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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■閃いた]


「お帰りー、今日は遅かったのねー」

結局、書記のことを静と名前呼びし、本日の業務は終了しました。
やけに嬉しそうにしてたのが、少々ムカつきましたが、許してやることにしましたよ。

そうして、また来週会う約束をさせられてから部屋に戻ってゲームをしてたら、やっとアキラが帰ってきた。

「どしたの?」

ただいまの返事もなく、とぼとぼと入ってくるアキラ。
なんだか、元気がありませんね。

「むぅ…不可解です。謎です……摩訶不思議です……」

「はぁ?」

なにやら意味不明な呪文を呟きながら、アキラが隣りにきた。

「どうした?」

俯く顔を覗き込むと、目が少し赤みを帯びているような気がする。
まさか、泣いた…とか?

「猫になんかあった?」

猫に餌をやりに行ってるんだから、何かあったとしたら、猫関係しか思いつかない。
しかし、アキラはプルプルと頭を横に振った。

「じゃ、なによ」

「変なんですよ」

「なにが?」

「会長が、変なんです」

「ふーん、会長がね……」

はいぃぃぃっ!? 今なんつったの、こいつ!?



俺の目に狂いはなかった。
やっぱりお前はトラブルメーカーだったんだな!

「はぁぁ、なんか無事にすごせない気はしてたのよね」

「僕のせいじゃありません。僕は何もしていないです」

「いーや、お前のせい!」

不貞腐れてそっぽ向いてるけど、間違いなくお前の招いた問題だよな。

「俺も詳しく説明しなかったけど、それなりに分かってるでしょ、この学校の特徴」

「むぅ、皆さんの噂はよく耳にしましたが、所詮噂の域ですし、」

「甘い! その甘さが命取りになるのよ!」

「で、ですから、FCに言われた通りに、離れようと……」

そう、それが問題なのだ。
なぜかは分からないが、会長とやらがこいつが離れるのを許さなかったらしい。
しかもだ、

「メールがきたら、どうしたら良いでしょうか?」

これからは、メールで連絡をしてくると言われたらしい、しかしそれだけじゃないぞ。

「じぃに連絡されたら困ります」

じぃってのは、こいつの保護者のこと。
年寄りだからじぃなのか、それとも名前に関係するかは知らないが、祖父ではないらしい。

ともかくその会長は、メールを無視した場合は、保護者に連絡するって脅したのよね。
おいおい、役員がそんなことしていいのかよ。

そもそも、なんでそんなことになったんだよ。
代表挨拶で会って、制服買ってもらって、飯作りに行って、お互い猫を見に来てた、それだけだよな。
なのに、その会長は脅迫までしてアキラを放さない……なんで?

「あ、そっか」

「なんですか?」

いきなり閃いちゃいましたよ、その理由が。

「青田買いだ!」

「青田買い……人材確保、ですか?」

「そそ、会長って東峰の長男でしょ。だから家を継いだときに、優秀なお前を自分の下に、とか思ってんじゃねーの?」

「あの方が継ぐかは分かりませんが……そうですね、一応僕はSの人間ですしね。ありえますね」

うんうん、これが正解でしょ。
それ以外思いつかないよなぁ、理由なんて。

「うーん、ではそれは無理だと、今度はっきり申します」

「うんうん、それでいいんじゃね?」

よし、これで万事解決するでしょ。
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