてきた。
どうも……帰ってきてから、千鶴が看病してくれたみたいだったからね。
あとで千鶴には何かお礼しないとだけどな、何がいいんだろ。
あの子、可愛い物好きそうだし………女の子っぽいものならこの辺に売ってるかな。
ああ、沖田さんにも。ちゃんとお礼しないと………なんか拗ねて悪戯がひどくなりそう。
ほんと、子供みたいなことするから可愛いっちゃあ可愛い。弟みたいで。
それはあとで何とかするとして、ふと道場内をじっくりと見渡す。
そういえば、道場に来たのって、ものすごく初めてだ。
楓(いや…………現代でも行ってたんだけどね?)
この時代の道場って、なんだか、新鮮っていうか……………ほんと、なかなか体験できないもんだよ?
…………多分、道場は取り壊されてるか、焼かれちゃってるかで残っていないはずだからね。
楓(とはいいつつも。やっぱり視線が痛いな…………)
籠もっていた、と言うような軟禁状態だった私は、一般隊士を見るのも初めてだし、それ以上に彼らから来る視線が痛い。
まあ、しょうがないと言えばしょうがないのだけれど。
楓(幹部と同じ前川邸で、しかも個人部屋を与えられてるってんだから、不満を買ってんだろな………)
本当は監視されている んだけど、そんな事は一般隊士の彼らが知るよしもない。
それに元より、刀なんて無い…………じゃなかった、あるんだけど取り上げられているから、少しだけ身体をほぐしておくことにした。
やがて、幹部のみんながぞろぞろと現れ、それを見た隊士達はざわつき始めていた。
楓(おー、そろそろ……かな?)
近藤さん達が見据える先は、もちろん私だ。
……………て、余裕そうに見えるけど、これでも緊張してるんだよ?マジで。
おかげで周りからの好奇の視線が絶えなくて、恥ずかしいというか、ものすごく居心地が悪い。
千鶴「アキさん、頑張ってくださいね!!」
楓「……いや。頑張るも何も……………無性に、帰りたくなってきた」
近藤「これより、暁犬銀の実力査定を行う!!」
近藤さんの声が、威厳を持ってそう叫んだ。
そのため、道場に彼の声が谺する。
…………あ、言い忘れたけど、“銀”って名前は何故か沖田さんが付けたんだ。よく分かんないけど。
楓「……………さっさとやって、寝よっかな………俺」
千鶴「ちょ、アキさん。そんな事言っていられる状況じゃないですって」
全然やる気が起きない私に、千鶴はため息づく。
だって本当に嫌なんだもん、この状況が。
溜め息付きながら、斉藤さんから木刀を受け取る。
楓「木刀………っスか」
できれば竹刀が良かった、と内心、思う。
そっちの方が木刀より痛くないし…………何よりこいつに良い思い出は1つもない。
近藤「ああ。今回は、1対1の試合形式。両者木刀で打ち合ってもらう。くれぐれも手加減なしで頼むよ」
楓「はーい。………にっしても、軽いっスね、これ。もし壊したとしても弁償できないっスけど、良いっスか?」
軽々と木刀をジャクリングすると、それを見た近藤さんが「おおっ、素晴らしい自信だな」と混じりっけのない笑顔をしてきた。
近藤「だが、そう簡単には折れまいよ。存分に戦ってくれたまえ」
…………………。存分に、っスか……………(汗)
なんだろ、あの笑顔に勝てる気がしない。
楓「………………。はぁ、分かりました。んで、相手って……………」
土方「今回は原田と対戦してもらう」
楓「左之さんと?」
驚いた私が思わずそう言うと、左之さんに「俺じゃ不満かよ?」と苦笑しながら言われた。
楓「いや、不満って訳じゃねーけどさ。左之さんって確か、槍が主流って言ってなかったか?」
「そう言ったがよ」と木刀を肩に置きながら、私を見やる。
左之「俺の刀裁き、舐めてもらっちゃ困るぜ」
楓「だから、舐めてねーって。んじゃま、宜しくお願いします、左之さん」
私も苦笑しつつ、全神経を集中させる。
私の雰囲気が一瞬にして張り詰めたものに変わった。それをその場で感じた者達は動揺を隠せないようで、どよめいていた。
まあ、左之さんだけにって訳でもないけど、新選組幹部全員、並外れに強いし、とてもじゃないけどかないっこない。
内心、そう思っていたとしても、黙ってやられるほど………私はそんなにできていない。
楓(それに、一応……これでもあの子の師範代だからね)
近藤「────では、始めッ!!」
近藤さんのかけ声に、道場全体に緊張感が流れ、沢山の視線が一気に私と左之さんに集中していく。
両手で木刀を持ち、構えをするものの、何もせずにじっとしていた私を見兼ねたのか、左之さんが先に打ちかかってきた。
左之「悪いな。さっさと終わらせちまおうぜ」
楓「ッは、それ。俺のセリフだっての」
ガン、ガン、ガン、と互いにぶつかる音が木霊する。
私だって、さっさと終わらせたい。だからって無闇に行くのはブザマだったから、先にかかってきてくれたんなら、こっちにとっちゃ好都合。
…………ん?熱はどうしたかって?
ああ。大体3日ぐらいで治ったよ?
ついでに1週間もいらなかったってぐらいに体調も良くなった…………って訳ではないけどさ。
寝込んでいる間、何かと理由をつけては沖田さんに甘味やご飯を口に放り込まれるという……謎の悪戯にあって、おかげで少しずつ体つきも元に戻りかけてきた。
どうも……帰ってきてから、千鶴が看病してくれたみたいだったからね。
あとで千鶴には何かお礼しないとだけどな、何がいいんだろ。
あの子、可愛い物好きそうだし………女の子っぽいものならこの辺に売ってるかな。
ああ、沖田さんにも。ちゃんとお礼しないと………なんか拗ねて悪戯がひどくなりそう。
ほんと、子供みたいなことするから可愛いっちゃあ可愛い。弟みたいで。
それはあとで何とかするとして、ふと道場内をじっくりと見渡す。
そういえば、道場に来たのって、ものすごく初めてだ。
楓(いや…………現代でも行ってたんだけどね?)
この時代の道場って、なんだか、新鮮っていうか……………ほんと、なかなか体験できないもんだよ?
…………多分、道場は取り壊されてるか、焼かれちゃってるかで残っていないはずだからね。
楓(とはいいつつも。やっぱり視線が痛いな…………)
籠もっていた、と言うような軟禁状態だった私は、一般隊士を見るのも初めてだし、それ以上に彼らから来る視線が痛い。
まあ、しょうがないと言えばしょうがないのだけれど。
楓(幹部と同じ前川邸で、しかも個人部屋を与えられてるってんだから、不満を買ってんだろな………)
本当は
それに元より、刀なんて無い…………じゃなかった、あるんだけど取り上げられているから、少しだけ身体をほぐしておくことにした。
やがて、幹部のみんながぞろぞろと現れ、それを見た隊士達はざわつき始めていた。
楓(おー、そろそろ……かな?)
近藤さん達が見据える先は、もちろん私だ。
……………て、余裕そうに見えるけど、これでも緊張してるんだよ?マジで。
おかげで周りからの好奇の視線が絶えなくて、恥ずかしいというか、ものすごく居心地が悪い。
千鶴「アキさん、頑張ってくださいね!!」
楓「……いや。頑張るも何も……………無性に、帰りたくなってきた」
近藤「これより、暁犬銀の実力査定を行う!!」
近藤さんの声が、威厳を持ってそう叫んだ。
そのため、道場に彼の声が谺する。
…………あ、言い忘れたけど、“銀”って名前は何故か沖田さんが付けたんだ。よく分かんないけど。
楓「……………さっさとやって、寝よっかな………俺」
千鶴「ちょ、アキさん。そんな事言っていられる状況じゃないですって」
全然やる気が起きない私に、千鶴はため息づく。
だって本当に嫌なんだもん、この状況が。
溜め息付きながら、斉藤さんから木刀を受け取る。
楓「木刀………っスか」
できれば竹刀が良かった、と内心、思う。
そっちの方が木刀より痛くないし…………何よりこいつに良い思い出は1つもない。
近藤「ああ。今回は、1対1の試合形式。両者木刀で打ち合ってもらう。くれぐれも手加減なしで頼むよ」
楓「はーい。………にっしても、軽いっスね、これ。もし壊したとしても弁償できないっスけど、良いっスか?」
軽々と木刀をジャクリングすると、それを見た近藤さんが「おおっ、素晴らしい自信だな」と混じりっけのない笑顔をしてきた。
近藤「だが、そう簡単には折れまいよ。存分に戦ってくれたまえ」
…………………。存分に、っスか……………(汗)
なんだろ、あの笑顔に勝てる気がしない。
楓「………………。はぁ、分かりました。んで、相手って……………」
土方「今回は原田と対戦してもらう」
楓「左之さんと?」
驚いた私が思わずそう言うと、左之さんに「俺じゃ不満かよ?」と苦笑しながら言われた。
楓「いや、不満って訳じゃねーけどさ。左之さんって確か、槍が主流って言ってなかったか?」
「そう言ったがよ」と木刀を肩に置きながら、私を見やる。
左之「俺の刀裁き、舐めてもらっちゃ困るぜ」
楓「だから、舐めてねーって。んじゃま、宜しくお願いします、左之さん」
私も苦笑しつつ、全神経を集中させる。
私の雰囲気が一瞬にして張り詰めたものに変わった。それをその場で感じた者達は動揺を隠せないようで、どよめいていた。
まあ、左之さんだけにって訳でもないけど、新選組幹部全員、並外れに強いし、とてもじゃないけどかないっこない。
内心、そう思っていたとしても、黙ってやられるほど………私はそんなにできていない。
楓(それに、一応……これでもあの子の師範代だからね)
近藤「────では、始めッ!!」
近藤さんのかけ声に、道場全体に緊張感が流れ、沢山の視線が一気に私と左之さんに集中していく。
両手で木刀を持ち、構えをするものの、何もせずにじっとしていた私を見兼ねたのか、左之さんが先に打ちかかってきた。
左之「悪いな。さっさと終わらせちまおうぜ」
楓「ッは、それ。俺のセリフだっての」
ガン、ガン、ガン、と互いにぶつかる音が木霊する。
私だって、さっさと終わらせたい。だからって無闇に行くのはブザマだったから、先にかかってきてくれたんなら、こっちにとっちゃ好都合。