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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■なんなんだよ、おめーはっ!?]


見てるだけで腹一杯です。
食べるペースはとても早いとは言えないが、それでも俺が食い終わる頃には半分くらい平らげた佐藤。
結局、なんともお上品な食べ方で、1粒の飯も残すことなく、全て胃に収められましたよ。

「どこに入ってるんだ・・・?」

「なにかおっしゃいましたか?」

「んにゃ、べつに・・・」

もう少し量があってもいいですね、なんて言う佐藤と部屋に戻った。
とりあえず、コーヒーを入れてくれたから、ソファに向かい合わせで座りこむ。

テレビはあるが、俺は興味ないからつけない。
どうやら佐藤も興味はないらしい。
つまり、現在部屋の中は無音・・・・・・

「んと、ゲームでもしようかなぁ・・・」

「ゲーム、ですか。なんだか楽しそうですね、いったい何をなさるのですか?」

へ、まさか食いついてくるとは思わなかったぞ。

「えっと、MMOですが・・・」

「えむえむおー、ですか。どんなゲームなのですか?」

えええ、説明しなきゃ駄目ーーー?

そして結局――

「なるほど、なかなか面白そうですね。高橋君のキャラは・・・完スト(レベルMAX)までもう少しですね、がんばってください」

「はぁ、そりゃどうも・・・」

説明なんてうざいから、攻略ページを見せました。
俺の持ってる3台のPCのうち1台を貸して、読んでるのかどうかも分からないスピードで、パッパパッパとページを移動してた佐藤。
どうやら理解ができたようだ。
しかも、何も知らなかったくせに、もう用語も覚えたみたい。
なんだ、こいつ。

「どうせなら、ルシファーの庭でレベ上げしたほうが良くないですか? EXP的に美味しいと思います」

「あ、そなの・・・?」

「かなり痛いそうですが、湧きも量も良いそうなので、回復くんが一緒なら、一気に範囲で狩ったほうが効率良いと思われます」

「はは、そりゃどうも・・・」

つか、お前順応力高すぎだろっ!
なんだよ、痛いとか湧きとか範囲とか効率とか、慣れすぎだろっ!
もうそんなことまで覚えたのかよっ!

ほとほと疲れましたよ。
もう今日は寝ます。
2時間ほどゲームして、風呂に交代で入って、ようやく自分の部屋で落ち着くことができました。

「なんなんだよ、アレはー」

学生寮とは思えない、セミダブルのベッドに潜り込んで、とっとと寝てしまおうと思ってたのに、

「高橋君」

2回ノックのあとに、扉の向こうから聞こえる声。
うぎゃー、なんなんだよーーー

「はいはいー、なんなのー?」

一瞬無視してやろうかと思ったけど、一応同室者だしな、無下にしちゃいかんよな。
扉を開けて、仕方なく顔を覗かせてやる。
白い和服の寝間着を着た佐藤が、なぜか、なぜか手に枕を持って立っていやがった。
あ、なんかやな予感。

「高橋君、よければ一緒に寝ませんか?」

「はぁぁぁぁ?」

いやいや、全然よくねーだろっ!

「おい、こら、てめ、」

返事もしてねーのに、ずんずん俺の部屋に入ってきて、勝手にベッドに寝転びやがったよ、この変人っ!
枕を置いて、ポンポン叩いて位置調整。
いやいやおかしいだろ、それ。

「それでは、おやすみなさい」

はいぃぃぃぃぃぃ!?

唖然呆然・・・・・・
はっ、いかん、フリーズしちまった。

「おい、佐藤っ!」

・・・・・・寝てやがる。
なぜだ、どうしてこうなった?
これは、佐藤の部屋で俺が寝るべきなのか!?
なぜこの部屋の主が出てかなきゃならないのよーーー
なんか、もう文句言う気力も湧きません。

部屋から出るのは、この変人に負けたような気がして、俺は奴の横で眠ることにした。
くそーーー
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