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美形会長様の華麗なる日常

[美形会長様の華麗なる日常1]


同じ学園の同じ寮内、しかも同じ特別棟に住んでいるとはいえ、会えるのはほぼ休日だけ。
時間さえ許せば平日に会うことも可能だが、残念なことに平日はお子様会の連中、特にあの高橋の野郎に奪われっぱなしなのが、現実。

むかつくむかつくむかつく――――!!

だから、こうやってたまに会える休日が、俺にとってはまさに至福のときだというのに……。

「本日のシェフのおすすめは夏野菜ですか…うーん、最近は野菜炒めばかりでしたから、できればガッツリといきたいところですねぇ」

愛しい恋人は、本日の昼食を決めるべくルームサービスのメニューに夢中だ。
ちなみに食堂のメニューは、できるだけ飽きのこないようにという配慮から、シェフおすすめを初め大半が日替わりだ。

しかし、こっそりと高橋に食費を渡しているというのに、野菜炒めばかりとは……どうやら食費が足りなくなっているようだな。
こいつの食欲からすれば、あの程度では足りないのでは、と考えていたが、やはり少なすぎたらしい。

次はもう少し増やすか……。

「お肉と魚……うーん、選べませんねぇ、やはりここは両方楽しむべきでしょうか……」

真剣な表情でメニューとにらめっこ中の晃には悪いが、いい加減こちらも我慢の限界だ。

「あ、何をなさるのですかっ」

メニューが表示されているノートPCを閉じてやったら、ようやくこちらに意識を向けてくれた。

「もう、意地悪なことなさらないでくだ、あわわっ」

人の三倍は食べているというのに、まったくそれを感じさせない体をひとまず抱き上げる。
慌てて首にしがみつきながら、なにやら喚き散らし始めたが、当然全て無視だ。

「もやしとキャベツはもううんざりなのです! 肉や魚が食べたいのです!」

そうかそうか、俺もいい加減うんざりしてるんだ。
なんせこの間の日曜から、断食を行っていたようなものなんだからな。

じたばたともがく身体を抱き締めて、寝室に続く扉を開ける。

「僕のお腹は限界なのです! 空腹で死んでしまいます! やぁぁぁっ――」

こっちこそ限界で死にそうなんだよ。
まだなにやら叫んでいる身体をベッドに縫い付けて、手始めにじっくりと口内を味わわせていただく。

昼食? そんなもの後でいくらでも食わせてやればいい。

まずはこの俺様の飢餓感を満足させることが、なによりも優先すべきことだろう。
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