★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★
[東峰■変態か!?]
何時までもこんな所に居ても仕方ない。
いまだ怒り覚めやらぬが、まずは佐藤に会わなければならない。
あまり急ぐことをせず、ゆっくりとあの裏山を目指す。
歩いているうちに、先ほどのことを思い返す。
よく考えてみれば、あの場ではああ言ったほうが良いに決まっているのだ。
変に大人びて頭の良い佐藤なら、奴らに同調したほうが問題は起きないと、すぐに理解できるだろう。
そうだ。
便宜上ああ言っておけば、FCは大人しくなる、だからあんな返事をしたんだ、そうだ、そうに決まっている。
深く己を納得させて怒りを静めたことで、裏山に着いたころには笑みを浮かべる余裕ができた。
「佐藤」
そうして、いつも通り佐藤に、声をかける。
「あ、会長様。丁度良いところへ」
FCのことを俺に報告するつもりか、佐藤がにこやかに近づいてきた。
よしよし、ちゃんと助けてやるからな。
お前に迷惑をかけないよう、奴らには一切口出しさせないようにしてやる。
「大変申し訳ないのですが、もうここには来ないで頂きたいのです」
「……な、」
佐藤の口から、おそろしく淡々と紡ぎ出される言葉に絶句してしまった。
「あ、こんな言い方失礼ですよね、会長様も猫が心配なようですし」
「さ、とう……?」
「僕がいないときに来てあげてください。平日は授業が終わってすぐ、休日は午後から来てますので、それ以外の時間でお願いします。それではこれで失礼いたします」
言いたいことだけを告げ、佐藤は無慈悲にも立ち去ろうとする。
「ちょっと待て!」
「はっ、はい!?」
引きとめようと、うっかり声を張り上げてしまったせいで、佐藤はビクリと身を竦ませ、その場に固まってしまった。
怖がらせるつもりはなかったが、これはこれで、まぁいいだろう。
「意味が分からねぇぞ」
いくらFCに脅されたとはいえ、あっさりとこの俺を拒むとは、この佐藤晃12歳は、なかなかに失礼な態度をとってくれるものだ。
ここに向かう間に静めた怒りが、またぶり返してきた。
そんな俺の苛立ちを感じ取ったのか、佐藤はかなりおどおどとした表情をしている。
「あ、ですから、もうここへは、」
「黙れっ!」
一喝すると、佐藤は自分の口を両手で押さえ、怖々と俺を見上げた。
見開かれた真っ黒な瞳は、心なしか潤んでいるようだ。
佐藤のそんな様に、俺の怒りが急激に収束していく。
ん? なぜそんなことで怒りが静まるんだ…?
ふと浮かんだ疑問。
もう一度じっくりと佐藤の姿を見てみる。
プルプルと小動物のように震える姿は、憐れさを誘うと同時に、やけに嗜虐心をも刺激さ……待て、俺はそんな趣味など持ち合わせてはいないはずだぞ。
くそっ、薄らと涙を浮かべて怯える姿が、やけに可愛く見えるなどと、俺は変態か!?
何時までもこんな所に居ても仕方ない。
いまだ怒り覚めやらぬが、まずは佐藤に会わなければならない。
あまり急ぐことをせず、ゆっくりとあの裏山を目指す。
歩いているうちに、先ほどのことを思い返す。
よく考えてみれば、あの場ではああ言ったほうが良いに決まっているのだ。
変に大人びて頭の良い佐藤なら、奴らに同調したほうが問題は起きないと、すぐに理解できるだろう。
そうだ。
便宜上ああ言っておけば、FCは大人しくなる、だからあんな返事をしたんだ、そうだ、そうに決まっている。
深く己を納得させて怒りを静めたことで、裏山に着いたころには笑みを浮かべる余裕ができた。
「佐藤」
そうして、いつも通り佐藤に、声をかける。
「あ、会長様。丁度良いところへ」
FCのことを俺に報告するつもりか、佐藤がにこやかに近づいてきた。
よしよし、ちゃんと助けてやるからな。
お前に迷惑をかけないよう、奴らには一切口出しさせないようにしてやる。
「大変申し訳ないのですが、もうここには来ないで頂きたいのです」
「……な、」
佐藤の口から、おそろしく淡々と紡ぎ出される言葉に絶句してしまった。
「あ、こんな言い方失礼ですよね、会長様も猫が心配なようですし」
「さ、とう……?」
「僕がいないときに来てあげてください。平日は授業が終わってすぐ、休日は午後から来てますので、それ以外の時間でお願いします。それではこれで失礼いたします」
言いたいことだけを告げ、佐藤は無慈悲にも立ち去ろうとする。
「ちょっと待て!」
「はっ、はい!?」
引きとめようと、うっかり声を張り上げてしまったせいで、佐藤はビクリと身を竦ませ、その場に固まってしまった。
怖がらせるつもりはなかったが、これはこれで、まぁいいだろう。
「意味が分からねぇぞ」
いくらFCに脅されたとはいえ、あっさりとこの俺を拒むとは、この佐藤晃12歳は、なかなかに失礼な態度をとってくれるものだ。
ここに向かう間に静めた怒りが、またぶり返してきた。
そんな俺の苛立ちを感じ取ったのか、佐藤はかなりおどおどとした表情をしている。
「あ、ですから、もうここへは、」
「黙れっ!」
一喝すると、佐藤は自分の口を両手で押さえ、怖々と俺を見上げた。
見開かれた真っ黒な瞳は、心なしか潤んでいるようだ。
佐藤のそんな様に、俺の怒りが急激に収束していく。
ん? なぜそんなことで怒りが静まるんだ…?
ふと浮かんだ疑問。
もう一度じっくりと佐藤の姿を見てみる。
プルプルと小動物のように震える姿は、憐れさを誘うと同時に、やけに嗜虐心をも刺激さ……待て、俺はそんな趣味など持ち合わせてはいないはずだぞ。
くそっ、薄らと涙を浮かべて怯える姿が、やけに可愛く見えるなどと、俺は変態か!?