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★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★

[アーちゃん■聞かなかったことにする]


飯食って、ゲームして、風呂入って、ゲームして。
明日は日曜だしな、今晩はゆっくりゲームに励みましょう。
あ、明日こそは読書だな、マジ忙しすぎるぞ。

「アーちゃん、そろそろ眠くなってきました」

「じゃ、寝ればー」

どうせ、今日も俺のベッドなんでしょ。
ははは、一日もかかさず一緒に寝てますよー。
もう、本当になーんも気にならなくなってます。

「はい、では先に寝ますね」

いつも先に寝るときは、ちゃんと半分空けてるからね、こいつ。
ほんっとに、寝相いいよな。

「って、あれ? なんでそっち行ってんの?」

アキラがいつもの場所――俺の部屋――ではなく、自分の部屋に行ってるよ。

「え? あ、その……」

やけに、もじもじしてるけど、どしたのかね?

「なに、どしたん?」

アキラのやつ、また俺の隣りに座り込みやがった。
やけに真剣な表情をしてやがるな。

「あの、この年で一人で寝られないのは、大問題なのでしょうか?」

「は……?」

大問題? え、今さら?
つーか、中学生にもなって、一人で寝れないってのは、確かに問題は問題かもな。
俺も最初はそう思ってたしね。

「んー、確かに問題ではあるわな」

おお、アキラの顔が見事に強張ったぞ。

「やはり、大問題なのですね……」

見事にしょげてます。

「誰かになんか言われた?」

こっくりと頷くアキラ。
つーか、言ったのね。
俺と寝てるとか、他に言っちゃったわけね。
俺が恥ずかしいわ!

「中学生にもなって人と寝るなんて、駄目だと言われました……だから、一人で寝る練習をしたほうがいいかと……」

「あー、まぁ、それはそれで正しいとは思うけどー、別にいいんじゃねーの? 焦って練習しなくても」

おお、今度は表情が輝いておりますよ。

「そうですよね、どうせ高等部に上がれば、一人なんですからね」

「あっと、練習はしといたほうがいいと思うけどね」

「わかっております。でも焦らなくてもいいんですよね」

「うんうん、それでいいんじゃねー」

ははは、思いっきり喜んでらっしゃいますよ、アキラさん。

まさか、アキラを慰めてやるはめになろうとは、俺が一番信じられねーよ!
でも、正直言って、アキラと寝るのは嫌じゃない。
むしろ最近は、寝心地良くて熟睡できるからね。

「練習は少しずつ始めますが、今日はアーちゃんの部屋で寝ます」

「はいはい」

眠気なんて飛んでそうな顔して、いそいそと俺の部屋に向かい始めました。

「あ、ちょっと待って」

「はい、なんでしょうか?」

「それってさ、誰に言われたわけ?」

これは確認しとかなきゃな。

「会長ですよ」

「ふーん、会長ね……」

はぁぁぁっ!?

「では、おやすみなさい」

「ちょ、」

俺の目の前で、無情にも閉まる扉。
そのまま部屋に入って、アキラに確認をとらねば、とは思ったが……やめとこう。
下手に知るより、聞かなかったことにしたほうがいい。
たぶん……
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