★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★
[東峰■馬鹿臭]
「3日後には届けてくださるそうです。ありがとうございました」
サイズの測定を終え、生徒会室に戻ってきた佐藤は、すぐに俺へと頭を下げた。
「あ、制服代はあとで、」
「俺が出すと言ったんだ、返す必要はねぇ」
「ん、と、ではお言葉に甘えさせていただきます」
ペコリとまた頭を下げた佐藤。
余りにごねるようなら、また頭痛が起きそうな気がしたが、素直に人の好意を受ける気になってくれたようだ。
「それより、制服が届いたら、その服は破棄しろよ」
どうしても、そのサイズの制服は、佐藤には必要ない気がする。
「え、破棄はいたしませんよ。これは将来のために取っておきます」
「将来……あー、1つ聞くが、それはお前が何cmになる予定で購入したものなんだ?」
「もちろん、170cmです」
えっへんと、さも当然とばかりに返された。
「ちなみに今はいくつだ?」
「現在は152cmです。大丈夫です。男子は中学から高校の間に2.30cmは伸びますから、高等部に進学する頃には170cmになっています」
なるほど、成長期か。
俺も既に170cmの大台に乗ってはいるが、なぜだろう、こいつには無理だという予感しかしない。
「……無理だろ」
「何かおっしゃいましたか?」
「いや…」
だいたい、中等部のたった3年間で18cm伸びる予定を立て、制服購入はしねぇだろ。
こいつ、勉強はできるのかもしれねぇが、とてつもなく馬鹿な臭いがする。
「それより、新入生代表の挨拶だが」
「あ、そうでした。挨拶ですが、なにか雛形などはありませんか?」
「あぁ、いくつかこっちで用意してある。そのまま読んでもらっても構わない」
その方が安全な気が……なんとなくする。
「それは重畳です。僕が考えると、とても長くなりそうでしたので」
俺は用意していたファイルを、いまだ立ったままの佐藤に渡してやった。
ついでに俺も立ち上がり、生徒会室に用意されている、ソファへと座るよう促してやる。
「結構ありますね。これ、当日は見ないほうがいいんですよね」
「だな。選んだらそれを暗記してもらうほうがいい」
「わかりました」
入学式まであと5日もある。
仮にも首位だというなら、挨拶の文章を覚えるくらい簡単にできるだろう。
「ありがとうございます。これ、お返ししますね」
ペラペラと20ページ程のファイルを捲っていた佐藤が、いきなりそれを俺に突っ返してきた。
「持って帰っても構わないぞ」
なんせ、暗記してもらうんだからな。
「大丈夫です。もう覚えましたので、挨拶は3つめのやつにします」
「は…?」
ページを捲っていただけで、読んでいるとは思えなかったが。
「なるほど、映像記憶か…」
だからこの馬鹿っぽいやつが首位なわけか、納得だ。
「えっと、まぁ、そんな感じです。あ、もう戻ってもいいですか? 部屋の片付けも終わってませんし、同室者と挨拶もしていないので」
「明日の午後は式の説明をする。そのときにまた来るように」
「了解です。それでは、失礼いたします」
ちょこんと頭を下げて、制服の着ぐるみは生徒会室を出て行った。
残された俺は、ただただ深い溜息を吐いた。
「3日後には届けてくださるそうです。ありがとうございました」
サイズの測定を終え、生徒会室に戻ってきた佐藤は、すぐに俺へと頭を下げた。
「あ、制服代はあとで、」
「俺が出すと言ったんだ、返す必要はねぇ」
「ん、と、ではお言葉に甘えさせていただきます」
ペコリとまた頭を下げた佐藤。
余りにごねるようなら、また頭痛が起きそうな気がしたが、素直に人の好意を受ける気になってくれたようだ。
「それより、制服が届いたら、その服は破棄しろよ」
どうしても、そのサイズの制服は、佐藤には必要ない気がする。
「え、破棄はいたしませんよ。これは将来のために取っておきます」
「将来……あー、1つ聞くが、それはお前が何cmになる予定で購入したものなんだ?」
「もちろん、170cmです」
えっへんと、さも当然とばかりに返された。
「ちなみに今はいくつだ?」
「現在は152cmです。大丈夫です。男子は中学から高校の間に2.30cmは伸びますから、高等部に進学する頃には170cmになっています」
なるほど、成長期か。
俺も既に170cmの大台に乗ってはいるが、なぜだろう、こいつには無理だという予感しかしない。
「……無理だろ」
「何かおっしゃいましたか?」
「いや…」
だいたい、中等部のたった3年間で18cm伸びる予定を立て、制服購入はしねぇだろ。
こいつ、勉強はできるのかもしれねぇが、とてつもなく馬鹿な臭いがする。
「それより、新入生代表の挨拶だが」
「あ、そうでした。挨拶ですが、なにか雛形などはありませんか?」
「あぁ、いくつかこっちで用意してある。そのまま読んでもらっても構わない」
その方が安全な気が……なんとなくする。
「それは重畳です。僕が考えると、とても長くなりそうでしたので」
俺は用意していたファイルを、いまだ立ったままの佐藤に渡してやった。
ついでに俺も立ち上がり、生徒会室に用意されている、ソファへと座るよう促してやる。
「結構ありますね。これ、当日は見ないほうがいいんですよね」
「だな。選んだらそれを暗記してもらうほうがいい」
「わかりました」
入学式まであと5日もある。
仮にも首位だというなら、挨拶の文章を覚えるくらい簡単にできるだろう。
「ありがとうございます。これ、お返ししますね」
ペラペラと20ページ程のファイルを捲っていた佐藤が、いきなりそれを俺に突っ返してきた。
「持って帰っても構わないぞ」
なんせ、暗記してもらうんだからな。
「大丈夫です。もう覚えましたので、挨拶は3つめのやつにします」
「は…?」
ページを捲っていただけで、読んでいるとは思えなかったが。
「なるほど、映像記憶か…」
だからこの馬鹿っぽいやつが首位なわけか、納得だ。
「えっと、まぁ、そんな感じです。あ、もう戻ってもいいですか? 部屋の片付けも終わってませんし、同室者と挨拶もしていないので」
「明日の午後は式の説明をする。そのときにまた来るように」
「了解です。それでは、失礼いたします」
ちょこんと頭を下げて、制服の着ぐるみは生徒会室を出て行った。
残された俺は、ただただ深い溜息を吐いた。