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★キラキラ 第一章★

[アーちゃん■現在台風上陸中]


どーも俺です。
王道転校生という嵐到来に、学園は沸き立ってます。
まずは、転校生の紹介をします。
汚らしい瓶底眼鏡のもじゃもじゃくん<姫宮瑠希愛 ひめみやるきあ>――DQNネームキター!――もちろん理事長の甥です。

いわずもがな、まず王道くんを迎えに行った副会長<三井右京 みついうきょう>が落ちました。
現場を見たわけじゃないけど、作り物の笑顔を気持ち悪いと言われ、俺が友達になってやる云々でしょう。はい。

その後の展開はまったくもって説明はいらないでしょ。
そうです、今貴女の脳裏に浮かんだとおりです。
えっ多少は説明しろ?
そうですね、こんなもじゃ…あーもうもじゃでいいよね――王道くんとか転校生とか長いから――に落ちるような屑たちの紹介も兼ねて、簡単に…

まずはその風貌から孤独になりがちな同室の一匹狼<明石大雅 あかしたいが>を手懐けました。
そして同じクラスの爽やかサッカー少年<野添康文 のぞえやすふみ>に気軽に話しかけ、虜にしました。
双子庶務<水野レミ・ソラ>を本能で見分け、わんこ無口書記<一条静 いちじょうしずか>が話す前に理解、チャラ男会計<藤村奏 ふじむらかなで>にセフレのことで説教し、役員も攻略。

以上、信者たちでした。あははテンプレおつ。
ね、説明不要なくらい王道でしょ。
それにしてもすごいね。本当にいるんだねこんな屑ども。

あ、そうそう俺様生徒会長<東峰雅人 とうみねまさと>からべろちゅーされて一発お見舞いし、気に入ったとなったらしいです。バ会長ざまぁぁぁぁ。

もじゃはA理――理数系――クラスに転入したおかげで、Sクラスの俺とは接点はありません。
お母さん、このまま無事卒業したいと思います。



「あ、う、いやなのよ、わたなべくん、いやなの」

それは嵐が到来してから2週間後の俺たちの会話。
アキは少し言葉が不器用だ、しかもボキャブラリがかなり不足している。
いやなの――つまり辛そうとか可哀想とか、いろんな意味で言っている。

「だからといって、アキはあのもじゃに近づいてはいけませんよ。せっかく席が離れているのですから、わざわざ宇宙人の地球侵略に巻き込まれる必要はございません」

「同感」

「あう、う、いやなの、なのよ!」

これはあれだ、冷たいとかそんな意味だろう。
今日も今日とて、台風を避けながら無駄に広い校庭にて、弁当をひろげる俺たち4人。
あ、アキ以外は料理が得意です。

さて、ここらへんで、俺たちのことも説明していこうと思います。
舌足らずに一生懸命少ない語彙で話すのは、1-A理所属の我等が『キラキラ会』マスコット<鈴木明 すずきあきら>通称アキ。
ちっちゃい体にちっちゃい顔を縁取るふわふわの髪、顔はいたって平凡くん。

「では、アキはどうしたいのですか? その渡辺くんを助けて、自分も巻き込まれたいのですか? 無理です。アキでは一緒に制裁されるのがオチだと思います」

少し言葉はきついかもしれないけど、アキのことを真剣に心配する地味で平凡な男。
我がSクラスの級長にして、学年首席で『キラキラ会』の会長<佐藤晃 さとうあきら>通称アキラ。

「同感」

そっけなくアキラの意見に賛成し、もじゃの事などまったく興味がないと全身で表している外見平凡男は1-A文――文系――所属の『キラキラ会』平会員<伊藤章 いとうあきら>通称アッキー。
平会員の理由は「平が一番平和で楽」だから。

「アキは同じクラスで毎日見てるから、どうしても気になっちゃうんだよねー。仕方ないよねー」

そしてこの俺『キラキラ会』副会長<高橋昭 たかはしあきら>通称アーちゃん。
自他共に認める中身も外見も平凡男。

以上4人で『キラキラ会』です。活動内容は…特にありません。
うん、気づいてくれた?
そう、皆名前がアキラなの。
中学の頃に出会って、同じ名前で意気投合した、と。
アキラばっかりだからキラキラしてるのよ、とアキが言ったからそのまま『キラキラ会』。
あは、たーんじゅーん。だけど可愛いっしょ。

「うん、うん、なのよ、わたなべくん、いたいのよ…なくのよ…ぐしっ」

「あーもう泣きそうなのは、つか泣いてるのアキじゃんかー」

でっかい目に溢れんばかりの涙を浮かべて、アキにしてはがんばって俺たちに訴えかけている。
いつもならアキラの言ったことには素直に頷くんだけどね。
よっぽど酷いんだろうなぁ、もじゃ。

「アキ、泣いてはいけません。目が痛くなりますよ。痛くなるのは嫌でしょ。アキがちゃんとご飯を食べたら、渡辺くんのこと一緒に考えてあげますから」

アキラが優しく語りかけて、アッキーが彼にしては丁寧に、しかし傍から見るとかなり雑にアキの涙をハンカチで拭く。
あ、アキのやつ鼻水まで出してる。
うわーアッキーかなり嫌そう。ぶはっ、なすりつけたよ、アキ、GJ!



意外にも感受性が豊かなアキには、ここ最近の学園の雰囲気は耐えられないものがあるだろう。
そんなことはアキラもアッキーも俺もわかってはいたんだけどね。
本当に真剣にできるだけアキには関わって欲しくないとも思っている。

もじゃが巻き起こした嵐は、学園の美形達、もじゃに好意を寄せる信者たちの親衛隊パワーを得、大きな大きな学園全体を取り巻くものとなってしまっていた。
その一番の被害を受けているのが、もじゃの隣の席だというだけの渡辺くん。

アキの足りない言葉と、アキラが聞いた話、そして俺情報をまとめると、渡辺くんは生徒会に守られているもじゃの代わりに親衛隊の不満を全てをぶつけられているそうだ。
まずは忠告に始まり、わずか一週間で制裁という名の暴力に発展したらしい。
最初に手を出したのは、副会長の親衛隊。

だけどね、うちの学園、生徒会は屑の集まりだったみたいだけど、前任者の指名や先生方の推薦の多い風紀はとても仕事ができるのだ。

靴箱や机などへの子供じみた嫌がらせは、彼等の見廻りで回避できる。
されてしまった場合は、風紀が責任持って片付けてくれる、ありがたい存在。
屈強というわけではないけど、それなりに腕に自信があるようで、制裁現場にも恐れずに駆けつける。
そんな彼等のおかげで、多少の傷は負ったけど、渡辺くんは無事だったらしい。
保健医に手当てされ、翌日からは風紀が護衛についた。
普通なら、これで終息していくんだよ。普通なら…
なのに、あのKY宇宙人なもじゃは、

「お前らがいたらアキラに友達が出来ないだろ! 大丈夫だっ! 俺が一緒にいてやる、親友だからな!」

「悪いのは親衛隊だっ! そんなのがいるから右京たちに友達ができないんだ! 親衛隊は最低だっ! 親衛隊をどうにかしろよ!」

などと護衛に叫んで渡辺くんを引き連れて、取り巻きと行ってしまうらしい。

悪循環だよね。
ますます親衛隊は怒り、信者たちはもじゃが「親友」と連呼する渡辺くんに不満を持つ。
そのせいでどんどん学園の秩序は乱され、統率のとれない親衛隊は暴走する。
その熱に煽られたかのように、一般生徒まで過激さを増してきている状況だ。
精鋭揃いの風紀とはいえ、学園全体で起きている事件を片付けるには、いかんせん人数が足りない。
それでもがんばって巡回を増やし、取締強化に励んでるというから、拍手喝采だね。

「ですからね、風紀もがんばっておりますし、個人的な護衛がしにくい状況でも見廻り強化していますから、それほど被害は受けていないと思うのです」

アキラの言う通りだと思う。

「あうぅー」

「だから、まずは様子を見よう。な、アキ」

小さな嫌がらせは続いてるけど、きっとこれからは終息に向かう。
今以上に被害が出る訳がない…なんて俺たちは事態を楽観視してしまっていた。

だってね、役員たちが本物の屑に成り下がるなんて思いもしなかったんだもん。
一時の気の迷い、魔が差したってレベルだと、本気で思ってたんだ。
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