★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★
[東峰■二者択一]
妙な感覚に襲われたせいで、怒りの感情が急速にしぼんでいく。
一旦落ち着きを取り戻してから、逃げ腰の佐藤を宥めすかし、まずは話をしようといつものように膝へと座らせた。
少し躊躇いながらも、辺りをキョロキョロと見回してから、佐藤は素直に身を預けてくる。
どうやらこいつ自身は、俺にこうされることを拒んではいないようだ。
それが分かると、わずかに残った苛立ちも、全て綺麗に消え失せていった。
「誰かになんか言われたか?」
「えっと……その…」
告げ口をするようで、嫌なのだろう、かなり言い難そうにしている。
「FCの奴らが来たのか?」
一瞬考え込んでから、観念したように、コクリと頷いた。
ま、見てたんだがな。
「僕が傍にいると、会長様に迷惑がかかるそうです」
「今現在、何も迷惑はかかっていないが。だいたいお前が傍にいて、なんの迷惑がかかるんだ?」
「さぁ…?」
首を傾げて、さっぱり分からないと表現してくれた。
そりゃそうだな、単なる言い掛かりでしかないんだからな。
「お前は、俺とこうやってるのが嫌か?」
「嫌では…ありま、せん」
「だったら、あいつらのことなど気にしなくていいだろ」
「そういうわけには……面倒ごとは、御免蒙りたいので…」
チラチラと俺の様子を伺いながら、またもや失礼なことを口にしてくれた。
どうもこいつは素直に発言しすぎるきらいがあるな。
「面倒ごと、ね…」
「あ、会長様が面倒だと言う訳では…ただ、僕は問題を起こすわけにいかないもので……その……」
少々呆れた風に言えば、慌てて否定はしてくれたが、関わりたくないという気持ちは変わらないようだ。
「俺は、お前との時間を楽しいと思ってる。それなのに関係ない奴らのせいで、それを止めないといけないのか?」
「はぁ…僕も楽しいですが…こればかりは」
「問題が起きて、保護者に連絡されるのが怖いのか?」
「その通りです」
また思い出したのか、尻をもぞもぞと動かした。
こりゃ、よほどこっ酷く叱られたことがあるんだな。
しかし、それだけが理由なら、逆に俺にはありがたい。
「……だったら二者択一だ」
「は…?」
「このまま俺と会うか、会わないか。会う場合は周囲に悟られないよう、細心の注意を払う。会わない場合は……」
「場合は……?」
「学園の生徒会会長として、お前の素行に問題ありと保護者に連絡させていただく」
妙な感覚に襲われたせいで、怒りの感情が急速にしぼんでいく。
一旦落ち着きを取り戻してから、逃げ腰の佐藤を宥めすかし、まずは話をしようといつものように膝へと座らせた。
少し躊躇いながらも、辺りをキョロキョロと見回してから、佐藤は素直に身を預けてくる。
どうやらこいつ自身は、俺にこうされることを拒んではいないようだ。
それが分かると、わずかに残った苛立ちも、全て綺麗に消え失せていった。
「誰かになんか言われたか?」
「えっと……その…」
告げ口をするようで、嫌なのだろう、かなり言い難そうにしている。
「FCの奴らが来たのか?」
一瞬考え込んでから、観念したように、コクリと頷いた。
ま、見てたんだがな。
「僕が傍にいると、会長様に迷惑がかかるそうです」
「今現在、何も迷惑はかかっていないが。だいたいお前が傍にいて、なんの迷惑がかかるんだ?」
「さぁ…?」
首を傾げて、さっぱり分からないと表現してくれた。
そりゃそうだな、単なる言い掛かりでしかないんだからな。
「お前は、俺とこうやってるのが嫌か?」
「嫌では…ありま、せん」
「だったら、あいつらのことなど気にしなくていいだろ」
「そういうわけには……面倒ごとは、御免蒙りたいので…」
チラチラと俺の様子を伺いながら、またもや失礼なことを口にしてくれた。
どうもこいつは素直に発言しすぎるきらいがあるな。
「面倒ごと、ね…」
「あ、会長様が面倒だと言う訳では…ただ、僕は問題を起こすわけにいかないもので……その……」
少々呆れた風に言えば、慌てて否定はしてくれたが、関わりたくないという気持ちは変わらないようだ。
「俺は、お前との時間を楽しいと思ってる。それなのに関係ない奴らのせいで、それを止めないといけないのか?」
「はぁ…僕も楽しいですが…こればかりは」
「問題が起きて、保護者に連絡されるのが怖いのか?」
「その通りです」
また思い出したのか、尻をもぞもぞと動かした。
こりゃ、よほどこっ酷く叱られたことがあるんだな。
しかし、それだけが理由なら、逆に俺にはありがたい。
「……だったら二者択一だ」
「は…?」
「このまま俺と会うか、会わないか。会う場合は周囲に悟られないよう、細心の注意を払う。会わない場合は……」
「場合は……?」
「学園の生徒会会長として、お前の素行に問題ありと保護者に連絡させていただく」