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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■また来週]


立ち去ろうとした俺を引き止めたのは、書記の悲痛な叫び。
足を止め振り返れば、ベンチから立ち上がった書記が、泣きそうな顔をして俺を見ていた。

「俺、分かって、欲しい……」

「分かって欲しい、ね。何を分かって欲しいのかなー?」

「あ……」

腕を組んで、書記を見やりながら、ちょっと意地悪な口調で語りかけてやった。
これくらいしてもいいよな。

「はは、またダンマリ? もうさ、エスパー探してきたほうが早くね?」

「俺…寂しいの、嫌……だから、話す…少しでも、知ってもらい…たい…」

すげぇぇ、こんなに話したの初めてじゃね?
人間その気になれば、できるものよ。

「俺、昭と、話したい……もっと、話す…」

「ん…?」

なんか、引っかかったんだけど、ま、いっか。

「もっと、慣れる……だけど…ロシア語も、話たい…駄目…?」

「あぁ、いやいや駄目じゃねーよ。あんたの育った国の言葉だしな、いいんじゃね?」

大きな瞳をウルウルさせて、なんか捨て犬みてーだよな。

「とりあえず、今日はもう戻るわ」

「え……」

そのガーンッて文字が飛び交いそうな表情、マジうっぜ。

「もう、遅いっしょ。今度ゆっくり話せばいいじゃん」

「分かった…また、ここ…」

「オッケーオッケー。あんた仕事あるからー、日曜に会おうぜ」

「え……」

「ほんじゃ、また来週ー」

なんか悲しげにこっち見てるけど、仕事はちゃんとしなくちゃな。
こっちは休日に会うって約束したんだから、それでいいでしょ。
せめて笑顔で手を振りながら、できるだけ明るく言ってやった。
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