第参章・時を渡る者
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千鶴「本当に、沖田さんは意地悪ですっ………それに、怖いです………」
楓「ふふ、まあそうだね」
ぷんぷんと怒り、時にしゅん、と怯えながら服を脱いでいる千鶴を見て、クスッと苦笑いをしながら、自分も脱ぐ。
楓(………まぁ、沖田さんに言われたことは、あながち間違っていないんだけど………)
“奴らが弱いから、稽古もほとんどサボり気味だった”だなんて言うのは嘘。
本当は、12年だか。
もしくはそれ以上………長い間、水とパンだけ口にしているだけのある意味監禁状態だったから、骨が至るところから丸見えで、自身から見ても気味が悪い。
しかもその身体から、目につくほどの数え切れない傷跡や痣が、忌々しいほど残っていた。
………まあ、私の場合、影武者のような役割だったけど、他の奴らとは違って、ひどく嫌われていたからそういった仕打ちは少なくなかった。
楓「………さて、と。そろそろ入ろっか?
千鶴も男装して一人旅だったんだから、久しぶりの湯船………なんでしょ?」
千鶴「………………」
とにかく元気な素振りでそう話しかける。
けど、彼女はとてつもなく悲しそうな、辛そうな………なんだか、泣きそうな顔をしていた。
楓「え?ちょっと、千鶴………?」
なんか私、変なことでも言ったのだろうか………そんな事が頭をよぎったが、どうやら杞憂のようだった。
千鶴「アキさん………っ!!こんなに痩せてっ、こんな………っ、傷や痣までっ」
千鶴はまたもや涙を浮かべながら、私のやせ細っていて怪我だらけの身体を、震える手で触れてきた。
そんな彼女を抱きしめ、千鶴の頭を優しく撫でながら「大丈夫だよ、千鶴………」と彼女を落ち着かせる。
楓「これがいつもだったから、平気。………まったく、千鶴ったらホント泣き虫なんだから」
千鶴「なっ、泣き虫なんかじゃないですっ!!」
楓「ふふっ、そうだね。………じゃ、入ろっか?」
泣き腫れた顔でそう怒る千鶴に笑いかけながら、風呂に入った。
* * * * * *
そんな二人の会話を、戸外で見張っていた沖田の耳にも届いていた。
楓「ふふ、まあそうだね」
ぷんぷんと怒り、時にしゅん、と怯えながら服を脱いでいる千鶴を見て、クスッと苦笑いをしながら、自分も脱ぐ。
楓(………まぁ、沖田さんに言われたことは、あながち間違っていないんだけど………)
“奴らが弱いから、稽古もほとんどサボり気味だった”だなんて言うのは嘘。
本当は、12年だか。
もしくはそれ以上………長い間、水とパンだけ口にしているだけのある意味監禁状態だったから、骨が至るところから丸見えで、自身から見ても気味が悪い。
しかもその身体から、目につくほどの数え切れない傷跡や痣が、忌々しいほど残っていた。
………まあ、私の場合、影武者のような役割だったけど、他の奴らとは違って、ひどく嫌われていたからそういった仕打ちは少なくなかった。
楓「………さて、と。そろそろ入ろっか?
千鶴も男装して一人旅だったんだから、久しぶりの湯船………なんでしょ?」
千鶴「………………」
とにかく元気な素振りでそう話しかける。
けど、彼女はとてつもなく悲しそうな、辛そうな………なんだか、泣きそうな顔をしていた。
楓「え?ちょっと、千鶴………?」
なんか私、変なことでも言ったのだろうか………そんな事が頭をよぎったが、どうやら杞憂のようだった。
千鶴「アキさん………っ!!こんなに痩せてっ、こんな………っ、傷や痣までっ」
千鶴はまたもや涙を浮かべながら、私のやせ細っていて怪我だらけの身体を、震える手で触れてきた。
そんな彼女を抱きしめ、千鶴の頭を優しく撫でながら「大丈夫だよ、千鶴………」と彼女を落ち着かせる。
楓「これがいつもだったから、平気。………まったく、千鶴ったらホント泣き虫なんだから」
千鶴「なっ、泣き虫なんかじゃないですっ!!」
楓「ふふっ、そうだね。………じゃ、入ろっか?」
泣き腫れた顔でそう怒る千鶴に笑いかけながら、風呂に入った。
* * * * * *
そんな二人の会話を、戸外で見張っていた沖田の耳にも届いていた。