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★キラキラ 第一章★

[アキラ■あなたは王道じゃないですよね]


はじめまして、1-S級長にして『キラキラ会』会長の<佐藤晃>と申します。
現在、とある山奥にある、なんとも無駄にハイソな学園にて就学中です。
ここに入学した理由は、学費その他諸々が、特待生ならば無料であること。
かつうまく遣り繰りすれば貯金ができます。
保護者にも勧められて、入学を決めました。
保護者です。親ではないですが、その話は長くなるのでまた今度。
中学から通い出しましたが、なかなかに住み心地は良かったです。

そう、良かったのです。過去形です。
新入生もやっと落ち着いてきた5月も半ば、とある星から宇宙人もじゃはやってきました。
今思えば、地球侵略の一環だったのでしょう。

その、侵略方法としてはあまりにも幼稚な手に、我が学園の生徒会役員他2名が見事に嵌められてしまいました。
これには驚きました。
もじゃからは我々地球人には感知できない、特殊な電波か放射線でも出ているのでしょうか?
こればかりは地球人としての常識しか持ち合わせない僕にはわかりません。
とにかく、その常識外の攻撃に我が学園の美形たちはやられてしまったのです。

侵略されて2週間、学園の状態はとても悪いです。
僕はお昼休みに見たアキの涙に、少し落ち込んでいます。
泣かせたくありませんでした。
アキは痛みに弱いから、だから人の痛みにも敏感なのです。
できれば、その痛みを取り除いてあげたいのですが、僕にはもじゃの攻撃がなぜ美形たちに通じたのかが理解できないのです。
理解できないと、もじゃに対抗する手段も見つけられません。

「晃、その書類が終わったら、そっちの処理済を風紀に持って行ってくれ」

「了解です。そのまま食堂に行きますので、カードを貸してください」

「はぁ? なんで食堂に行くのに俺のカードが必要なんだ?」

「それは、友人と食堂にて食事をすると約束したからです。そして、会長が本日の夕食を奢ってくれるとおっしゃっていたからですよ。よって、会長からカードを借り食堂で食事、その後会長にカードを返却が一番効率が良いかと」

「俺は部屋でルームサービスをとってやる、と言ったつもりだったんだが。まぁいい、メンバーは?」

「キラキラ会全員です」

「また、いつものお子さま会か。で、俺のカードで何人分の支払いをするつもりだ、お前は?」

「もちろん4人全員です。ちなみに今日は夢にまで見たシェフのおすすめコース、5500円を頼むつもりです。あ、それに見合う労働はさせていただいたと思います。副会長以下、皆さんの仕事をほぼ完成させましたよ。正当な報酬です」

僕は生徒会室にて、もじゃの攻撃にびくともしなかった我が生徒会会長命令により、溜まりに溜まった信者たちの仕事をこっそりと片付けていたところです。

この学園の管理運営は、その全てを生徒会が担っていると言っても過言ではありません。
将来日本を背負ってたつ立場になるであろう人材を育てるための、教育の一環だそうです。
しかし普段でも多い仕事量に、もじゃの起こした数々の問題の処理、会長以外は仕事を放棄という現状では、いくら優秀な会長でも限界があります。
しかも風紀の仕事の一部もまわってきているから大変です。

「おすすめくらいいつでも食わせてやるって言ってんだろ。だが他3名に食わせる理由はねぇな」

む、ブルジョアのくせに、変なところでけちんぼです。

「そんなことはございません。食堂でおすすめコースは、落ち込んでいるアキを慰めるためのものなのです。そもそもアキが落ち込んでいる理由は役員が宇宙人に心酔した事が原因なのですから、その長である会長が責任をとるのは当たり前です。本来ならば仕事と並行して彼等役員の目を覚まさせ、宇宙人からこの学園を守るべく、」

「あーわかった、わかりました! カードはくれてやるから、とっとと行って来いっ! それで、さっさと戻って来い!」

このカードと言われている物は、学園内ではとても大事な物なのです。
校内での身分証、食堂や購買での決済、寮部屋の鍵の役割も担っています。
会長のような役付のカードは、生徒会室等の鍵も兼ねているので、とてもとても大事な物なのです。
普通ならば他人に貸すなんてことは出来ません。

「はい。ありがとうございます」

急いで風紀に届ける書類を準備して、カードをいただきましょう。
一見嫌そうな態度を見せますが、会長が『キラキラ会』のメンバーを気に入っているのは知っております。
というか、僕の友達を嫌うなんてことは許しません。
え、何故それほどに上から目線なのかって?

「ほら、ん」

カードが差し出されたのはわかりますが、顎を突き出す理由がよくわかりませんね。

「ありがとうございます、会長。食べ終わったらすぐ戻って来ますね。あ、会長は食事はどうなさるのですか? よろしければ何かテイクアウトしてまいりましょうか? サンドウィッチでよろしいでしょうか? 仕事しながら食べられますし」

「晃! 黙れ」

「んっ……」

あーやられてしまいました。
僕は頭は良いのですが、その分運動神経反射神経がまったくないのです。
頭脳もさることながら、運動神経抜群な会長、いえ雅人の攻撃を避けることなどできるはずがございません。
憐れ僕の唇は、簡単に塞がれてしまいました。

はい、そうです。
僕と雅人は恋人同士なのです。
出会ったのは僕が中学1年生、雅人が2年のときです。
まぁ色々ありまして、お付き合いをさせていただいております。
もちろん『キラキラ会』、雅人の親衛隊幹部の方たち、他数名にも公認の仲です。
ですが、それ以外の方々には教えていないので、皆さんも秘密にしておいてくださいね。

「ん、んっ……ふ…」

それにしても、生徒会室でこんなに深い口付けをして良いものでしょうか?

「はふ…ま、やっ……んぅ…」

必死で雅人の身体をどかそうとしているのですが、さすがに一回り以上も大きい身体はビクともしません。
僕の抵抗など、この王様にはなんの障害にもならないようです。
仕方ないので、好きにさせてあげます。

生徒会室へと続く廊下の扉が開けられると、合図が鳴るように設定してあるので、とりあえずは安心ですからね。
でも、公私混同はあまりしたくありません。
次からは気をつけることといたします。

「…ぁ、ん…」

一通り僕の中を舌で堪能した雅人は、もう一度軽く唇を触れ合わせて解放してくれました。
正直言って、頭の中はくらくらしています。
酸素が足りません。でもそれ以上に雅人が足りなかったのだと、今更ながらに気づきました。
最後に触れ合ったのは、もう2週間も前なのです。
そう、あの日、もじゃが生徒会役員たちとの遭遇を果たした日以来なのです。

僕はその話を聞いて、雅人の部屋に殴りこみをかけました。
メールで連絡することもなく、いきなり部屋を尋ねて来た僕に

「明日のおすすめはフォアグラとうずら肉のパイ包みらしいぞ」

などとのたまったのです。

雅人が普通に明日のおすすめメニューの話をしてきたのが、もう悔しくて腹立たしくて。
気がついたら頬が濡れておりました。
なんだかいっぱい叫んだような気もします。
そして目の前には大きな岩がうずくまっていました。
否、雅人の土下座がありました。

曰く、
副会長が興味を持った人間をからかっただけ。
べろちゅーした事実は無い。
頬に軽くキスしただけ。
僕がそれで妬いたらかなり嬉しいと考えた。
殴られたのは事実。
気に入った云々の台詞は一切言っていない。
怒りを露にした副会長以下信者たちの表情がおかしくて、笑ったのをそう解釈されたのだと思う。
親衛隊にはちゃんと説明する。

以上が、雅人の言い訳でした。
まさか話が大きくなってるとは思わなかったらしいです。
何度も頭を下げて、謝罪してきました。

「もう二度とこんな真似はしない。悪かった。本当にすまなかった」

学園では俺様生徒会長だなんて言われている雅人が、常にない形相で謝る姿がおかしくて、嬉しくて、だけどほんの少し悲しくて、その晩は沢山の我儘を言って優しく抱いてもらいました。

はっ、いけません。
先ほどの深いキスの余韻と、あの晩のことが重なって頬が熱くなっています。
瞳も心なしか濡れている気がします。
さぞかし僕は、みっともない表情をしているでしょう。
なのに雅人はそんな僕を嫌がるでもなく、万人を魅了すると言われる相貌でうっとりと見つめています。
ついでに、右手は僕の腰から下、主に尻を撫でています。
左手で僕の硬い黒髪を優しく優しく撫でてくれいます。
あ、いけません。
この顔は危険度レベル2です。

「もう2週間もお前に触れていない。なぁ、今日は9時には部屋に戻るから、」

「あ、それは無理です」

まぁなんと言うことでしょう。
先ほどまでのうっとり顔が、あっというまに不機嫌顔に変化いたしました。
素晴らしいビフォーアフターです。

「今夜は夕食後、それぞれの宿題を持ち寄ってアーちゃんの部屋で『キラキラ会』の集会を開く予定になっています。この約束は本日の昼休みに成されましたので、優先順位は『キラキラ会』が上となります」

「だったら明日の、」

「明日以降に関しての約束は現在の状況を鑑みても止めておいたほうが無難かと思われます。明日までの生徒会が処理すべき書類は片付けましたが、後期予算案をはじめ、まだまだ手付かずの物も残っております。なにより宇宙人が襲来しておりますので、いつなんどき会長にエマージェンシーがかかるかわかりません」

「つまり、下手に約束してドタキャンされるのが嫌なんだな」

「はい、その通りです」

僕だって拗ねるのです。

「わかった。時間がとれたら連絡する」

「了解です。では、この書類を風紀に届けたら本日の業務は終了いたします。戻って来るときに、サンドウィッチを持ってきますね」

まだまだ名残惜しげに髪に口付けを落とす雅人に、僕はぐっと我慢を強いられます。
僕だって触れ合いたいと思っているのです。
でもいけません。
今夜はシェフのおすすめを『キラキラ会』会員と共に堪能すると決めているのです。
鉄の意志をもって雅人の大きな身体を押しやれば、僕にしては素早い動きで、でも雅人からしたらノタノタとその身を離すことに成功いたしました。
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