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アーちゃん■MMO日記

[アーちゃん■MMO日記16]


セッ○スは好きですか?

はい、大好きです。
但し、後腐れのないセッ○スに限る。

最低だってことは、自認してます。
ヤリチ○と言われても反論できません。
昔風に言えば、ろくでなしと罵られても仕方ないレベルです。

でもさ、相手も遊びと割り切ってたら問題ないよね。



「プロポーズされた」

ついさっきまで、自分の下でアンアン言ってた女が、突然そんな報告してきたら、どうする?
俺は、こう返す。

「おめでとー」

どうでもいいという態度がミエミエだったからか、女はやや不機嫌そうに顔をしかめた。
女……もちろん栞じゃない。

「本気で言ってるの?」

何言ってんだこいつは。
お突き合いはしていても、お付き合いはしてない相手に、まさかとは思うが何か期待してるのか?
だとしたら、尻だけじゃなく頭も軽かったってことか。
つか、まだ高校生の俺に、何を求めてんだよ。

馴れ初めは、逆ナン。
俺が現役高校生と知っても、臆せず誘ってきた女はもちろん年上だ。
出会った頃はお気楽な女子大生だったけど、ただいま就活中だっけ?
染めてない黒髪とでかい胸が気に入って、栞がダメなときは好んで連絡を取っていたんだが、それがまずかったか。

「めちゃくちゃ本気ですけど」

これまた適当に返したら、今度はあからさまに唇を尖らせた。
ブスではないと自覚してるからか、一つ一つの仕草に媚びが混じっている。
他の男になら通用するだろうそんな可愛さも、俺には不快としか映らなかったが。

出会った頃から社会人の彼氏がいると聞いていた。
いずれは結婚するだろうと思っていたし、とっととしちまえとも考えていたから、この報告はめでたいとしか言いようがない。
それが、女には不満らしい。
よく分からない心理だ。

メンドーだなー。
ヤルことヤッたし、もう帰っていいよな。
つか、シャワー浴びてーんですけど。

そんな俺の心情など汲み取る気のない女が、なぜだか社会人彼氏への不満というか不安をぶち撒けはじめた。

意味が分かりません。

年収低い、背も低い、エッチが下手、顔面偏差値終わってる。

しらんがな。

いまだベッドに入ったまま、これもマナーかと愚痴を聞き流しながら携帯を確認した。
重要なメールは来てなくて、そのことに安堵する。

女の話は続いていた。
かなり盛られたシナリオと論点不明の主張から、どうにかこうにか要点のみをまとめると、俺の将来性とルックスに目を付けた、と。
エッチの相性バッチシでしょ、だから私のこと好きでしょ、だからだから奪ってよ。
どんな三段論法だ。
誰かとお付き合いってのをしなきゃならないなら、間違いなくお前みたいな女は選ばない。
年上ってのはマイナスポイントにはならないけど、頭悪いのは致命的でしょ。

「淫行罪」

「え、なに?」

「青少年健全育成条例違反。自治体によるけど、うちの管轄だと2年以下の懲役または100万円以下の罰金」

「な、なに言ってんの?」

「なにって、18歳未満とのいかがわしい行為は処罰の対象ですよーって教えてやってんの」

「だ、だって、男の子じゃないっ」

「男女平等。あんたらの大好きな言葉でしょ。条例や法律に男女の差なんてないんだよ」

脅しの意味で、少しばかり声のトーンを落とした。
ついでに、バカな女でも気付けるほどの不穏な気配も纏わり付かせる。
途端に押し黙り硬直した女をベッドに残し、軽くシャワーだけ浴びて、散らばったままになっていた服を拾い身に着けた。

もう一度携帯を確認したあと、ベッドの方を見てみた。
全身をシーツで覆った女が、目だけで俺を追っている。
まるで得体の知れないナニかから、隠れている子供のようだ。
思わず苦笑したら、シーツの中の身体がビクリと竦んだ。

出る間際、財布から諭吉を二枚取り出しテーブルに置いた。
高校生だってことで毎回ホテル代は払ってもらってたけど、最後なんだしこれくらいしてもいいだろう。

「お幸せに」

心にもないことを言って、ホテルのドアを開ける。
何を思ったか、女が咄嗟に立ち上がるもんだから早足でホテルを出て、表に出たと同時に女のメアドを削除した。
連絡はメールのみ。お互い本名も知らない間柄。

生存本能が機能してるなら、二度と連絡はして来るまい。
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