アーちゃん■MMO日記
[アーちゃん■MMO日記8-3]
事の発端は些細なことで、今から1週間前にさかのぼる。
俺とアキラとアッくんは、久しぶりにアッキーたちの部屋にお邪魔していた。
宿題を片付けたり話し込んだりしていて、気が付いたらアキは夕飯まで寝るってことになった。
それは、別に珍しいことでもないから、おやすみーなんて軽く見送った後、アッキーは夕飯の買出しに出かけ、残された俺たちは適当に雑談し、暫くして小腹の空いた俺はキッチンへ。
軽く食える物はないかと、冷蔵庫の中を物色していると、ふとそれが目についた。
陶器の器が二個。
しっかりと陶器の蓋もされていて、なんとなく、冷蔵庫の中にあるには不釣合いだなぁ、なんて考えながら蓋を開けてみた。
んで、中を見てみると、なんてことはない、プリンだったわけだ。
それがまぁ、なんとも芳しい香りを放ってて、そこらのプリンとはかなり違うなってのはすぐ分かったけど、まさか、まさか、お取り寄せのみでしか手に入らない、超高級プリン様だなんて、思いもしなかったのよ!
一個で満足できなかった俺は、二つ目もしっかり頂き、そのほっぺた落ちそうな味に舌鼓を打ったのだ。
いや、マジで美味かったね、あれは。
「うう、ごーなのよ、ごーなの、ごーなのーっ! アキの、なのよ、アキのなの!」
「アキ……そうだよね、5000円もしたもんね。しかも、3週間待ってやっと届いたのに……」
ううう、そうなんだよな。
俺が軽い気持ちで頂戴したプリンは、アキがわざわざネットで取り寄せた物で、プリンの分際で送料込み5000円もする品物だったわけだ。
しかも、一つ一つ職人の手によって作られたもので、大量生産はできない、注文は殺到するわで、手元に届くまで3週間待ちというふざけた代物。
「だからー、ちゃんと弁償するって、」
「あああ、いまなのよ、なのー、アーちゃん、ないのよ、せーないのよ」
とにかくアキを宥めて、ガチャを回させないといけないってのに、俺の味方がいねーぞ!
アッくんは宥めるどころか、アキと一緒になって俺を責めたててるような気がするし、アッキーなんて敵以外の何者でもないわけで、まさしく四面楚歌。
こんな状況で、いったいどうすればいいんだよー。
くそっ、だいたいな、小遣い少ないくせに、2つで5000円もするようなもん買ってんじゃねーっての!
しかし、そのために他のおやつを我慢していたらしいし、やっぱここは、土下座……しか、ないのか。
いや、待て待て、それは最終手段だ。
「よし、なんとかしてやる!」
「あうあ!?」
「アーちゃん、なんとかなるの?」
「ただし、少し時間をくれ」
アキもアッくんも、信じられないという表情で俺を見たが、ここはガチャのために頑張るしかないっしょ。
そうと決まれば大急ぎで奴の所に向かわねば。
「高橋」
「わーってるって」
玄関先で靴を履いてるところに、やや不安げなアッキー様がやってきた。
言いたいことは分かってる。
継埜にしろ鷺視にしろ、家の名を使っての解決は一切罷りならぬってやつだよな。
俺はあくまで、単なる高校生だからねー。
「……」
「なによー、信用してないのー?」
「期待だけさせて無理でした、じゃすまないぞ」
「わーってるっつの!」
「そのときは、素直に誠意を見せろ」
「うぐっ」
くそっ、無理な場合は土下座かよっ、この俺がアキに土下座……ぜってーやだっ!
事の発端は些細なことで、今から1週間前にさかのぼる。
俺とアキラとアッくんは、久しぶりにアッキーたちの部屋にお邪魔していた。
宿題を片付けたり話し込んだりしていて、気が付いたらアキは夕飯まで寝るってことになった。
それは、別に珍しいことでもないから、おやすみーなんて軽く見送った後、アッキーは夕飯の買出しに出かけ、残された俺たちは適当に雑談し、暫くして小腹の空いた俺はキッチンへ。
軽く食える物はないかと、冷蔵庫の中を物色していると、ふとそれが目についた。
陶器の器が二個。
しっかりと陶器の蓋もされていて、なんとなく、冷蔵庫の中にあるには不釣合いだなぁ、なんて考えながら蓋を開けてみた。
んで、中を見てみると、なんてことはない、プリンだったわけだ。
それがまぁ、なんとも芳しい香りを放ってて、そこらのプリンとはかなり違うなってのはすぐ分かったけど、まさか、まさか、お取り寄せのみでしか手に入らない、超高級プリン様だなんて、思いもしなかったのよ!
一個で満足できなかった俺は、二つ目もしっかり頂き、そのほっぺた落ちそうな味に舌鼓を打ったのだ。
いや、マジで美味かったね、あれは。
「うう、ごーなのよ、ごーなの、ごーなのーっ! アキの、なのよ、アキのなの!」
「アキ……そうだよね、5000円もしたもんね。しかも、3週間待ってやっと届いたのに……」
ううう、そうなんだよな。
俺が軽い気持ちで頂戴したプリンは、アキがわざわざネットで取り寄せた物で、プリンの分際で送料込み5000円もする品物だったわけだ。
しかも、一つ一つ職人の手によって作られたもので、大量生産はできない、注文は殺到するわで、手元に届くまで3週間待ちというふざけた代物。
「だからー、ちゃんと弁償するって、」
「あああ、いまなのよ、なのー、アーちゃん、ないのよ、せーないのよ」
とにかくアキを宥めて、ガチャを回させないといけないってのに、俺の味方がいねーぞ!
アッくんは宥めるどころか、アキと一緒になって俺を責めたててるような気がするし、アッキーなんて敵以外の何者でもないわけで、まさしく四面楚歌。
こんな状況で、いったいどうすればいいんだよー。
くそっ、だいたいな、小遣い少ないくせに、2つで5000円もするようなもん買ってんじゃねーっての!
しかし、そのために他のおやつを我慢していたらしいし、やっぱここは、土下座……しか、ないのか。
いや、待て待て、それは最終手段だ。
「よし、なんとかしてやる!」
「あうあ!?」
「アーちゃん、なんとかなるの?」
「ただし、少し時間をくれ」
アキもアッくんも、信じられないという表情で俺を見たが、ここはガチャのために頑張るしかないっしょ。
そうと決まれば大急ぎで奴の所に向かわねば。
「高橋」
「わーってるって」
玄関先で靴を履いてるところに、やや不安げなアッキー様がやってきた。
言いたいことは分かってる。
継埜にしろ鷺視にしろ、家の名を使っての解決は一切罷りならぬってやつだよな。
俺はあくまで、単なる高校生だからねー。
「……」
「なによー、信用してないのー?」
「期待だけさせて無理でした、じゃすまないぞ」
「わーってるっつの!」
「そのときは、素直に誠意を見せろ」
「うぐっ」
くそっ、無理な場合は土下座かよっ、この俺がアキに土下座……ぜってーやだっ!