土方「実際、このガキ共の認識なんざ、その程度のもんだとは思うんだが………」



その思案に異論を挟んできたのは、さっきからずっと黙って聞いていた新八さんだった。



新八「………けどよ、こればっかりは大儀のためにも内密にしなきゃなんねぇことなんだろ？
“新選組の隊士は血に狂ってる（・・・・・・・・・・・・・）”なんて噂が立ちゃあ、俺らの隊務にだって支障が出るぜ？」



尤もらしきな彼の指摘に、土方さんの表情が渋くなる。
というか、それ。聞いてはいけない内容だと思うんだけど(汗)



左之「総司の意見も一理あるとは思うけどな。………ま、俺は土方さんや近藤さんの決定に従うぜ」


　　　　　　　　　　　　　　　　
平助「………オレは、逃してやっても良いと思う。
こいつらは別に、あいつらが血に狂った理由（・・・・・・・）を知っちまったわけでもないんだしさ」



左之さんに続いて発言する平助だったけども、彼の失言により、土方さんはますます忌々しげに舌打ちをした。



楓「………バカなんスか、そこのチビ幹部とおっさんは」



平助「てめっ、チビとは何だよ！！チビって！！」



新八「おい、いま“おっさん”っていったか！？このガキ！！」



楓も呆れたように、冷ややかな眼差しで彼らを睨むと、癪に障ったようで、私に反論してきた。
左之さんも沖田さんも、彼らに向かってケラケラと笑っている。



沖田「あーあ。君らの無罪放免が難しくなっちゃったね」



冷たい笑みで沖田さんが笑うと、千鶴はものすごく怯えた様子で、私の後ろに隠れていった。



左之「男子たるもの、死ぬ覚悟くらいできてんだろ？諦めて腹括っちまいな」



千鶴「そんな………」



楓「ま、俺の場合は殺してくださっても結構ですけど、このガキを殺せって言うんなら、話は別っスよ」



楓が静かに土方さんを見つめると「何故、そう言いきれる？」と問われた。
というのも、土方は楓の瞳からは、生への執着心や死への恐怖というものが伝わってこないため、彼は眉間の皺を深くするだけだった。