★キラキラ 第一章★
[アッキー■出会い]
皆が観る。
まるでそこに奇妙なモノでもあるかのように。
あからさまな同情の目。嘲笑。嫌悪。侮蔑の表情。好奇心無関心。
俺とアキが向かい合って座る長テーブルは、そこだけぽっかりと空席が目立つ。
朝の喧騒の中、席は皆が座れるほどあるとはいえ、俺たちの周囲だけを、あかさまに皆が避ける。
煩わしくなくていい。
「ぽっぽなのよ、アッキー、ごはんなのよ」
「アキ、飯ならそこにある。早く食え」
「あむ、う、おはな、なのよ」
「はな?」
「うん、うん、なのよ、ぼっぽなの、ごはんなのよ、ないのよ」
「アキ、あとでゆっくり聞くから、先に食べろ」
いつも素直に食事するアキが、今日はやけに絡んでくる。
アキが言葉を操ることが下手になったのは、小4のとき。
治療を拒んだアキを逃がすかのように、保護者となった俺の祖父はここへと入学させることを決めた。
外部からの侵入に対して厳重なセキュリティを誇る、山奥の金持ちお坊ちゃま学校。
金なら唸るようにある。
ここなら、あの五月蝿い奴らも、そうそう来れない。
俺の入学試験はなんとかなった。
アキは理数系以外はまったく駄目な奴だ。
言葉のこともあり、まともな方法では合格できない。
祖父は特別枠での入学を選択した、別名一芸入学。
自分の持っている特性や特技などを見せて、合格の是非を決める試験。
見事アキは合格した。
「う、あむ、ぼーぼーなのよ、おはななの、ごはんなのよ」
今日のアキは本当にしつこい。
少し黙らせたほうがいいだろうか?
アキが俺に理解してもらおうと、何度も会話してくることは構わない。
俺は恐れず話すアキの姿に常に安心するからだ。
しかし、食べるのが疎かになるのは駄目だ。
そう思っていた矢先、アキの隣の椅子が引かれた。
人が近づいてくることは、さきほどから感じていた。
敵意がないことも。
平常な気しか纏っていない男、警戒する必要はない。
わざわざアキに近づくとは、そばで観て笑い者にでもする気だろう。
アキはそんなことまったく気にしない。
なぜなら、それが普通だからだ。
「アッキー、ぽっぽ、ぼーぼーなのよ、ながいの、アッキー、ごはんなのよ、おはな、ぐーなのよ」
アキの言葉はだいぶ理解できるようになったが、いつもと違う会話をされると、途端わからなくなる。
おそらく天気が良いから、食後花を見に外へ行きたい、というとこか。
だから、早く飯食えって言ってるんだ。
「早く飯を、」
「おや、本当ですね。これだけ天気の良い日が続いているのに、今日も花壇の散水機が動いてないですね。あなたのおっしゃるように、お花もさぞ空腹なことでしょう」
最初は独り言かと思った。
やけに聞き取りやすい声だな、と感じた。
「したのよ、おはななの、ごはんなの、したのよ」
「あなたが花壇の水遣りを頼まれたのですか? なら、暑くなる前にあげたほうが良いですよ。お花がかわいそうですからね」
「うん、うん、なのよ、ないのよ、ごはんなの、ないのよ」
「散水機の電源が何処かわからないのですか。食後でよろしければ、ご案内しましょうか?」
「うん、うん、いくの、ごはんなのよ」
「はい。ですが、まずは食事をなさったほうが良いと思います。気温があがるにはまだ間がありますから、安心して召し上がってください」
アキが先ほどから何を言っていたのかを、俺の脳はやっと理解した。
「うん、うん、なの、アキ、なのよ」
「おやおや、アキさん自身もお腹が空いて仕方なかったのですか、それなのに、お花の心配をなさってたんですね。ふふ、お優しいですね」
それが、あいつとの出会い。
皆が観る。
まるでそこに奇妙なモノでもあるかのように。
あからさまな同情の目。嘲笑。嫌悪。侮蔑の表情。好奇心無関心。
俺とアキが向かい合って座る長テーブルは、そこだけぽっかりと空席が目立つ。
朝の喧騒の中、席は皆が座れるほどあるとはいえ、俺たちの周囲だけを、あかさまに皆が避ける。
煩わしくなくていい。
「ぽっぽなのよ、アッキー、ごはんなのよ」
「アキ、飯ならそこにある。早く食え」
「あむ、う、おはな、なのよ」
「はな?」
「うん、うん、なのよ、ぼっぽなの、ごはんなのよ、ないのよ」
「アキ、あとでゆっくり聞くから、先に食べろ」
いつも素直に食事するアキが、今日はやけに絡んでくる。
アキが言葉を操ることが下手になったのは、小4のとき。
治療を拒んだアキを逃がすかのように、保護者となった俺の祖父はここへと入学させることを決めた。
外部からの侵入に対して厳重なセキュリティを誇る、山奥の金持ちお坊ちゃま学校。
金なら唸るようにある。
ここなら、あの五月蝿い奴らも、そうそう来れない。
俺の入学試験はなんとかなった。
アキは理数系以外はまったく駄目な奴だ。
言葉のこともあり、まともな方法では合格できない。
祖父は特別枠での入学を選択した、別名一芸入学。
自分の持っている特性や特技などを見せて、合格の是非を決める試験。
見事アキは合格した。
「う、あむ、ぼーぼーなのよ、おはななの、ごはんなのよ」
今日のアキは本当にしつこい。
少し黙らせたほうがいいだろうか?
アキが俺に理解してもらおうと、何度も会話してくることは構わない。
俺は恐れず話すアキの姿に常に安心するからだ。
しかし、食べるのが疎かになるのは駄目だ。
そう思っていた矢先、アキの隣の椅子が引かれた。
人が近づいてくることは、さきほどから感じていた。
敵意がないことも。
平常な気しか纏っていない男、警戒する必要はない。
わざわざアキに近づくとは、そばで観て笑い者にでもする気だろう。
アキはそんなことまったく気にしない。
なぜなら、それが普通だからだ。
「アッキー、ぽっぽ、ぼーぼーなのよ、ながいの、アッキー、ごはんなのよ、おはな、ぐーなのよ」
アキの言葉はだいぶ理解できるようになったが、いつもと違う会話をされると、途端わからなくなる。
おそらく天気が良いから、食後花を見に外へ行きたい、というとこか。
だから、早く飯食えって言ってるんだ。
「早く飯を、」
「おや、本当ですね。これだけ天気の良い日が続いているのに、今日も花壇の散水機が動いてないですね。あなたのおっしゃるように、お花もさぞ空腹なことでしょう」
最初は独り言かと思った。
やけに聞き取りやすい声だな、と感じた。
「したのよ、おはななの、ごはんなの、したのよ」
「あなたが花壇の水遣りを頼まれたのですか? なら、暑くなる前にあげたほうが良いですよ。お花がかわいそうですからね」
「うん、うん、なのよ、ないのよ、ごはんなの、ないのよ」
「散水機の電源が何処かわからないのですか。食後でよろしければ、ご案内しましょうか?」
「うん、うん、いくの、ごはんなのよ」
「はい。ですが、まずは食事をなさったほうが良いと思います。気温があがるにはまだ間がありますから、安心して召し上がってください」
アキが先ほどから何を言っていたのかを、俺の脳はやっと理解した。
「うん、うん、なの、アキ、なのよ」
「おやおや、アキさん自身もお腹が空いて仕方なかったのですか、それなのに、お花の心配をなさってたんですね。ふふ、お優しいですね」
それが、あいつとの出会い。
