★キラキラ 蘖(ひこばえ)の章★
[アーちゃん■究極の・・・]
新学期も無事迎えて、俺たちの中学生としての生活が始まった。
式から5日経ったけど、今のところ、佐藤との生活に不満はない。
つーか、最初に持ってた不満は、俺が諦めるという大人の対応で解消したのだ。
毎日食堂で一緒に食い、リビングで談笑し、そして同じベッドで寝る。
ふ、ふははは、俺たちゃ夫婦かっ!?
「高橋君、どうかしました?」
「んぁ、なにがー?」
「さっきから、まったく進んでませんよ。いらないなら僕が頂戴しましょうか?」
「やだ、食う」
「はぁ、そうですか」
月曜の昼休み、平常の授業が始まってるから次は体育の時間だ。
食っとかないと辛いかもでしょ。
この食欲魔人に取られないうちに、食っちまわないとな。
あれ、でも、
「佐藤こそ、あんま進んでねーじゃん」
しかも、今回はやけに量も少なめ。
「はぁ、そうですか?」
「なに、どったの?」
「別に、どうもいたしませんが・・・」
「あっそ、ならいいけど」
なんかいつもより覇気がないねー
ま、いっか。
「5限に体育ってきつくね?」
「・・・・・・」
あれ、佐藤さん、お返事は?
入学して初めての体育の授業は、屋内運動場、所謂体育館となりました。
4月も半ばとはいえ、山の中に位置する学園は結構肌寒い。
もちろん、しっかりとジャージを着ております。
佐藤は会長に買ってもらったジャージを着て、やけに蒼褪めたお顔をしてらっしゃいますよ。
食ったもんが悪かったか?
おっと、先生が来られました。
さて、まずは準備運動をして、次に柔軟ね。
俺は足を投げ出して座る佐藤の上半身を前に押してやる。
「お、佐藤、柔らけーじゃん」
「はぁ、体は柔らかいほうですが・・・」
伸ばした足に見事に額がついてるぞ、意外にすげーのね。
お次は足を広げて、ほー、めっちゃ広がるのね。
十分柔軟をして、俺と交代。
「い、いてて、いー」
「高橋君、この年齢でこの固さ、少々危険ではないですか?」
「うっせー」
伸ばした足を少し曲げて、なんとか額につきました。
くそ、体は固いが、運動神経はほどほどにあるんだよ。
しっかりと柔軟も終えて、今日は跳び箱だそうです。
3.5.6.7段が設置されている。
自己申告だそうですから、俺は5段から跳びますよ。
3段はねーよな、3段は・・・
「佐藤、そっち並ぶの・・・?」
ほとんどが5.6に並ぶ中、佐藤だけが3段の場所にいる。
「は、はぁ・・・僕は、こちら・・・から・・・」
「ふーん・・・」
なんかさっきよりも蒼くなってないかい?
先生が跳び方の説明のあと、見本演技を披露してくれた。
そして、いよいよ本番ですね。
人数少ないから、どんどん跳んでいく俺たち。
普通に跳んだり、回転したり、閉脚やら、倒立まで飛び出しました。
「佐藤、どうした?」
教師の声がしたから、ふと横目で見てみると、佐藤がスタートラインに佇んでいた。
あれ、そういえば、こいつ一回も跳んでねーんじゃね?
「佐藤、どうした、早く跳べ」
「あ、は・・・・・・はい・・・」
なにやら深く息を吐いて、佐藤が助走に・・・え、それ助走?
ま、とにかく助走してロイター板に――躓いたっ!?
そのままの勢いで、前のめりになり跳び箱に激突しましたよっ!
「佐藤っ!」
教師が慌てて佐藤に駆け寄った。
俺たちも驚いて、それを見守る。
「ら、らいりょーふ、れす」
助走スピードがなかったおかげか、佐藤はあまりダメージを受けてないみたいだ。
鼻を手で押さえてはいるが、鼻血は出てない模様。
教師が佐藤の状態を確認している。
「よし、大丈夫そうだな」
「は、はい・・・」
ホッ、良かった。
「よし、じゃ続けるぞ。お前らも跳べよ」
教師の掛け声で俺たちは、また次々と跳び箱を制覇していく。
俺もも少し高めのに移動した。
6段を余裕で跳んで、また佐藤を見てみる。
やっぱこいつ跳んでねー
横に教師が付きっ切りになって、指導されてるようです。
そして、再び助走体勢に入りましたよ。
あ、なんか、すごく不安になってきた。
テッテッテと走って・・・いや、それ早足レベルだろ、ま、とにかくスタートしました。
・・・ロイター板の前でなぜか立ち止まり、おもむろに足を踏み出して、ジャンプ――できてねーーーー
しかし、3段なんて所詮65cmのもの、手は無事上部に乗せられ、そして、そして、そのまま頭から布部分にめり込みました。
な、なぜだ・・・・・・
「佐藤っ!」
教師が悲痛な声を上げて、佐藤に走り寄りました。
こ、こいつ・・・究極の運動音痴、つまり・・・・・・運痴だっ!
どうしよう、笑える。
クラスの奴らも、笑いを堪えてるのが分かるぞ。
「えぐっ、無理です・・・うぅ、僕には・・・無理です・・・できま、せん・・・・・・ぐす・・・」
なにやら泣き言が聞こえるのですが・・・。
駄目です、もう無理です、おかしすぎます。
「う、うけるーー、あひゃひゃ、マジうけるー、ありえねーー、あひゃひゃひゃ」
俺は腹をかかえてその場に蹲り、大笑いしてしまった。
他のやつらも笑い出し、体育館は爆笑の渦に巻き込まれた。
「こら、お前たちっ! 笑うんじゃないっ!」
先生に怒られちゃったけど、おかしいものはおかしいのよ、そうそう止まりません。
「うぅ、いいのです、仕方、ありません・・・えぐっ、僕が・・・悪いの、です・・・ひぐぅ・・・」
「佐藤、とりあえず、怪我をしていないか見せなさい」
「ふぁ、ふぁい・・・」
佐藤は3段跳び箱の上に馬乗りになり、優しく声をかける先生に素直に従った。
新学期も無事迎えて、俺たちの中学生としての生活が始まった。
式から5日経ったけど、今のところ、佐藤との生活に不満はない。
つーか、最初に持ってた不満は、俺が諦めるという大人の対応で解消したのだ。
毎日食堂で一緒に食い、リビングで談笑し、そして同じベッドで寝る。
ふ、ふははは、俺たちゃ夫婦かっ!?
「高橋君、どうかしました?」
「んぁ、なにがー?」
「さっきから、まったく進んでませんよ。いらないなら僕が頂戴しましょうか?」
「やだ、食う」
「はぁ、そうですか」
月曜の昼休み、平常の授業が始まってるから次は体育の時間だ。
食っとかないと辛いかもでしょ。
この食欲魔人に取られないうちに、食っちまわないとな。
あれ、でも、
「佐藤こそ、あんま進んでねーじゃん」
しかも、今回はやけに量も少なめ。
「はぁ、そうですか?」
「なに、どったの?」
「別に、どうもいたしませんが・・・」
「あっそ、ならいいけど」
なんかいつもより覇気がないねー
ま、いっか。
「5限に体育ってきつくね?」
「・・・・・・」
あれ、佐藤さん、お返事は?
入学して初めての体育の授業は、屋内運動場、所謂体育館となりました。
4月も半ばとはいえ、山の中に位置する学園は結構肌寒い。
もちろん、しっかりとジャージを着ております。
佐藤は会長に買ってもらったジャージを着て、やけに蒼褪めたお顔をしてらっしゃいますよ。
食ったもんが悪かったか?
おっと、先生が来られました。
さて、まずは準備運動をして、次に柔軟ね。
俺は足を投げ出して座る佐藤の上半身を前に押してやる。
「お、佐藤、柔らけーじゃん」
「はぁ、体は柔らかいほうですが・・・」
伸ばした足に見事に額がついてるぞ、意外にすげーのね。
お次は足を広げて、ほー、めっちゃ広がるのね。
十分柔軟をして、俺と交代。
「い、いてて、いー」
「高橋君、この年齢でこの固さ、少々危険ではないですか?」
「うっせー」
伸ばした足を少し曲げて、なんとか額につきました。
くそ、体は固いが、運動神経はほどほどにあるんだよ。
しっかりと柔軟も終えて、今日は跳び箱だそうです。
3.5.6.7段が設置されている。
自己申告だそうですから、俺は5段から跳びますよ。
3段はねーよな、3段は・・・
「佐藤、そっち並ぶの・・・?」
ほとんどが5.6に並ぶ中、佐藤だけが3段の場所にいる。
「は、はぁ・・・僕は、こちら・・・から・・・」
「ふーん・・・」
なんかさっきよりも蒼くなってないかい?
先生が跳び方の説明のあと、見本演技を披露してくれた。
そして、いよいよ本番ですね。
人数少ないから、どんどん跳んでいく俺たち。
普通に跳んだり、回転したり、閉脚やら、倒立まで飛び出しました。
「佐藤、どうした?」
教師の声がしたから、ふと横目で見てみると、佐藤がスタートラインに佇んでいた。
あれ、そういえば、こいつ一回も跳んでねーんじゃね?
「佐藤、どうした、早く跳べ」
「あ、は・・・・・・はい・・・」
なにやら深く息を吐いて、佐藤が助走に・・・え、それ助走?
ま、とにかく助走してロイター板に――躓いたっ!?
そのままの勢いで、前のめりになり跳び箱に激突しましたよっ!
「佐藤っ!」
教師が慌てて佐藤に駆け寄った。
俺たちも驚いて、それを見守る。
「ら、らいりょーふ、れす」
助走スピードがなかったおかげか、佐藤はあまりダメージを受けてないみたいだ。
鼻を手で押さえてはいるが、鼻血は出てない模様。
教師が佐藤の状態を確認している。
「よし、大丈夫そうだな」
「は、はい・・・」
ホッ、良かった。
「よし、じゃ続けるぞ。お前らも跳べよ」
教師の掛け声で俺たちは、また次々と跳び箱を制覇していく。
俺もも少し高めのに移動した。
6段を余裕で跳んで、また佐藤を見てみる。
やっぱこいつ跳んでねー
横に教師が付きっ切りになって、指導されてるようです。
そして、再び助走体勢に入りましたよ。
あ、なんか、すごく不安になってきた。
テッテッテと走って・・・いや、それ早足レベルだろ、ま、とにかくスタートしました。
・・・ロイター板の前でなぜか立ち止まり、おもむろに足を踏み出して、ジャンプ――できてねーーーー
しかし、3段なんて所詮65cmのもの、手は無事上部に乗せられ、そして、そして、そのまま頭から布部分にめり込みました。
な、なぜだ・・・・・・
「佐藤っ!」
教師が悲痛な声を上げて、佐藤に走り寄りました。
こ、こいつ・・・究極の運動音痴、つまり・・・・・・運痴だっ!
どうしよう、笑える。
クラスの奴らも、笑いを堪えてるのが分かるぞ。
「えぐっ、無理です・・・うぅ、僕には・・・無理です・・・できま、せん・・・・・・ぐす・・・」
なにやら泣き言が聞こえるのですが・・・。
駄目です、もう無理です、おかしすぎます。
「う、うけるーー、あひゃひゃ、マジうけるー、ありえねーー、あひゃひゃひゃ」
俺は腹をかかえてその場に蹲り、大笑いしてしまった。
他のやつらも笑い出し、体育館は爆笑の渦に巻き込まれた。
「こら、お前たちっ! 笑うんじゃないっ!」
先生に怒られちゃったけど、おかしいものはおかしいのよ、そうそう止まりません。
「うぅ、いいのです、仕方、ありません・・・えぐっ、僕が・・・悪いの、です・・・ひぐぅ・・・」
「佐藤、とりあえず、怪我をしていないか見せなさい」
「ふぁ、ふぁい・・・」
佐藤は3段跳び箱の上に馬乗りになり、優しく声をかける先生に素直に従った。