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★キラキラ 第一章★

[アッくん■歓喜と羞恥]


アキたちに会って、まだたった1日。
たった1日なのに、もう僕は彼らに当たり前のように受け入れられてる・・・と思う。
彼・・・姫宮くんが僕を探しているから、今日はこの部屋から出ないほうが良いってことで、お勉強会が開かれたんだ。
首席と次席がいるから、僕、ちょっと嬉しい。
遅れた分はちゃんと取り返したいもの。
驚いた――驚いてばっかりだよ――ことに、アキは理数系に関してはほぼ完璧な成績を修めてるんだって。
アキに凄いねって言ったら、

「ぱっ、なのよ、ないのよ」

「答えが勝手に頭に浮かぶだけだから、凄くないってー♪ やだw このコったら自慢~?」

アーちゃんがアキの米神をグリグリした。

「うきゅ、きゃう」

もちろん僕は心配なんてしない。

「僕、数学苦手だから・・・アキの脳みそ少しわけて欲しいよ」

今もアキラに出された数学の問題を前に悪戦苦闘している。
わからなければ、いつでも聞いてください、ってさっきからずっとわかんないよ。
こんなの授業でやったっけ?

「なのよ、う、なのよ、あい」

アキがにぎり拳を自分の額にゴシゴシ擦り付けて、それを僕の額に同じように擦り付けた。
これって頭の良さを分けてくれてるのかな?

「うん、なんか、良くなってきた気がする」

「って、アッくん単純すぎー」

2時間ほどみっちりしごかれて、僕の数学レベルを見たアーちゃんに

「こりゃ、スパルタでいくしかないか」

なんて、かなり真剣な顔で言われた。

「うん、なのよ」

アキまで表情を強張らせてる・・・ショック。
最近勉強なんてまともにできなかったんだもの・・・許してよ。



夕方になると、アッキーは買出しに出かけた。
たとえ姫宮くんに会おうとも、アッキーなら絶対大丈夫なんだって。
どうして? って聞いたら、

「人の言葉なんて、聞かないし、返事もしない無愛想くんだから」

でも、姫宮くんは無視するとすぐ掴みかかってくるよって言ったら

「アッキーがもじゃにやられるはずがない」

だって。
なんかアッキーは武道とかやってて、すごく強いんだって。

「一度も負けたことがないし、これからも負けるはずがない」

一体どんだけ強いんだろ?

「ふふ、だって、アッキーはターミ○ーターですからね。知りませんでした? T-110(イトー)って言うんですよ」

「そうそう、最強マッシーンだからねー」

「なのよ、なのよ」

アッキーの無口無表情な様を思い出したら、なんか納得、いやいや冗談だよね。
まさか、本当に未来から来た「アイルビーバック」なんて言う人じゃないよね。
とにかくとんでもなく強いってことなんだね。



彼らは自然な安心感と距離感を与えてくれる。
何かを強要するわけでもないし、一緒にいないといけないわけでもない。

こうやって皆で集まっても、依存しあってるわけでもない。
最初はね、アキラを中心に3人が集まってるんだと思ったの。
だけど、全然違う。
皆自然な行動をしてるだけって良くわかった。

あっ、もちろん勉強しようとかは皆で一緒にやるんだけど、そうじゃなくて、3人とも基本的に好き勝手にやっている。
アキはテレビ見てるし、アーちゃんはずっとPC――ノートを4台も持ってるんだよ――と睨めっこ、アキラはアイマスクに耳栓して横になってる。
アッキーは料理し始め、手が空いたら本を読んでる。
僕はアキとテレビを見ながら、アッキーのお手伝いをしたり、たまに声を掛け合ったりして、

「ねぇ、アーちゃん、アキラ寝てるなら、寝室のほうがよくない?」

疑問に思ったことや気になることは、なんでも聞くように言われたから聞いてみる。

「んぁ? ああ、あれはあいつの趣味だからいいのよ」

「ふーん、の○太くんみたいだね」

「ぶっw いえてるーーww」

「なのよ、なのよ」



夜になったら、皆でお泊り。
なんだか修学旅行みたい。
アキは早々に眠気がきちゃって、

「ぅ、ぁぅ、ねるの、ねるのよ」

と欠伸しながら挨拶してくれて、アッキーに連れられて寝室に入っちゃった。
なんか、アッキーってアキのお母さんみたい。

残った4人でおしゃべりして、アキのことで思い違いをしないように、アキラに教えてもらって、僕はまた泣いちゃった。
あ、でも、これは悲しくて泣いたんじゃないよ。

僕は僕の友達のために何かをしたいという気持ちを精一杯の言葉で伝えた。
そしたら、

「ふふ、それはアッくん自身が悩んでみてください。いつか解決できるかもしれません。たとえ答えが出ても、これから先、何度も何度もその悩みはやってくると思います。ですが、友達の“せい”ではなく、友達の“ため”に思い悩む君の姿が、僕らにとっては一番嬉しいことです」

友達の“ため”に・・・

友達の“せい”で独りになった。

そして僕は今、友達の“ため”に悩んでいる。

それを嬉しいと言ってくれた、悩むことは彼らの“ため”なのだと教えてくれた。
こんな僕でも、大切な人たちの“喜び”となることができるのだ、と語ってくれた。

そして僕の体は、歓喜と羞恥に打ち震えた。
姫宮くんに会うまでの、友達だと信じていた人たち。
失ったあと、僕の手にまた戻ってきた存在。
それは、こんなに、こんなに違う。

以前の僕を否定する気はないよ。
前の友達だって、大切な存在だよ。

だけど、再びこの手に戻った存在は、なんという素晴らしいものなんだろう、と歓喜する僕がいたんだ。
そして、あの辛かった日々を過さなければ、得ることができなかったであろうことに気が付き、恥ずかしかった。
ほんの一瞬でも、あの辛かった自分に感謝をしてしまった己の醜さに羞恥した。

アッキーが優しく頭を撫でてくれる。
アキラとアーちゃんは何も言わず、僕のことを待ってくれる。
きっとこれから先、何かが起こって、彼らが僕を見捨てても、僕は信じられる。

それが、僕の“ため”になされたことなのだと。
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