温もり
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日々気温は全国違う。
沖縄は冬でも気温が他と比べて高く雪も降ることはない。
それに比べ東京は気温差が激しく気温が高くなったと思えば急に寒くなり雪も降ることも稀にある。
木手永四郎は沖縄出身のためか東京に出てきてからというものその温度差になれずにいた。
昔から本土の寒さは沖縄と比ではないと聞いて育った木手だが、実際に東京に移住しここまでの寒さとは予想がつかなかった様だ。
中学時代何度かテニスの試合で東京には来たが冬の時期に来たことはなく、その寒さを知らずにいた。
その為東京に移ってまだ一年も経っておらず、木手にとっては東京で過ごすはじめての冬だった。
今日も外出のため沖縄ではこの時期暑いと思うくらいの服装をして出かけた。
「あ、永四郎。おはよう」
「おはよう、明里」
外出というのは彼女とのデートのためだ。
木手は待ち合わせ場所に待っていた彼女の服装に驚き、指摘せずにはいられなかった。
「君ね…そんな格好して寒くないんですか?」
「大丈夫だよ、今日は風もないし暖かいほうじゃない?」
この気温で暖かいという言葉を聞くとは思わず本土の人間の強さを思い知らされた。
彼女はミニスカートにロングブーツ、V字のトップスが見えるブルゾンを羽織っていた。
東京でならこれくらいの服装を着ている女性はいくらでもいる。
しかし地元でこの時期見慣れない格好に風邪を引くと歩きながらも説教をし始めた。
「も〜永四郎ったらそんなに心配しなくても大丈夫だって。永四郎が寒さに弱いだけ!そんなんじゃ今年の冬越せないよ?」
「は…?これ以上に寒くなると言うんですか本土は」
「それどころか毎年寒くなってるよ〜」
面白半分で明里がそう脅かすと、青ざめた顔をする木手は本当に東京の冬を越せるのかを心配し始めた。
「ははっ永四郎もそんな顔するんだ〜可愛い」
「可愛いとか言ってる場合じゃないですよまったく。君はこれからもそんな格好するつもりですか?」
「もう少し寒くなったらヒートテックの上にニットのトップスとか着てコート着れば大丈夫だと思うけど…」
「それでも着込んでるほうですか…じゃあ俺はどうしろと」
本気で悩んでいる木手の顔を見上げ勇気を出して明里は普段は外でしない腕を組み、俯きながら声を発した。
「わ、私がこうして体温分けてあげるから…なんて…」
普段しないようなことをされ驚きつつも理性を保ち明里の耳元で囁いた。
「やーの体温後でいっぺーもらうさー」
「んっ…ちょっと耳はやめてって言ったでしょ!!」
木手の低音ボイスで囁かれ、明里は顔を真っ赤にして腕を組んでいた手を離し、木手を叩く。
耳が弱い事を知っていて仕返しとしてしてやったという顔を明里に向ける。
「暖かくなるなら今からからでもいいんですがね俺は」
「……永四郎のえっち」
「君から誘ってきたんでしょう?」
そんな言い合いをしながら、本土の寒い日も悪くはないと、先程離れた彼女の手を握りながら思う木手だった。
end
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