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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[東峰■下心無し]


「・・・で、それがすんで、名前を呼ばれたら壇上に上がり、挨拶だ。だいたい分かったか?」

「はい、大丈夫です」

にこにことプログラムを手に生徒会室のソファに座っている佐藤。
そして、その横には俺様。
どうやらこいつは、超記憶力保持者のようだから、説明は一回で大丈夫のようだ。
手間が省けて楽なところだけは、助かった。
右京たちが戻るのは入学式の前日、本当にギリギリにならないと無理だと連絡があったものだから、こちらは大変忙しいのだ。

「前日に講堂でも説明をするから、そのつもりでいてくれ」

「はい、了解しました。今日はこれで終わりですか?」

「あ、ああ、もう部屋に戻っていいぞ」

「はい、あ、会長」

「なんだ?」

「会長は、夕食はどうなさっているのですか?」

なんだ、いきなり。

「今はここで摂っているが」

「会長の部屋にもキッチンがありますよね」

「ああ、もちろんあるが・・・」

「では、制服のお礼をしたいので、僕が夕食をお作りするというのはどうでしょうか?」

「・・・・・・」

俺は、今、どんな表情をして佐藤を見ているのだろうか・・・?
はっきり言って、どんな表情をしていいかわからんぞ。

「あ、いや、佐藤・・・」

「あ、大丈夫です。料理本は34冊読みましたし、実技もマスター済みです。和洋中なんでも作れますよ。あ、嫌いな物はありますか? 材料費はお気になさらないでください。制服のお礼ですので」

佐藤の態度や物言いには、下心を感じさせない雰囲気がある。
いや、本当になんの裏もなく、真実お礼のつもりで言っているのだろう。

この顔と、東峰におもねる輩ばかりを見てきた俺にはよくわかる、こいつには正真正銘先輩への敬意しかないんだ。
俺の顔にも家にも興味はない、ということか・・・それはそれでムカつくな。

「会長?」

「そうだな。それでお前の気が済むなら、夕食を作ってもらうのもありだな。言っておくが、俺は和食派だ。舌はかなり肥えてると思うぞ」

「和食ですね、了解です。できるだけご満足いただけるように、誠心誠意努力いたします」

まったくサイズの合っていない制服から、小さな顔をちょこんと出して邪気の無い笑みを浮かべる佐藤。
俺も同じように笑みを返し、とりあえず、今日の仕事は早めに終わらせると心に決めた。
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