★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★
[東峰■一条]
「そこまで無口な方なのですか」
一条がどれほど無口な奴なのかを、佐藤に教えてやった。
別に悪口じゃねぇぞっ、全部本当のことなんだからな。
「ああ、だが任された仕事は完璧にこなすし、責任感もある。だから、本人が話したくないなら、勝手にすればいいと思ってる。いずれは俺たちのことを信頼して、もう少し会話してくれると、多少期待はしてるがな」
ふと、一条の姿が思い出された。
いつも無表情でどこを見てるか分からない、ガラス玉のような目をした奴。
それは寂しさの表れでもあるのだろう、そうは理解していても、本人が変わらない限り、俺は何もする気はない。
厳しいかもしれないが、奴のこれからの立場を考えれば、なにごとも自分で自覚しねぇと意味なんてないからな。
それができないなら、このまま甘えの中に埋没していればいいだけだ。
冷たいかもしれないが、これが俺のスタンスだからな。
だからもし今後、役員どもが己の立場を見失い、堕ちていくようなことがあったとしても、俺は奴らを助けるようなことはしない、絶対にな。
ま、ないと思うけどな、そんなこと。
「ふふ、会長様は厳しいですが、彼らのことを仲間だと認めておられるのですね」
「そんなことはない。奴らに何かあっても助ける気はないしな」
「それは当然だと思います。彼らのような立場で、誰かがなんとかしてくれる、などと考えるほうが愚かです。何事も自分で気付かなければ意味がありません。ですから、書記様がこれから先、それで通用すると思われるなら、話さなければいい。ですが、そんな彼を会長様は見守る。もし変わりたいと本気で求めてくれば、手を貸すことを視野に入れている」
「……求めてくればな、考えないでもない」
「ふふ、それはとても素晴らしいことだと思います。無口な書記様が現在のご自分に満足していればいいですが、ネガティブな考えを持つようなら、それは単に愚かなだけですね。書記様自身がどう思ってるかは分かりませんが、会長様のためにも愚か者でないことを祈ります」
佐藤は驚くほど冷めた笑みを浮かべ、辛辣な言葉を吐いた。
だが、それに対して、まったく不快感など感じない。
図らずも似たような思考をしていたことに、むしろ強烈な親近感を覚えていた。
「そこまで無口な方なのですか」
一条がどれほど無口な奴なのかを、佐藤に教えてやった。
別に悪口じゃねぇぞっ、全部本当のことなんだからな。
「ああ、だが任された仕事は完璧にこなすし、責任感もある。だから、本人が話したくないなら、勝手にすればいいと思ってる。いずれは俺たちのことを信頼して、もう少し会話してくれると、多少期待はしてるがな」
ふと、一条の姿が思い出された。
いつも無表情でどこを見てるか分からない、ガラス玉のような目をした奴。
それは寂しさの表れでもあるのだろう、そうは理解していても、本人が変わらない限り、俺は何もする気はない。
厳しいかもしれないが、奴のこれからの立場を考えれば、なにごとも自分で自覚しねぇと意味なんてないからな。
それができないなら、このまま甘えの中に埋没していればいいだけだ。
冷たいかもしれないが、これが俺のスタンスだからな。
だからもし今後、役員どもが己の立場を見失い、堕ちていくようなことがあったとしても、俺は奴らを助けるようなことはしない、絶対にな。
ま、ないと思うけどな、そんなこと。
「ふふ、会長様は厳しいですが、彼らのことを仲間だと認めておられるのですね」
「そんなことはない。奴らに何かあっても助ける気はないしな」
「それは当然だと思います。彼らのような立場で、誰かがなんとかしてくれる、などと考えるほうが愚かです。何事も自分で気付かなければ意味がありません。ですから、書記様がこれから先、それで通用すると思われるなら、話さなければいい。ですが、そんな彼を会長様は見守る。もし変わりたいと本気で求めてくれば、手を貸すことを視野に入れている」
「……求めてくればな、考えないでもない」
「ふふ、それはとても素晴らしいことだと思います。無口な書記様が現在のご自分に満足していればいいですが、ネガティブな考えを持つようなら、それは単に愚かなだけですね。書記様自身がどう思ってるかは分かりませんが、会長様のためにも愚か者でないことを祈ります」
佐藤は驚くほど冷めた笑みを浮かべ、辛辣な言葉を吐いた。
だが、それに対して、まったく不快感など感じない。
図らずも似たような思考をしていたことに、むしろ強烈な親近感を覚えていた。