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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■自信喪失]


「高橋君、高橋君、もう朝ですよ。起きてください」

「んぁ・・・?」

目の前には、俺を揺り起こしている変人、もとい佐藤がいる。
しっかりと着替えも済ませてるみたい。
つーか、まだ春休みなんだから、寝てていいんだよ。

「朝食を食べに行きましょう。朝専用のメニューですよ、非常に楽しみです」

「一人で行ってきたらー、俺はもうちょい寝るのー」

「はぁ、了解です。では行って参りますね。あ、お土産は入りますか?」

「いいいい、いらないから、とっとと行ってらっさーい」

「わかりました。後から文句言わないでくださいね」

ったく、朝からうざいーーーー

このまま不貞寝しようと思ったけど、駄目だ目が冴えちまった。
仕方ない、朝食は昼飯で補うことにして、俺も起きるとしますか。



「ただいま戻りました」

「はいはい、お帰りー」

部屋に篭ろうかと思ったけど、なんとなくこいつが乱入してきそうだから、俺は大人しくリビングでゲーム中。

「朝定食、なかなか美味でしたよ」

「あ、そう、よかったねー」

「今日は午後から式次第の説明を受けに生徒会室に行きますので、お昼は早めに行きませんか?」

え、一緒に行く前提なのね。

「はいはい、了解ー」

ま、朝食抜きだから、早めにってのは賛成だ。

「あ、コーヒー入れましょうか?」

「うんうん、お願いねー」

キッチンでインスタントのコーヒーを入れてくれる佐藤。
意外に気が利くねー
テーブルまで持ってきて、俺の側に置いてくれる。
こういうところは良いんだけどね。
そして、自分の分を手に持って、俺の横にちょこんと座りやがった。

「早く、限界レベルに到達するといいですね」

昨日こいつに言われた場所で、もくもくとレベ上げに勤しむ俺。
それをやけに楽しそうに見てる佐藤。
うん、これくらいの距離感なら許せるぞ。

「そういえば、ここの会長さん、やけに美形でしたよ」

なんですか、いきなり。

「あっそう、あー、なんかこのガッコ、見た目重視らしいよー」

「見た目重視・・・ですか。なるほど、納得です」

「なんかねー、生徒会も、顔が良くて人気ある奴がやるんだって」

これは、入学する前に集めた情報。

「はぁ、人気投票なのですか。それって能力的にはどうなんでしょう?」

「さぁ、今まで大丈夫だったら、大丈夫なんじゃね?」

「高校を卒業するまで、平穏無事にすごせればいいので、大丈夫ならそれで良いんですけど・・・」

「あはは、それ俺も同感。平和にすごしたいよねー」

なんかあんたと居たら、そうならない気がしてヤダけど。

「高橋君は、なぜこの学園をお選びになったのですか?」

「んっと、タダだったから」

「はぁ、なんとも単純な理由ですね」

「そういう佐藤は?」

「僕は授業料も食費も無料だったからです」

「・・・一緒じゃん」

「はぁ、そう言われればそうかもしれませんね」

そうかも、じゃなくて、完璧同じ理由でしょっ!
もしかして、馬鹿にされてるの?

「えっとさぁ、佐藤」

「はい、なんでしょうか?」

「そのしゃべり方、癖?」

「あ、はい、そうです。僕の癖です。どうぞお気になさらず」

「あっそ」

俺、3年もこいつとやってける自信がありません。
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