合作
[華麗なるMMO日記]
オ○ニーの語源は、古い。
「創世記」の中の物語がその語源ってんだから、それはもう歴史あるものなのだ。
これ、豆な。
そんな昔からあるこの行為を、現代に生きる若者がいまもって行うということは、つまりは、歴史の一環性を証明することであり、ひととはどれほど時代が下っても変わらぬということの表れで……。
洗い場のイスに座ったら、ボディソープを二度プッシュ。
掌でちょい温めて大事な息子に擦り付けたら、よし、準備オッケーだ。
ひとり部屋なら誰に遠慮もなく行えるはずなのに、なぜか楽しめる場所が限られている。
トイレか、風呂場。
どっちがいいかと問われると、どっちでもいいってのが本音だけど、風呂場だと広いし終わったあとすぐに洗い流せるし、賢者タイムはゆっくりとお湯に浸かったりなんかしてもいいし、とにかくいろいろ便利なわけだ。
頭の中に、適当な美人の適当なおっぱいを想像したら、いざいざ開幕。
さあ、黄金の右手よ、今日もいい仕事してちょうだいよ。
若いけど、生身とのエッチでは、それほど早漏なわけじゃない。
だからって、遅漏でもないけど。
それなりに相手を感じさせつつ、それなりに終わらせて、それなりに二度三度と楽しんだりするけども、さすがに一人エッチにそれほど時間を割く気はない。
なにより、熱い!
適当な美人を適当に追い上げて、そろそろ終わらせるべく、適当に手を速めてゆくと、もうそろそろなんじゃね? という雰囲気まで辿り着いた。
あ、風呂場のちょっとしたデメリット。
声が響く。
女じゃあるまいしそうそう声を立てたりしないが、「う」とか「うっ」とか「ううっ」くらいは漏れちゃうでしょ。
男の感じてる声なんて、いくら自分のとはいえ、いやいや、むしろ自分のもんなだけに、きもいのよ!
ああ、でも、多少はしゃーない。
あまりに耐え忍んでは、せっかくの快感がもったいないではないか。
どうせひとりなのだと開き直り、しかし抑えるべき部分は抑え、はあはあと荒い息をつきながら、右手でシコシコ。
オ○ニーってのは、セックスとはまた違う気持ちよさがある。
シコシコ。
なんつっても、自分の感覚だけで進められるんだもんなぁ。
シコシコシコ。
いつイこうとも、俺の自由だし。
シコシコシコシコ。
セックスに不自由してなくても、オ○ニーは別物ってのには、おおいに納得だ。
「はぁ、はぁ、うっ、ん…」
シコシコシコシコ、シコシコシコシぱたぱたぱたんシコシコシコ。
ん? 気のせいか……。
「ふっ、ん、うぅ…」
ガラリ!
………!?!?!?!?!?!?
「どうですか、この色合い! 完璧だと思いませんか?」
「え、……」
俺の右手には、微妙に泡立った状態の息子フルボッキ仕様。
なんの遠慮もなくドアを開けてドヤ顔を晒す誰かさんの両手には、弁当箱。
「キャラ弁も、こうやって作ってみると、実に楽しいものですね」
「ば、ば…」
「うふふ、完璧です! これならアキも、大満足間違いなしです!」
蓋のない弁当箱には、アキお気に入りのアニメに出てくるキャラクターの顔が。
うん、確かに、完璧ですね。
「ば、ばっかじゃないのーーーー!」
叫ぶと同時に、浴槽に飛び込んだ。
馬鹿なの!? アホなの!? この状況が見えてないの!?
ザッブン、ザザザ。
激しい音と同時に、大量のお湯が流れ出るわ飛び散るわ。
とにかく浴室はしっちゃかめっかちゃだ。つか、今の俺にはそんなことどうでもいいわ!!
「もうっ、こちらにまで飛んできたではないですかっ。もっと静かにお入りなさい」
「ばばばばかでしょ! あんた、真性馬鹿でしょーーー!!」
「なんですか大きなお声を出して。肱挙(かひなげ)中にお邪魔したからですか? 大丈夫です、僕はちっとも気にしませんよ、どうぞ続きをなさってください」
あんたが気にするとかしないとかの問題じゃないでしょーーー!
「いいからドア閉めろ!!」
「んもう、そんなに怒鳴らなくとも。変なところで中断なさるから、怒りっぽくなるのですよ。さ、どうぞ最後までなさってください」
「できるか!! アホーーーーーッ!!」
ちなみに、肱挙(かひなげ)ってのは、平安時代に使われていた言葉で、オ○ニーのことを指すらしい。
あ、これも、豆な。
■■■■■■■■
うっかりってのは、人間なら誰しもあることだ。
機械じゃあるまいし、完璧な人間などそういはしない。
「ごめん、会長…」
「あ? ああ、気にするな」
しょんぼりと項垂れる一条にしょげる大型犬が重なり、思わず頭を撫で繰り回したくなったが、それはグッと堪えた。
あの間抜けな男にならいざ知らず、さすがに俺がしたからといって喜んだりはしないだろう。
「しかし、お前が忘れるなんて、珍しいこともあるもんだな」
「うん、ボーっとしてた…」
パッと見は常にボーっとしてそうだが、一条は相当に仕事のできる男だ。
渉外的なものは苦手だが、書類上のことなら申し分ない。
そんな一条が、先週の内に終わらせるべき書類を、うっかりと忘れていたなんてことは、そうあることじゃない。
これはこれで新鮮かもしれないな。
ただ日曜の昼にそのことを思い出し、その足で俺の部屋に駆けつけてきたのは、些か問題だが。
当然のごとく、土曜から晃が泊り込んでいる。
いまだ就寝中ではあるが、いつ起き出してくるかとハラハラしっぱなしだ。
一条は俺と晃の関係を知っている数少ない人物だが、晃を見せびらかすのはごめんだからな。
とりあえず急いで書類に目を通すことにした。
こんなときに限って、相当に量が多いとか、嫌がらせか?
一枚二枚と読み進め、そういえば会長印を用意していなかったと、ソファから腰を上げたその時、閉じられた扉の奥から何やら物音がした。
ちっ、起きやがったな。
にしてはいやに騒々しい気もしたが、先に事情を説明して閉じ込めて置くか、と寝室に向かおうとした瞬間、バタンと勢いよく寝室のドアが開いていた。
「お、落ちました! うっかりです! 驚きです! ベッドから落ちてしまいました!」
興奮している姿も可愛い。おっとそれどころじゃない。
落ちたという部分に反応し、頭の中に救急箱という文字がすぐさま浮かんだ。
続いて、晃のあられもない姿――昨夜着せたパジャマの上だけ――を見て、下を穿かせないと、と考えた。
「痛いです! ただでさえ痛い尻が、それはもう痛くてたまりません。あざなどはできておりませんか? 確認してください」
「……」
一条の口が、ポカンと開けられた。
もともと晃が登場したときから驚きに開いてはいたが、更に大きく開けられついでに大きな体を彫像のごとく硬直させた。
「一条先輩、こんにちは」
パジャマの裾を胸辺りまでたくし上げ、白くつるりとした尻を差し出すように俺たちへと突き出した格好で、一条に挨拶をする晃……。
「どうですか? あざはできてますか? 割れてるなどという冗談はいりませんからね」
「ば、ば、……」
「やはり、青あざができてますか? 湿布、湿布を貼ってください」
「馬鹿者ーーーーーーー!!」
■■■■■■■■
「東峰ぇぇぇぇぇ!!」
「高橋ぃぃぃぃぃ!!」
「「お前はあいつを、どんな風に育てやがったんだ!!」」
「はぁ!?」
「なんだとぉ!?」
「「俺が育てたわけじゃねぇ!!」」
「……」
「……」
「「榊(殿)だ!」」
■■■■■■■■
「それはもう厳しくご教育いたしました。決して驕り高ぶることなきよう、下々のものと同じ目線に立てるようにと、時には尻を叩きもいたしましたが……はて、晃様がなにかいたしましたか?」
「いた……したような、ないような…」
「いたしたというか、いたしてないというか…」
「あの御方が、なにかしら事を起こしたとあらば、それらすべてはこの年寄りの責にございます。どうか某のそっ首ひとつでご容赦を、どうか、どうか」
「いいいいっ!?」
「さささ榊殿!?」
「柊、介錯せよ」
「承知仕りました」
「待て待て榊、落ち着け!」
「榊殿、落ち着いてください!」
「私は、常に冷静にございます。晃様のこと、くれぐれもよろしくお願いいたしまする。柊、後のことは頼んだぞ」
「はっ」
「ないないない、なんも問題ございません!」
「問題など起こってはおりません!」
「ですが、わざわざおふた方お揃いで、」
「た、たまたまそういう気分になっただけなの」
「そ、そうです、たまたま…榊殿とお会いしたくなったというか、なんというか」
「某と、でございますか」
「ア、アキラの昔話なんか聞きたいなぁ、とか?」
「え、ええ、晃の幼い頃の話などを」
「晃様のでございますか。そうですなぁ、あの御方ほどの記憶力は持ち合わせてはおりませぬが、思い出話でしたらいくらでも浮かんでまいりまするなぁ。これは、長丁場となりそうですぞ。柊、酒の用意をしなさい」
「はっ」
「東峰さん…年寄りの話は長いと、相場が決まっておりますが…」
「しかも、同じ話を何度も繰り返すんだ…」
「幼い頃の晃様は、それはもう愛らしい童女姿にございまして…………。そうそう袴儀の際の碁盤には木画紫檀棊局をご用意いたしたのですが、これがまた素晴らしく細かい細工物でしてな…………。あのときの晃様のお姿は、それはもう愛らしく…………」
オ○ニーの語源は、古い。
「創世記」の中の物語がその語源ってんだから、それはもう歴史あるものなのだ。
これ、豆な。
そんな昔からあるこの行為を、現代に生きる若者がいまもって行うということは、つまりは、歴史の一環性を証明することであり、ひととはどれほど時代が下っても変わらぬということの表れで……。
洗い場のイスに座ったら、ボディソープを二度プッシュ。
掌でちょい温めて大事な息子に擦り付けたら、よし、準備オッケーだ。
ひとり部屋なら誰に遠慮もなく行えるはずなのに、なぜか楽しめる場所が限られている。
トイレか、風呂場。
どっちがいいかと問われると、どっちでもいいってのが本音だけど、風呂場だと広いし終わったあとすぐに洗い流せるし、賢者タイムはゆっくりとお湯に浸かったりなんかしてもいいし、とにかくいろいろ便利なわけだ。
頭の中に、適当な美人の適当なおっぱいを想像したら、いざいざ開幕。
さあ、黄金の右手よ、今日もいい仕事してちょうだいよ。
若いけど、生身とのエッチでは、それほど早漏なわけじゃない。
だからって、遅漏でもないけど。
それなりに相手を感じさせつつ、それなりに終わらせて、それなりに二度三度と楽しんだりするけども、さすがに一人エッチにそれほど時間を割く気はない。
なにより、熱い!
適当な美人を適当に追い上げて、そろそろ終わらせるべく、適当に手を速めてゆくと、もうそろそろなんじゃね? という雰囲気まで辿り着いた。
あ、風呂場のちょっとしたデメリット。
声が響く。
女じゃあるまいしそうそう声を立てたりしないが、「う」とか「うっ」とか「ううっ」くらいは漏れちゃうでしょ。
男の感じてる声なんて、いくら自分のとはいえ、いやいや、むしろ自分のもんなだけに、きもいのよ!
ああ、でも、多少はしゃーない。
あまりに耐え忍んでは、せっかくの快感がもったいないではないか。
どうせひとりなのだと開き直り、しかし抑えるべき部分は抑え、はあはあと荒い息をつきながら、右手でシコシコ。
オ○ニーってのは、セックスとはまた違う気持ちよさがある。
シコシコ。
なんつっても、自分の感覚だけで進められるんだもんなぁ。
シコシコシコ。
いつイこうとも、俺の自由だし。
シコシコシコシコ。
セックスに不自由してなくても、オ○ニーは別物ってのには、おおいに納得だ。
「はぁ、はぁ、うっ、ん…」
シコシコシコシコ、シコシコシコシぱたぱたぱたんシコシコシコ。
ん? 気のせいか……。
「ふっ、ん、うぅ…」
ガラリ!
………!?!?!?!?!?!?
「どうですか、この色合い! 完璧だと思いませんか?」
「え、……」
俺の右手には、微妙に泡立った状態の息子フルボッキ仕様。
なんの遠慮もなくドアを開けてドヤ顔を晒す誰かさんの両手には、弁当箱。
「キャラ弁も、こうやって作ってみると、実に楽しいものですね」
「ば、ば…」
「うふふ、完璧です! これならアキも、大満足間違いなしです!」
蓋のない弁当箱には、アキお気に入りのアニメに出てくるキャラクターの顔が。
うん、確かに、完璧ですね。
「ば、ばっかじゃないのーーーー!」
叫ぶと同時に、浴槽に飛び込んだ。
馬鹿なの!? アホなの!? この状況が見えてないの!?
ザッブン、ザザザ。
激しい音と同時に、大量のお湯が流れ出るわ飛び散るわ。
とにかく浴室はしっちゃかめっかちゃだ。つか、今の俺にはそんなことどうでもいいわ!!
「もうっ、こちらにまで飛んできたではないですかっ。もっと静かにお入りなさい」
「ばばばばかでしょ! あんた、真性馬鹿でしょーーー!!」
「なんですか大きなお声を出して。肱挙(かひなげ)中にお邪魔したからですか? 大丈夫です、僕はちっとも気にしませんよ、どうぞ続きをなさってください」
あんたが気にするとかしないとかの問題じゃないでしょーーー!
「いいからドア閉めろ!!」
「んもう、そんなに怒鳴らなくとも。変なところで中断なさるから、怒りっぽくなるのですよ。さ、どうぞ最後までなさってください」
「できるか!! アホーーーーーッ!!」
ちなみに、肱挙(かひなげ)ってのは、平安時代に使われていた言葉で、オ○ニーのことを指すらしい。
あ、これも、豆な。
■■■■■■■■
うっかりってのは、人間なら誰しもあることだ。
機械じゃあるまいし、完璧な人間などそういはしない。
「ごめん、会長…」
「あ? ああ、気にするな」
しょんぼりと項垂れる一条にしょげる大型犬が重なり、思わず頭を撫で繰り回したくなったが、それはグッと堪えた。
あの間抜けな男にならいざ知らず、さすがに俺がしたからといって喜んだりはしないだろう。
「しかし、お前が忘れるなんて、珍しいこともあるもんだな」
「うん、ボーっとしてた…」
パッと見は常にボーっとしてそうだが、一条は相当に仕事のできる男だ。
渉外的なものは苦手だが、書類上のことなら申し分ない。
そんな一条が、先週の内に終わらせるべき書類を、うっかりと忘れていたなんてことは、そうあることじゃない。
これはこれで新鮮かもしれないな。
ただ日曜の昼にそのことを思い出し、その足で俺の部屋に駆けつけてきたのは、些か問題だが。
当然のごとく、土曜から晃が泊り込んでいる。
いまだ就寝中ではあるが、いつ起き出してくるかとハラハラしっぱなしだ。
一条は俺と晃の関係を知っている数少ない人物だが、晃を見せびらかすのはごめんだからな。
とりあえず急いで書類に目を通すことにした。
こんなときに限って、相当に量が多いとか、嫌がらせか?
一枚二枚と読み進め、そういえば会長印を用意していなかったと、ソファから腰を上げたその時、閉じられた扉の奥から何やら物音がした。
ちっ、起きやがったな。
にしてはいやに騒々しい気もしたが、先に事情を説明して閉じ込めて置くか、と寝室に向かおうとした瞬間、バタンと勢いよく寝室のドアが開いていた。
「お、落ちました! うっかりです! 驚きです! ベッドから落ちてしまいました!」
興奮している姿も可愛い。おっとそれどころじゃない。
落ちたという部分に反応し、頭の中に救急箱という文字がすぐさま浮かんだ。
続いて、晃のあられもない姿――昨夜着せたパジャマの上だけ――を見て、下を穿かせないと、と考えた。
「痛いです! ただでさえ痛い尻が、それはもう痛くてたまりません。あざなどはできておりませんか? 確認してください」
「……」
一条の口が、ポカンと開けられた。
もともと晃が登場したときから驚きに開いてはいたが、更に大きく開けられついでに大きな体を彫像のごとく硬直させた。
「一条先輩、こんにちは」
パジャマの裾を胸辺りまでたくし上げ、白くつるりとした尻を差し出すように俺たちへと突き出した格好で、一条に挨拶をする晃……。
「どうですか? あざはできてますか? 割れてるなどという冗談はいりませんからね」
「ば、ば、……」
「やはり、青あざができてますか? 湿布、湿布を貼ってください」
「馬鹿者ーーーーーーー!!」
■■■■■■■■
「東峰ぇぇぇぇぇ!!」
「高橋ぃぃぃぃぃ!!」
「「お前はあいつを、どんな風に育てやがったんだ!!」」
「はぁ!?」
「なんだとぉ!?」
「「俺が育てたわけじゃねぇ!!」」
「……」
「……」
「「榊(殿)だ!」」
■■■■■■■■
「それはもう厳しくご教育いたしました。決して驕り高ぶることなきよう、下々のものと同じ目線に立てるようにと、時には尻を叩きもいたしましたが……はて、晃様がなにかいたしましたか?」
「いた……したような、ないような…」
「いたしたというか、いたしてないというか…」
「あの御方が、なにかしら事を起こしたとあらば、それらすべてはこの年寄りの責にございます。どうか某のそっ首ひとつでご容赦を、どうか、どうか」
「いいいいっ!?」
「さささ榊殿!?」
「柊、介錯せよ」
「承知仕りました」
「待て待て榊、落ち着け!」
「榊殿、落ち着いてください!」
「私は、常に冷静にございます。晃様のこと、くれぐれもよろしくお願いいたしまする。柊、後のことは頼んだぞ」
「はっ」
「ないないない、なんも問題ございません!」
「問題など起こってはおりません!」
「ですが、わざわざおふた方お揃いで、」
「た、たまたまそういう気分になっただけなの」
「そ、そうです、たまたま…榊殿とお会いしたくなったというか、なんというか」
「某と、でございますか」
「ア、アキラの昔話なんか聞きたいなぁ、とか?」
「え、ええ、晃の幼い頃の話などを」
「晃様のでございますか。そうですなぁ、あの御方ほどの記憶力は持ち合わせてはおりませぬが、思い出話でしたらいくらでも浮かんでまいりまするなぁ。これは、長丁場となりそうですぞ。柊、酒の用意をしなさい」
「はっ」
「東峰さん…年寄りの話は長いと、相場が決まっておりますが…」
「しかも、同じ話を何度も繰り返すんだ…」
「幼い頃の晃様は、それはもう愛らしい童女姿にございまして…………。そうそう袴儀の際の碁盤には木画紫檀棊局をご用意いたしたのですが、これがまた素晴らしく細かい細工物でしてな…………。あのときの晃様のお姿は、それはもう愛らしく…………」