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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■俺のバカ]


いやいや、さすがに坊ちゃん学校の食堂だけあって、今夜の飯も美味かったっす。
もう少し値段が安いといいんだけどね。

満腹になった腹をさすりながら、俺は部屋の扉を開けた。

「あれ、もう帰ってきたん?」

無音のリビングのソファには、部屋着――和服だし・・・――に着替えた佐藤がポツンと座っていた。
本当に、テレビに興味ないんだね。

「はい、あまり長居してはいけませんので、早々に失礼してきました」

「だねー、あんま長居してもアレだもんねー」

佐藤は制服のお礼ということで、会長の部屋に夕食を作りに行った。
それを聞いたときは、さすがの俺も少々焦った。
だって、ここのルールとか、仕来りとか考えたら、やばいっしょ。

2.3年生は、まだほとんど寮には戻ってないけど、こんなことFCのやつらに知られたらやばいよー
会長の部屋に行ったなんてバレたら、この変人くん、早々に制裁されちゃうよ。
だから、早く戻っておいでー、なんて一応声を掛けといた俺って、ちょー優しいでしょ。

「これで制服のお礼ができたので、一安心です」

そりゃ良かった。
早々に自室、へは行かず、俺は佐藤の横に腰を下ろして、テーブルに乗っかったままのPCの電源を入れた。
あれ、なんでわざわざ横に座ったんだ?
んー、ま、いっか。

今夜は俺のサブキャラを佐藤に操縦させて、蒼雷でF.ボス(フィールドボス)狩りってのもいいかもね。
結局、たった2日目にして、この変人に慣れつつあるようです。
はは、俺も大概順応力高いねー



「それでは、おやすみなさい」

ベッドの上に正座して、ペコリと頭を下げる佐藤。
ええ、もちろん俺のベッドです。
当然あの寝間着です。

「ちょっと待った」

「・・・はい?」

「あのさぁ、なんで俺のベッドで寝るわけ?」

この質問って当たり前だよな。
なのに、なぜそんなにきょとんとしてるんだ、お前はっ!

「一人で寝れないの?」

こらっ! コクリと頷くなっ!

「・・・あんたさぁ、今までどんな生活してたわけー?」

「んー、普通です」

いや、違うでしょ、中学生にもなって一人で寝れないのって普通じゃないでしょっ!

「一人で寝たことないの・・・?」

また、コクリ。

「はあぁぁぁぁぁぁ・・・ありえねー」

「・・・ご迷惑でしょうか?」

不安そうな顔してるけど、うん、迷惑だよね、普通は。

「・・・べつに」

あ、俺のバカッ! バカバカバカッ!

「それは良かったです。ではおやすみなさいませ」

なんでだっ!? なんで、べつに、とか言っちゃうの!?
時既に遅く、佐藤はもう寝る体勢に入りました・・・

ああああ、なんでこんなことになっちまったんだよーーー
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