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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■Yusuke-Kasai]


この学園には、ちょっと変わったクラブがある。
その名も「リサイクル部」
別に、昨今のリサイクルブームに乗っかって発足したわけじゃない。

名目上はリサイクルなんだけど、内容は生徒のいらなくなった物を引き取って、オークションなんかで売っているのだ。
その売上は年に二度、どこぞに寄付してるらしい。

ま、大掛かりなバザーをクラブ活動としてやってるようなもんだね。
金持ち坊ちゃんたちが考えたにしては、なかなか良い部活じゃね?

「どもどもー」

「いらっしゃーい」

俺はこのクラブを知ってから、結構通ってたのよね。
だって、意外に掘り出し物があるって聞いたんだもん。
そしたらここの部長が、欲しい物があれば言えって、言ってくれたのよ。
だから、素直に「PC」と答えた。
つーわけで、さっきのメールはここの部長からだったのよ。

「これだけど、どう? いる?」

「どれどれ?」

部長が取り出したのは、メーカー物のスタンダードなノートPC。
見た目はなんともお綺麗で、使い古された感が少ない超美品。
ただ、かなり古そうではあるけどね。

「古いしパーツだけ売ろうと思ってんだけど、高橋なら2000円でいいぞ」

「んー、起動確認したー?」

「いや、さっき来たとこだからね」

古いメーカー物はマイナーなパーツ使ってるとこが多いから、こりゃ俺に売ったほうが楽だと思ったんだな。

「ま、いっか。500円なら買うよー」

「1500だ」

「じゃ、いらねー」

「1000」

「800だね」

「ったく、ほら持ってけ」

「ほんじゃ800円、と。またなんか入ったらよろしくー」

「了解」

あんま使い道はなさそうだけど、800円くらいならいいでしょ。
そもそも、起動の確認もしてないんだし、ただでもいいくらいだよな。

入手したPCを手に寮に戻り、一通りのチェックをしおえた頃、アキラが戻ってきた。
やけに遅かったから、ちょっと心配だったけど、その表情から何もなかったのだと推察されて、ホッと一安心。

ところが、だ……。
結局、元の状態に戻ったわけね、いやFCにばれてる分、前より悪くなってるわけだ。

「なんで会長はあんたに拘るわけ?」

「楽しいと仰ってました」

「楽しいって……たかが後輩と猫見てるだけでしょ」

「はぁ、ですが会話などもしてますし」

「これといって変わったこと話してないじゃん」

「はぁ、ですが僕も楽しんでますし、まぁ、いいかと……」

「あんたがいいならいいけど……」

「FCの方には気付かれないよう注意を払いますし、大丈夫でしょう」

はぁぁ、ほんと能天気ですね、あなたは。
しかし、俺も人の事は言えないしね。

「アーちゃんも書記とのこと、ばれないよう気をつけてくださいね」

「あぁ、そうね……」

済んだことを、あれこれ言ってもしょうがない。
今後のことは成り行きに任せることにしよう。

とりあえず飯も風呂も終わらせて、俺は本日のお宝をアキラにも見せてやった。

「Yusuke-Kasai、ですか。個人用のPCに、ちゃんと名前をつけるなんて、律儀な方ですね」

「だねー、マジ爆笑もんだよねー」

俺が買ったPCには笑えることに、フルネームらしき名がついていた。
初期化してないだけでもウケルってのに、これはないよなwww

「そんでさぁ、ブクマが更にウケルんだけどー」

「どれどれ……これはっ、ぷっ、ふふ」

あ、やっぱりアキラも笑いやがった。

「アーちゃんと同じゲームをなさってるようですね。しかも攻略ページからファンページまでお気に入りに登録しているとは、よほどお好きなのでしょうね」

俺も見たとき、マジ吃驚したからね。
あるんだね、こんな偶然。

「世間って狭いよなー」

「ですね、まさかあの真面目そうな方が、ゲームがご趣味とは……いやはや笑えますね」

「真面目? このPCの持ち主、あんた知ってんの?」

「何仰ってるんですか、Yusuke-Kasaiというのは、風紀委員長のお名前ですよ」

そっか、どっかで聞いたフレーズだと思ったら、入学式で聞いたんだ。

「名前なんて好きに付けられるので、絶対とは言えませんが、少なくとも葛西裕輔というのは風紀委員長のことです」

入学式で見た風紀委員長の風貌を思い出し、俺は腹を抱えて笑い転げてしまった。
アキラが呆れたように俺を見たが、あの生真面目を絵に描いたような奴が、PCにかじりついてMMOに夢中になってるとか、マジうけるんだけどーーwww
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