★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★
[東峰■FC]
今週は運が良かったのか、この一週間の間に二回も佐藤と会うことができた。
しかし、放課後の僅かな時間では、たいして長く一緒に居ることが出来ない。
だから日曜である今日は、佐藤と長時間会話することができる貴重な日なのだ。
昼食は部屋で済ませ、猫缶をポケットに忍ばせて、佐藤の待つあの場所まで向かう途中、飛び込んできた光景に、俺は度肝を抜かれた。
「だからね、君が付き纏ってると、会長様に迷惑がかかるの!」
見覚えのある奴らに囲まれているのは、まぎれもなく佐藤晃。
そして見当違いなことで佐藤を詰っているのは、俺のFC会長と御船含む幹部たち。
「君、頭良いみたいだし、僕たちの言ってること分かるよね?」
御船が佐藤に詰め寄った。
意識の奥では、止めさせなければならないと分かってるはずなのに、なぜか俺は木々の間に身を潜ませてしまった。
「なんとか言ったらどうなのっ」
今度は別の奴だ。
今日は忠告だけなのか、どうやら暴力に訴える気はないらしい。
そうしてやっと理解した。
なぜ俺が、こんな不当で許されない行為を止めなかったのか、その理由がはっきりと理解できた。
俺は知りたいのだ、佐藤が奴らにどう返事をするのかを……。
「ちょっと、返事くらいしたら!?」
そうだ、何か言え、佐藤!
奴らに一言でも反論すれば、すぐに飛び出すつもりで、身構えながら佐藤の言葉を待った。
「先輩方のおっしゃることは、よーく分かりました」
やけに冷静な声で、やっと佐藤が言葉を発してくれた。
「そう、分かってくれたんだね」
厳しい顔で迫っていたFC会長が、すぐにその表情を笑顔に変えた。
「僕が近寄らなければよろしいのですね。了解です。それでは、もう行ってもよろしいでしょうか?」
「え、あ、ああ、うん。きょ、今日は忠告だけだから…ね」
「はい。わざわざのご忠告ありがとうございました」
FCたちに頭を下げ佐藤は何も臆することなく、その場を去ってしまった。
あまりにも平然とした佐藤の態度に、FCたちはかなり戸惑っているようだ。
暫くお互い顔を見合わせ、順次解散していった。
そうして、俺一人だけが、この場に取り残された。
あまりの衝撃に、知らず手が震えている。
佐藤はまったく動じることもなく、FCたちを撃退した。
それはそれで良いことではないか、しかし納得できない自分がいた。
いや、佐藤の言葉に、俺は確実に痛手を受けている。
あいつは、平然と奴らの忠告を受け入れた。
そう、反論など一切せずに、俺に近寄らないことを約束したのだ。
なぜか訳の分からない怒りがこみ上げ、軽く開いていた両の手を力一杯握りしめてしまった。
今週は運が良かったのか、この一週間の間に二回も佐藤と会うことができた。
しかし、放課後の僅かな時間では、たいして長く一緒に居ることが出来ない。
だから日曜である今日は、佐藤と長時間会話することができる貴重な日なのだ。
昼食は部屋で済ませ、猫缶をポケットに忍ばせて、佐藤の待つあの場所まで向かう途中、飛び込んできた光景に、俺は度肝を抜かれた。
「だからね、君が付き纏ってると、会長様に迷惑がかかるの!」
見覚えのある奴らに囲まれているのは、まぎれもなく佐藤晃。
そして見当違いなことで佐藤を詰っているのは、俺のFC会長と御船含む幹部たち。
「君、頭良いみたいだし、僕たちの言ってること分かるよね?」
御船が佐藤に詰め寄った。
意識の奥では、止めさせなければならないと分かってるはずなのに、なぜか俺は木々の間に身を潜ませてしまった。
「なんとか言ったらどうなのっ」
今度は別の奴だ。
今日は忠告だけなのか、どうやら暴力に訴える気はないらしい。
そうしてやっと理解した。
なぜ俺が、こんな不当で許されない行為を止めなかったのか、その理由がはっきりと理解できた。
俺は知りたいのだ、佐藤が奴らにどう返事をするのかを……。
「ちょっと、返事くらいしたら!?」
そうだ、何か言え、佐藤!
奴らに一言でも反論すれば、すぐに飛び出すつもりで、身構えながら佐藤の言葉を待った。
「先輩方のおっしゃることは、よーく分かりました」
やけに冷静な声で、やっと佐藤が言葉を発してくれた。
「そう、分かってくれたんだね」
厳しい顔で迫っていたFC会長が、すぐにその表情を笑顔に変えた。
「僕が近寄らなければよろしいのですね。了解です。それでは、もう行ってもよろしいでしょうか?」
「え、あ、ああ、うん。きょ、今日は忠告だけだから…ね」
「はい。わざわざのご忠告ありがとうございました」
FCたちに頭を下げ佐藤は何も臆することなく、その場を去ってしまった。
あまりにも平然とした佐藤の態度に、FCたちはかなり戸惑っているようだ。
暫くお互い顔を見合わせ、順次解散していった。
そうして、俺一人だけが、この場に取り残された。
あまりの衝撃に、知らず手が震えている。
佐藤はまったく動じることもなく、FCたちを撃退した。
それはそれで良いことではないか、しかし納得できない自分がいた。
いや、佐藤の言葉に、俺は確実に痛手を受けている。
あいつは、平然と奴らの忠告を受け入れた。
そう、反論など一切せずに、俺に近寄らないことを約束したのだ。
なぜか訳の分からない怒りがこみ上げ、軽く開いていた両の手を力一杯握りしめてしまった。