[アーちゃん■反応しろ]


＜　＞　ロシア語だと思ってね

「……Больше разговоров（もっと話して）」

なんて、この書記が言うもんだから、小声で会話をすることにした。
つっても、なに話していいか、わかんねーから、まずは自己紹介。

＜俺、1-Sの高橋昭っての、よろしくー＞

おい、こら、なんか反応しろよ。
普通名乗ったら、そっちも名乗らねーか？
あー、なるほど、そういう訳か。

＜自分のこと皆が知ってるとか思ってんのー？　どんだけ自意識過剰な人ー？＞

いや知ってるけどね、それとこれとは別でしょ。
名乗ったら名乗る、礼儀でしょ。

＜……＞

珍しい紫色の瞳をやけにウルウルさせて、こっち見てるけど、俺、間違ってねーよな？

「うざっ、本読もーっと」

無視無視、シカト、とにかく知らん。

＜……一条、静……2-C……書記、してる……＞

あ、ちなみに中等部の間は、S以外は3年間、完全ランダムなクラス分けだから。
しっかし、それだけ言うのに時間かかりすぎじゃね？
まいっか、自己紹介したってことは、多少自分のこと知って欲しいってことだもんな。

＜名前は日本名なのね＞

外見はどう見ても外人さんだけど、名前は和風。
しかし、言葉は向こうのだから、やっぱ向こうの人だよな。

＜やっぱ、あっちの人なの？　ハーフ？　それにしては見事に外人さんだよねー＞

＜……＞

って、またダンマリかっ！

＜はぁぁぁ、俺うざい？　だったら、黙ってるよ＞

＜ちが、……＞

お、ちょっと焦ってる？

＜あんたさぁ、ちゃんと話せない人？＞