★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★
[アーちゃん■鈍い]
とにかく、ムカつく。
それが最初の印象。
俺たちは、周囲に気を配りながら、特別棟に移動した。
棟内に入るための扉はしっかりと施錠されているから、インターフォンで相手を呼び出し開錠してもらう。
そして、エレベーターで最上階まで。
たかが中等部の寮だってのに、なんとも立派な造りをしていらっしゃること。
ともかく、誰にも見咎められることなく、俺たちは無事会長の私室に辿りついた。
たぶん、FCの奴らには見つかってはいないはず。
そうして、とうとうご対面を果たしてしまった俺の感想は、とにかくムカつく奴だということ。
あちらさんも俺に対して同様の印象を受けたのか、笑顔で接してくれてはいるが、なんとも苛立たしげな怒気をムンムン放ってます。
これは、あれだ。
食堂で感じたものに似ている気がする。
しかし、アキラは何も気付かないご様子で、憎らしいほどの笑顔で俺を奴に紹介してくれた。
「会長様、この方がアーちゃんです」
「どもー」
なぜお前は奴の発するこの怒気に気付かないんだぁ!?
この男前は、穏やかな微笑を湛えてはいるが、目が笑ってねーじゃんか!
くそ、この鈍感め!
「佐藤から色々と話は聞いている。ま、適当に寛いでろ」
優雅な仕草でソファを示してくれたので、黙って腰を下ろした俺、そして横には鈍いアキラさん。
「会長様にはアーちゃんのことは全部話してますので、緊張なさらなくても大丈夫ですよ」
「全部って……」
「あぁ、全部聞いてるぞ、全部なっ」
ちょっとアキラさん、まったく大丈夫な気がしないんですけどぉ!
なんとも息苦しい空気の中、
「あ、コーヒーは僕が入れますね」
などと、アキラはキッチンに姿を消してしまった。
残された俺とこいつはどうすればいいわけ?
「高橋」
「はいはい、なんでしょうか?」
美形の漂わせる怒気には多少驚いたが、だからといってビクビクと小さくなるタイプじゃないからね。
足を横柄に組んで、きっちりと相手に視線を合わせてやる。
てっきりビビッて声も出せないと思っていたのか、相手が訝しげに眉を寄せたのが分かった。
「貴様は、まだ……佐藤と寝ているのか?」
「は?」
なんとも言い難そうに話す、東峰雅人会長。
何を言われるのかと身構えていたのに、なんだか拍子抜け。
「だから、まだ一緒に寝ているのか!?」
「えっと、寝ておりますが」
それが、なにか?
瞬時に会長の殺意の篭った視線が俺を捕らえた。
一気に肝が冷えたが、それを悟られないよう必死で耐える。
耐えた俺も凄いと思うが、会長のその目付きはやばいでしょ。
マジで人殺したことあるんじゃねーの?
つか、なんで俺が睨まれなきゃならんのよ!
だいたい、アキラと寝てるからって、会長になんか迷惑かけてる!?
「お待たせしました」
どうしていいかも分からずに、背中にびっしょりと冷たい汗をかいてた頃、能天気なアキラさんがお戻りになりました。
「はいどうぞ」
まずは会長の前にカップを置き、続いて俺の前にも置いてくれる。
そして自分の分を手に持って、俺の横にストンと座った。
「アーちゃん、ブラックでよろしかったですよね」
「へ、あ、ああ、うん……」
一気に場の空気が和んでいく。
なんか、アキラの笑顔に救われた感じ。
とにかく、ムカつく。
それが最初の印象。
俺たちは、周囲に気を配りながら、特別棟に移動した。
棟内に入るための扉はしっかりと施錠されているから、インターフォンで相手を呼び出し開錠してもらう。
そして、エレベーターで最上階まで。
たかが中等部の寮だってのに、なんとも立派な造りをしていらっしゃること。
ともかく、誰にも見咎められることなく、俺たちは無事会長の私室に辿りついた。
たぶん、FCの奴らには見つかってはいないはず。
そうして、とうとうご対面を果たしてしまった俺の感想は、とにかくムカつく奴だということ。
あちらさんも俺に対して同様の印象を受けたのか、笑顔で接してくれてはいるが、なんとも苛立たしげな怒気をムンムン放ってます。
これは、あれだ。
食堂で感じたものに似ている気がする。
しかし、アキラは何も気付かないご様子で、憎らしいほどの笑顔で俺を奴に紹介してくれた。
「会長様、この方がアーちゃんです」
「どもー」
なぜお前は奴の発するこの怒気に気付かないんだぁ!?
この男前は、穏やかな微笑を湛えてはいるが、目が笑ってねーじゃんか!
くそ、この鈍感め!
「佐藤から色々と話は聞いている。ま、適当に寛いでろ」
優雅な仕草でソファを示してくれたので、黙って腰を下ろした俺、そして横には鈍いアキラさん。
「会長様にはアーちゃんのことは全部話してますので、緊張なさらなくても大丈夫ですよ」
「全部って……」
「あぁ、全部聞いてるぞ、全部なっ」
ちょっとアキラさん、まったく大丈夫な気がしないんですけどぉ!
なんとも息苦しい空気の中、
「あ、コーヒーは僕が入れますね」
などと、アキラはキッチンに姿を消してしまった。
残された俺とこいつはどうすればいいわけ?
「高橋」
「はいはい、なんでしょうか?」
美形の漂わせる怒気には多少驚いたが、だからといってビクビクと小さくなるタイプじゃないからね。
足を横柄に組んで、きっちりと相手に視線を合わせてやる。
てっきりビビッて声も出せないと思っていたのか、相手が訝しげに眉を寄せたのが分かった。
「貴様は、まだ……佐藤と寝ているのか?」
「は?」
なんとも言い難そうに話す、東峰雅人会長。
何を言われるのかと身構えていたのに、なんだか拍子抜け。
「だから、まだ一緒に寝ているのか!?」
「えっと、寝ておりますが」
それが、なにか?
瞬時に会長の殺意の篭った視線が俺を捕らえた。
一気に肝が冷えたが、それを悟られないよう必死で耐える。
耐えた俺も凄いと思うが、会長のその目付きはやばいでしょ。
マジで人殺したことあるんじゃねーの?
つか、なんで俺が睨まれなきゃならんのよ!
だいたい、アキラと寝てるからって、会長になんか迷惑かけてる!?
「お待たせしました」
どうしていいかも分からずに、背中にびっしょりと冷たい汗をかいてた頃、能天気なアキラさんがお戻りになりました。
「はいどうぞ」
まずは会長の前にカップを置き、続いて俺の前にも置いてくれる。
そして自分の分を手に持って、俺の横にストンと座った。
「アーちゃん、ブラックでよろしかったですよね」
「へ、あ、ああ、うん……」
一気に場の空気が和んでいく。
なんか、アキラの笑顔に救われた感じ。