アーちゃん■MMO日記
[アーちゃん■MMO日記8-2]
授業のない土曜の昼は、腹が立つほど快晴だ。
休日は、ほぼ東峰の所ですごすアキラは、今日こそは肉と魚なんて喜び勇んで部屋を出て行った。
「ちゃんとアキに土下座するんですよ!」
などと、きっちりと捨て台詞を残していくもんだから、渋々俺は寮の売店に行くことにした。
寮で手に入る甘味なんて、たいして種類もないけど、一応苺のショートケーキをホール買いしました。
味もサイズもまぁまぁってとこだけど、仕方がない、これしかないんだ。
「はぁぁ、アキ、これで許してくれっかな?」
念のため、しっかりとPCも持参して、アッキーの部屋のインターフォンを力強く押した。
軽快な音に続いて、すぐに解錠音が聞こえる。
「えっと、アキ、いる?」
開かれた扉の先には当然ながら、アッキーの姿。
いつもの仏頂面で、顎をひょいと奥に向けた。
どうやらアキは室内にいるようですね。
よし、土下座はともかく、適当に謝って許してもらうか。
「んじゃ、ちょいとお邪魔しますよ」
アッキーを横に押しやり、リビングまでお邪魔してみれば、そこには、
「あう、いやなのよ、なの、アーちゃん、いやなのよ」
早速俺に対して怒りも露わなアキと、
「あ、アーちゃん」
アッくんの姿が。
「いやなのよ、アーちゃん、いやなの、のよっ」
「アキ、まだ怒ってるの? いい加減許してあげなよ」
「そうよー、アキ。いい加減許してちょーだい」
「うう、あうう」
もう一週間も経つのに、まったく機嫌が直ってないんでやんの。
食べ物の恨みってのは、ほんと、恐ろしいね。
「ほらほら、ケーキ持ってきたよー。アキの大好きな苺のショートケーキだよー」
「あ、う、うう、い、いやなのよ、なのよ」
お、いい反応だ。
一応怒ってはいるようだが、アキの目線はケーキの箱に集中している。
しかも、しかもだ、ごくりと喉が動いたのを、俺の眼は見逃さなかったぞ。
「せっかくアーちゃんがアキのために買ってきてくれたんだし、一緒に食べようよ」
「う、あう」
お、アッくん良い仕事してくれるね。
こりゃ陥落まで、あと少しだな。
「そうそう、アキのために買ってきたのよー。ね、これでプリンのことは水に流し、」
「あうあ! いやなのよ、なの、アーちゃん、いやなのよ!」
あちゃ、しまった。
せっかく軟化しかけてたのに、不用意なこと言ったせいで、あのときのことをまた思い出させちまったか。
「今から注文しても、3週間後か」
「あうあー、いやなの、のよ!」
「ちょっと、余計なこと言わないでよね!」
アッキーの野郎、俺とアキの仲をこれ以上悪化させる気か!?
「うう、アーちゃん、わるいのよ、なのよ!」
ああ、駄目だ……。
またもや、あのときのようにアキのご機嫌が悪くなっちまった。
「だよね、そもそもアーちゃんがアキのプリンを勝手に食べたのが悪いんだもんね」
「なのよ、なの!」
ちょっと、アッくん!
「だからー、悪かったって言ってるでしょー。こうやってお詫びの品も持ってきたし、そろそろ許してもいいんじゃね?」
「あうう、いやなのよ、アーちゃん、せーなの、ないのよ!」
俺に誠意がないなんて、どっかで聞いたようなフレーズだけど、ちゃんと謝罪してるよね?
「だからー、今すぐ注文するからさー、それで良いじゃん」
「注文殺到で、届くのは3週間後だがな」
「だから、おめーは黙ってろっての!」
「うう、あう、いまなのよ、いま、たべるのよ!」
「せっかくお小遣い貯めて頼んだのに、一口も食べれなかったんだよね」
「ちょちょちょ、アッくんまで! だから弁償するって言ってるじゃんか!」
「あうあ! いまなのよ、なのよー」
はぁぁぁ、またこの繰り返しですか。
授業のない土曜の昼は、腹が立つほど快晴だ。
休日は、ほぼ東峰の所ですごすアキラは、今日こそは肉と魚なんて喜び勇んで部屋を出て行った。
「ちゃんとアキに土下座するんですよ!」
などと、きっちりと捨て台詞を残していくもんだから、渋々俺は寮の売店に行くことにした。
寮で手に入る甘味なんて、たいして種類もないけど、一応苺のショートケーキをホール買いしました。
味もサイズもまぁまぁってとこだけど、仕方がない、これしかないんだ。
「はぁぁ、アキ、これで許してくれっかな?」
念のため、しっかりとPCも持参して、アッキーの部屋のインターフォンを力強く押した。
軽快な音に続いて、すぐに解錠音が聞こえる。
「えっと、アキ、いる?」
開かれた扉の先には当然ながら、アッキーの姿。
いつもの仏頂面で、顎をひょいと奥に向けた。
どうやらアキは室内にいるようですね。
よし、土下座はともかく、適当に謝って許してもらうか。
「んじゃ、ちょいとお邪魔しますよ」
アッキーを横に押しやり、リビングまでお邪魔してみれば、そこには、
「あう、いやなのよ、なの、アーちゃん、いやなのよ」
早速俺に対して怒りも露わなアキと、
「あ、アーちゃん」
アッくんの姿が。
「いやなのよ、アーちゃん、いやなの、のよっ」
「アキ、まだ怒ってるの? いい加減許してあげなよ」
「そうよー、アキ。いい加減許してちょーだい」
「うう、あうう」
もう一週間も経つのに、まったく機嫌が直ってないんでやんの。
食べ物の恨みってのは、ほんと、恐ろしいね。
「ほらほら、ケーキ持ってきたよー。アキの大好きな苺のショートケーキだよー」
「あ、う、うう、い、いやなのよ、なのよ」
お、いい反応だ。
一応怒ってはいるようだが、アキの目線はケーキの箱に集中している。
しかも、しかもだ、ごくりと喉が動いたのを、俺の眼は見逃さなかったぞ。
「せっかくアーちゃんがアキのために買ってきてくれたんだし、一緒に食べようよ」
「う、あう」
お、アッくん良い仕事してくれるね。
こりゃ陥落まで、あと少しだな。
「そうそう、アキのために買ってきたのよー。ね、これでプリンのことは水に流し、」
「あうあ! いやなのよ、なの、アーちゃん、いやなのよ!」
あちゃ、しまった。
せっかく軟化しかけてたのに、不用意なこと言ったせいで、あのときのことをまた思い出させちまったか。
「今から注文しても、3週間後か」
「あうあー、いやなの、のよ!」
「ちょっと、余計なこと言わないでよね!」
アッキーの野郎、俺とアキの仲をこれ以上悪化させる気か!?
「うう、アーちゃん、わるいのよ、なのよ!」
ああ、駄目だ……。
またもや、あのときのようにアキのご機嫌が悪くなっちまった。
「だよね、そもそもアーちゃんがアキのプリンを勝手に食べたのが悪いんだもんね」
「なのよ、なの!」
ちょっと、アッくん!
「だからー、悪かったって言ってるでしょー。こうやってお詫びの品も持ってきたし、そろそろ許してもいいんじゃね?」
「あうう、いやなのよ、アーちゃん、せーなの、ないのよ!」
俺に誠意がないなんて、どっかで聞いたようなフレーズだけど、ちゃんと謝罪してるよね?
「だからー、今すぐ注文するからさー、それで良いじゃん」
「注文殺到で、届くのは3週間後だがな」
「だから、おめーは黙ってろっての!」
「うう、あう、いまなのよ、いま、たべるのよ!」
「せっかくお小遣い貯めて頼んだのに、一口も食べれなかったんだよね」
「ちょちょちょ、アッくんまで! だから弁償するって言ってるじゃんか!」
「あうあ! いまなのよ、なのよー」
はぁぁぁ、またこの繰り返しですか。