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アーちゃん■MMO日記

[アーちゃん■MMO日記6]


「許さんっ! ぜーーーーったいに許さんっ!!」

久しぶりに怒り心頭の俺様。
腕組して仁王立ちして、正座する相手を睨みつける。
いつもとは逆の立場に、少し優越感www
しかし、怒りは収まらねーぞっ!

「今夜はゆーーーっくりゲームしようと思ってたのよっ!」

「だから・・・・・・悪かった、と」

「誠意が感じられませーーーんっ!」

「・・・・・・」

は? 何を怒ってるかって? これが怒らずにいられようかっ!
こいつは、このアホは、俺の俺の大事なーーー

「あの程度で壊れるのも悪い」

「なんですってーーーっ!?」

何こいつ、反省してないのっ!?
こいつ、この馬鹿力のアッキー様はまったく反省してないのねっ!

「元々お前が言い出したことだ」

「ムキーーーーッ!!」

事の発端は、ゲームする俺の横で覗き込むように見ていたアッキーに「ちょっとやってみる?」なんて軽く声をかけたこと。
駄菓子菓子っ!! こいつは思いのほか夢中になりやがって、気がついたらマウスを、俺の大事なマウスを握り潰してくれたのだっ!!

「俺の○○クールのレーザー式7ボタンに謝れーーーっ!!」

「だから、悪かったと」

「だから、誠意がないのーーーっ!」

まったく反省の色の見えない男。
正座はしているが、俺には分かるぞっ! 何年の付き合いだと思っている。

「面倒くさいって思ってるでしょっ!」

「かなり」

「うがぁぁぁぁぁっ!」

「ね、アッキーも反省してるし、許してあげたら?」

「アッくんちゃんと聞いてたっ!? こいつかなりって言ったのよ、かなりってっ! どこが反省してるわけっ!? 」

「しつこい」

「しつこいって言ったーーーっ!」

「もう、本当にしつこいよ」

「そうです、いい加減になさいっ!」

「なのー、なのよー」

なんだよ、なんで被害者の俺がアウェーなんだよ。

「だいたい、マウスなら他にもいくつかお持ちでしょ」

「7ボタンは一個しかないのっ!」

「だったら、アッキーに買って貰えばいいじゃないか」

「俺はいますぐやりたいのっ!」

「いいのよ、するのよ」

「我慢なんてしたくないのっ!」

「わかった、すぐに用意してやる」

「へ・・・・・・?」

加害者が急に立ち上がって、部屋を出て行ってしまいました。
え、今から街に? でも、もう夜だよね、店閉まってるよね。

「アッキー可哀想」

アッくんの咎めるような口ぶり・・・可哀想なのってどう考えても俺じゃね?

「こんな時間にいったいどこに行ったのやら・・・」

アキラにまで冷たい視線を向けられちまった、俺。

「うう、アッキー、なの、のよー」

なんで、皆アッキーの肩持ってるの? えええ、おかしくね?

なんだか居た堪れない雰囲気の中、20分ほどで件の男が帰ってきました。
手にはしっかりと、マウス・・・・・・

「お、おおおお、7ボタン様ーーー」

ポイッとややぞんざいに投げられたが、これは間違いなく○○クールの7ボタンだっ!
しかし、よく見ると、何かがおかしい。

「って、これ包装されてないじゃん、誰かのお古?」

そう、どう見ても包装されずに、そのままのお姿。
ということは、誰かが使っていたもの?
のわりに、かなり綺麗だけどね、ほぼ新品に見える。

「すごいね、アーちゃんと同じもの持ってる人がいるんだ」

いったいどこから仕入れたものかは謎だが、とりあえず手に入ったから許すか。
一応礼とか言ったほうがいいのかな?

「えっと、・・・・・・」

「借りる」

「は・・・?」

アッキーがアッくんの腕を掴み立ち上がらせた。
そのまま腕を引っ張り、また部屋から出て行こうとしてる。

「ええ、アッキーなに? どこ行くの?」

戸惑うアッくん。
うん、当然の反応だ。

「はぁ、なるほど、交換条件を出したのですね」

「なにが? え、なに?」

なんの説明もされないままに、アッキーに連れ出されたアッくん・・・大丈夫、その疑問はすぐ解けるから。

「でーさん、なのよ、なの」

「あはは、さすが葛西。7ボタンなんていくらでも持ってんだな」

忘れてたよ。
アッくんには悪いが、俺は7ボタンが手に入ればそれで良しwww

今回は俺、なーんも悪くないよね。
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