第弐章・存在意義
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なぜ………。
それは自分でも分からない。
ただただ、今を生きる価値すらないから。
死ねたはずの時間を奪われた私にとって今を生きるのは、拷問でしかないから。
もう、何もかもが疲れたんだよ。私は。
楓「………。なぜ、でしょうね。
ところで、さっさと俺を殺してくださいません?」
土方「質問してんのはこっちだろうが………っ」
苛立ちを含めた声で、土方さんが答える。
おどけたように手をあげながら、千鶴ちゃんの肩を軽く叩く。
楓「そんなこと言ったって、ねぇ?
………純粋にそう思っただけですって。めんどくさいの嫌いなんスよ、俺」
千鶴「ちょ………っ、アキさん!!」
土方「そうかよ、なら今すぐ楽にしてやる………」
千鶴ちゃんが慌てて止めるも、青筋立てた土方さんには目にもくれないように、つんけんと溜め息を吐き出す。
楓「怒りの沸点が低いっスねー………。沖田さんがイタズラしたくなるのも頷けますわ」
土方「っだとぉ………っ!?」
沖田「あははっ、やっぱりキミもそう思う?」
土方「総司ぃいい!!」
沖田さんが私の言葉に賛同する。
そんな彼に鬼のような形相で、怒りが爆発寸前だった土方さんを近藤さんが慌ててなだめる。
近藤「ま………まあまあ、トシ………落ち着け」
土方「ちっ………で、てめぇは何者だ」
楓「怒り方といい………さすが江戸っ子ですね。やたらに煩い………」
土方「てめぇ。人をおちょくらにゃあ、問いかけに答えれねえのか!?」
ふう、と吐息をつくと、土方さんが眉をひくつかせながら睨みだしてきた。
あはは、本当にこの人は………キレやすくて冗談通じねぇな。
楓「だから、そんなに喚 かないでくださいよ。
まったく………俺は暁犬楓。
さっきも話したように、未来から来ました。あとは知っての通りです」
「以上終わり。これでいいんだら?」と言えば、土方さんはまた1つ舌打ちしながら頷いた。
近藤「………キミは“ケンドー”………とかいうものを習っている、と言ったが………」
楓「………。ああ、確かに習ってましたよ。
でも、俺はただ、あの人を守る ………そのためだけに貫いてきた。
一度のみならず二度までも、誰からにも疎まれて家ごと燃やされる ぐらいなら、習いたか………ありませんでしたけどね」
そう静かに言うと、土方さんを含め、その場にいた者は皆………耳を疑った。
そんな彼らの反応を見て、ハッと鼻で笑う。
まあ、普通ならこんなものか。放火なんてどこの時代行ったって、大罪だもんな。
クスクス笑い出す私を見て動揺を隠しきれないのか、誰もが言葉を失いかけていた。
近藤「ちょ、ちょっと待ってくれ。家を燃やされたというのは………」
楓「そのままの意味ですよ、局長。
まだ幼かった私は、埃や中で撒いたであろう油に火を放った蔵の中に閉じ込められ、死にかけた」
「燃やされたのは、当時………7歳の頃っスかね」と自嘲気味に言うと、皆、口をあんぐりさせていた。
楓「俺を妬ましく思う奴がいるんですよ、門下生や俺の周辺にね。
どうせ、最年少で高い段級を持っていることが、自分より強いことが気に食わなかったんでしょ」
そう話すとほんの僅かだったが、沖田さん の眉がピクリと反応したのに、私は気付かないフリをしていた。
それは彼だって同じ思いをしてきた人だから、だからこそ、あまり自分のことは話したくなかったのだけれど。
口を滑らしてしまったものはしょうがない。話せないとこは少し省いて話すしかない。
楓「もちろん、その時は俺だって抵抗しましたよ?
ありったけの知恵使って、蔵から何とかして脱走したからな。
仕掛けた奴らにとっちゃ、残念がるところだろうけど」
千鶴「そんなの、そんなの酷すぎます。なんで………」
涙を浮かべながら、私の手を握ってくる彼女に、ただ苦笑いをするしかなかった。
確かに、幼い子にとっては酷な話なのだろう。………だけれど、それは本当にあったこと。
それほどまでに、私は誰からも愛されていなかったのだと、あの頃は心の底から思ったものだ。
楓「それから10年後、誰もが寝静まった真夜中に、気がついたら俺は身体の自由を無くされ、縛られていた。
寝ていたからか、あるいは薬で眠らせたのか………、本当にどうしようもないクズ共ですよね。
ご丁寧に目隠しや猿轡 までして………、俺ごと、家に火を放った」
平助「だからって、何も燃やす事なんて………」
近藤「平助の言う通りだ。………楓君。キミのご家族は無事だったのかね?」
家族………その言葉を聞いて、私は狂ったように大声で笑い出してしまった。
しばらく笑いが落ち着くのを待ってから、少し言葉が悪かったかと、考えながら口にする。
楓「………家族?いるわけないじゃないですか」
土方「………なに?」
その言葉に彼らの眼光が鈍く光った。
くつくつと笑う私に、平助は「な、何が可笑しいんだよ」と問う。
何を勘違いしているのか分かっているだろうか、それとも、私が殺したのだと、思っているのだろうか?
それは自分でも分からない。
ただただ、今を生きる価値すらないから。
死ねたはずの時間を奪われた私にとって今を生きるのは、拷問でしかないから。
もう、何もかもが疲れたんだよ。私は。
楓「………。なぜ、でしょうね。
ところで、さっさと俺を殺してくださいません?」
土方「質問してんのはこっちだろうが………っ」
苛立ちを含めた声で、土方さんが答える。
おどけたように手をあげながら、千鶴ちゃんの肩を軽く叩く。
楓「そんなこと言ったって、ねぇ?
………純粋にそう思っただけですって。めんどくさいの嫌いなんスよ、俺」
千鶴「ちょ………っ、アキさん!!」
土方「そうかよ、なら今すぐ楽にしてやる………」
千鶴ちゃんが慌てて止めるも、青筋立てた土方さんには目にもくれないように、つんけんと溜め息を吐き出す。
楓「怒りの沸点が低いっスねー………。沖田さんがイタズラしたくなるのも頷けますわ」
土方「っだとぉ………っ!?」
沖田「あははっ、やっぱりキミもそう思う?」
土方「総司ぃいい!!」
沖田さんが私の言葉に賛同する。
そんな彼に鬼のような形相で、怒りが爆発寸前だった土方さんを近藤さんが慌ててなだめる。
近藤「ま………まあまあ、トシ………落ち着け」
土方「ちっ………で、てめぇは何者だ」
楓「怒り方といい………さすが江戸っ子ですね。やたらに煩い………」
土方「てめぇ。人をおちょくらにゃあ、問いかけに答えれねえのか!?」
ふう、と吐息をつくと、土方さんが眉をひくつかせながら睨みだしてきた。
あはは、本当にこの人は………キレやすくて冗談通じねぇな。
楓「だから、そんなに
まったく………俺は暁犬楓。
さっきも話したように、未来から来ました。あとは知っての通りです」
「以上終わり。これでいいんだら?」と言えば、土方さんはまた1つ舌打ちしながら頷いた。
近藤「………キミは“ケンドー”………とかいうものを習っている、と言ったが………」
楓「………。ああ、確かに習ってましたよ。
でも、俺はただ、
一度のみならず二度までも、
そう静かに言うと、土方さんを含め、その場にいた者は皆………耳を疑った。
そんな彼らの反応を見て、ハッと鼻で笑う。
まあ、普通ならこんなものか。放火なんてどこの時代行ったって、大罪だもんな。
クスクス笑い出す私を見て動揺を隠しきれないのか、誰もが言葉を失いかけていた。
近藤「ちょ、ちょっと待ってくれ。家を燃やされたというのは………」
楓「そのままの意味ですよ、局長。
まだ幼かった私は、埃や中で撒いたであろう油に火を放った蔵の中に閉じ込められ、死にかけた」
「燃やされたのは、当時………7歳の頃っスかね」と自嘲気味に言うと、皆、口をあんぐりさせていた。
楓「俺を妬ましく思う奴がいるんですよ、門下生や俺の周辺にね。
どうせ、最年少で高い段級を持っていることが、自分より強いことが気に食わなかったんでしょ」
そう話すとほんの僅かだったが、
それは彼だって同じ思いをしてきた人だから、だからこそ、あまり自分のことは話したくなかったのだけれど。
口を滑らしてしまったものはしょうがない。話せないとこは少し省いて話すしかない。
楓「もちろん、その時は俺だって抵抗しましたよ?
ありったけの知恵使って、蔵から何とかして脱走したからな。
仕掛けた奴らにとっちゃ、残念がるところだろうけど」
千鶴「そんなの、そんなの酷すぎます。なんで………」
涙を浮かべながら、私の手を握ってくる彼女に、ただ苦笑いをするしかなかった。
確かに、幼い子にとっては酷な話なのだろう。………だけれど、それは本当にあったこと。
それほどまでに、私は誰からも愛されていなかったのだと、あの頃は心の底から思ったものだ。
楓「それから10年後、誰もが寝静まった真夜中に、気がついたら俺は身体の自由を無くされ、縛られていた。
寝ていたからか、あるいは薬で眠らせたのか………、本当にどうしようもないクズ共ですよね。
ご丁寧に目隠しや
平助「だからって、何も燃やす事なんて………」
近藤「平助の言う通りだ。………楓君。キミのご家族は無事だったのかね?」
家族………その言葉を聞いて、私は狂ったように大声で笑い出してしまった。
しばらく笑いが落ち着くのを待ってから、少し言葉が悪かったかと、考えながら口にする。
楓「………家族?いるわけないじゃないですか」
土方「………なに?」
その言葉に彼らの眼光が鈍く光った。
くつくつと笑う私に、平助は「な、何が可笑しいんだよ」と問う。
何を勘違いしているのか分かっているだろうか、それとも、私が殺したのだと、思っているのだろうか?