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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■変なやつ]


よっしゃ、やっと念願の一人暮らし・・・ではないが、あの口煩い貴腐人から脱出できました。
しかも、しかもだ、金まで支給されるんだからねー
俺、頭良くてよかった。
Sクラスは高等部になれば、一人部屋だしね。
それまでは二人部屋だけど我慢我慢、と。

「お帰りー、俺左の部屋にしたけど、いい?」

これから3年間同室になるやつが戻ってきました。

「はい、構いません」

まともな挨拶をする暇もなく、生徒会に呼び出された奴・・・えっと、名前なんだっけ?

「改めまして、佐藤晃と申します。どうかよろしくお願いいたします」

あ、そうそう佐藤佐藤。

「よろしくー、俺、高橋昭ー。同じアキラだねー」

「ふふ、そうですね。とても素晴らしい偶然です」

ぶかぶかの不恰好な制服で、笑顔を見せる地味男君。
うん、3年間なんとかやっていけそうかな。
ちなみに俺の制服はちゃーんと体にジャストフィットよ。
タダでいくらでももらえるんだから、敢えてでかいサイズにする必要ないっしょ。

「制服脱いだほうがよくね?」

長ーーーい裾を引き摺りながら、自分の部屋へと荷物を運び入れる佐藤。
それ、踏むよね、確実に踏んじゃうよね。

「あ、そうですね、作業の邪魔ですね」

共有部分であるリビングに4箱のダンボール。
俺の荷物はもう整理し終わったから、これら全て佐藤の荷物。
その場で開けて「着替え着替え」とあさり始めやがった。
ポイポイと投げ捨てられる衣類、

「へ、なにこれ?」

その中に、あまり見慣れない服を発見。

「なんですか? あぁ、それは寝間着ですが」

「あっそ、変わってるのね」

「そうなのですか?」

佐藤の荷物から飛び出した寝間着は、どう見ても白い・・・浴衣?
とにかく、今時珍しい和服だった。
普段着っぽい洋服もいくつかあるが、同じくらい和服もある、ように見える。

変なやつ。

適当な服を発見した佐藤は、その場でさっさと着替え、中断していた作業を再開した。
とりあえず洋服を着てくれたので、なんか安心しました。
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